岩石(火成岩:深成岩)

岩石のうち、マグマが固まってできる火成岩です。
今のところ、所持標本の都合上、深成岩のみにしています。
鉱物組成及び色指数により分類をして載せています。

化学/鉱物組成分類 色指数 岩石名 標本







約15%以下 


 花崗岩
有色鉱物の割合が岩石全体の0%〜15%の深成岩。主構成鉱物は斜長石、アルカリ長石、石英。副構成鉱物は、黒雲母、白雲母。有色鉱物は黒雲母であることがほとんどで、マグマの最後の残液から生じたものには白雲母が含まれていることがある。岩石全体に含まれる、斜長石、アルカリ長石、石英の体積比により、さらに細かく分類される。










約15%〜40%


 閃緑岩
有色鉱物の割合が岩石全体の15%〜40%の深成岩。主構成鉱物は斜長石、角閃石、黒雲母。岩石全体に含まれる、斜長石、アルカリ長石、石英の体積比により、さらに細かく分類される。











40%
〜90%




 斑レイ岩
有色鉱物の割合が岩石全体の40%〜95%の深成岩で、主に、斜長石と輝石からなる岩石。俗称「黒御影」と呼ばれ、見た目に黒っぽい。主構成鉱物は斜長石と輝石。副構成鉱物は、かんらん石、角閃石。斑レイ岩は、岩石全体に含まれる、斜長石、輝石、かんらん石の割合により、さらに細かく分類される。















90%
以上







かんらん岩について
有色鉱物の割合が岩石全体の95%以上の深成岩のうち、岩石全体に対するかんらん石の割合(体積率)が40%以上の岩石。主構成鉱物はかんらん石、輝石。かんらん石の純度が高く、かつクロームスピネルがあまり含まれていない場合、岩石の色はオリーブ色。そうでない場合、岩石の色は黒〜暗い青緑っぽくなる。かんらん石は変質しやすく、地殻変動により地下深部から上昇する間に変質し蛇紋岩化されるのが普通で、地上でみられるかんらん岩は、普通、透明度を失い黒ずんで汚く見える。アポイ岳や岩内岳の綺麗なかんらん岩は稀なケース。比重が高いため持つと重い。


 ダンかんらん岩 dunite

かんらん岩のうち、かんらん石の割合(体積率)が、岩石全体の90%以上の岩石。見た目には、ほとんどかんらん石だけで出来ているように見え、かんらん石以外の鉱物は、疎らに点在するクロームスピネルが目立つくらい。クロームスピネルは自形結晶で含まれている場合が多い。僅かに輝石が含まれることもある。






 斜方輝石かんらん岩 harzburgite

かんらん岩のうち、斜方輝石の割合が多いもの。見た目には、褐色の斜方輝石がたくさん入っているのが目立つが、かんらん石を凌駕する量ではない。また、疎らにクロームスピネルが含まれていることもある。









 単斜輝石かんらん岩 wehrlite

かんらん岩のうち、単斜輝石の割合が多いもの。見た目には、エメラルドグリーンの単斜輝石がたくさん含まれているが、かんらん石を凌駕する量ではない。単斜輝石の量が多いと、岩石全体がエメラルドグリーンっぽく見える。



 両輝石かんらん岩 lherzolite

かんらん岩のうち、輝石の割合が多いもの。見た目には、褐色の斜方輝石とエメラルドグリーンの単斜輝石の両方がたくさん含まれているのが見える。




輝岩について
有色鉱物の割合が岩石全体の90%以上の深成岩のうち、岩石全体に対する輝石の割合(体積率)が60%以上の岩石。超苦鉄質岩を構成する鉱物は、概ね、かんらん石、輝石、角閃石なので、岩石中に含まれるこれら3つの鉱物の割合を考えたとき、かんらん石が全体の40%以下で、角閃石より輝石が多い岩石。


 単斜輝岩 clinopyroxenite

単斜輝石と斜方輝石の割合を見たとき、単斜輝石が90%以上の岩石。見た目には、エメラルドグリーンに見える。大きな結晶を含むものは、輝石特有の劈開が目立つ場合がある。






注意事項:
岩石は、何を基準に分類するかにより、いくつかの分類方法があります。ここでは、フィールドで大まかに見分けるために、色指数と構成鉱物による簡便的な方法を載せるに留めています。分類をするにはどこかで線引する必要があります。厳密に線引するためには、成分分析し分ける方法がとられるようなのですが、ここでは、個人的に野外で採集して標本として保管するレベルを想定しています。

色指数:岩石全体に対する有色鉱物の割合(体積率)。
有色鉱物:岩石を構成する鉱物(造岩鉱物)のうち、マグネシウムと鉄が多く含まれる鉱物。マフィック鉱物とも言う。マフィック鉱物は一般に色が濃く、有色鉱物と呼ばれる。具体的には、かんらん石、輝石、角閃石、黒雲母。火成岩を構成する有色鉱物は、これら4鉱物の割合が多いため、分類上、これら以外は考えないでおきます。
無色鉱物:岩石を構成する鉱物(造岩鉱物)のうち、マグネシウムと鉄を含まない鉱物。フェルシック鉱物とも言う。フェルシック鉱物は一般に色が透明か白であるため、無色鉱物と呼ばれる。具体的には、斜長石、アルカリ長石、石英。火成岩を構成する無色鉱物は、これら3鉱物の割合が多いため、分類上、これら以外は考えないでおきます。

参考文献
在田一則、竹下徹、見延庄士郎、渡部重十 地球惑星科学入門 北海道大学出版会
周藤賢治、小山内康人 記載岩石学 共立出版


雑感:
深成岩は、地下深部でできる場合が多い岩石なので、地上で見るためには、地殻変動等で地上に現れる必要があり、観察できる地域が限定されます。深成岩を実際に観察採集したい場合は、深成岩が分布している地域で安全にかつ問題にならない場所へ赴く必要があります。深成岩が分布している地域の露頭や川原へ行き、探してみると良いと思います。
野外では、上図の中間質岩〜酸性岩が見つかりやすいです。それは、単純にマグマから出来た時の地下深度だと思えます。マグマが徐々に冷却されるに従い結晶化する鉱物に順番(結晶分化作用)があり、マグマがまだ熱い頃に結晶化する鉱物(斜長石、輝石、かんらん石)で出来ている苦鉄質岩が出来る条件が整うのが地下深部であり、斜長石、輝石、かんらん石の成分が抜けて軽くなったマグマから出来るのが中間質岩や酸性岩で、その生成場所が苦鉄質岩よりも地表に近い所である場合が多いために、地表に現れやすいからだと思われます。