単斜輝岩 clinopyroxenite (平取町)
採集日:2003/05/18, 2004/04/24, 2004/09/20, 2008/09/13
採集地:平取町
黒っぽい部分と若草色の部分がありますが、黒っぽい部分は鉄分が多い透輝石、若草色の部分はクロムを含む透輝石だと思っています。透輝石は単斜輝石グループに属する鉱物なので、この岩石は輝岩の中でも「単斜輝岩(clinopyroxenite)」だと思われます。透輝石で出来ているのだから「透輝石岩」と言っても良いだろうと思っています。
平取には、輝石を多く含むかんらん岩だったと偲ばれるものや、変質した輝岩のようなものが転石として見られます。たまに、大きな輝石の結晶が寄り集まったものが見つかります。元々は、蛇紋岩の中に入っていたんでしょうが、蛇紋岩は柔らかいので削れてなくなってしまって、硬くて丈夫な輝石部分だけが残ったんでしょうね。
この若草色の発色は日高ヒスイに通じるものがあると思いませんか? 日高ヒスイにもクロムを含む透輝石が含まれており、発色にはどちらもクロムが関係しています。
ただ、日高ヒスイは結晶粒度が非常に細かく、顕微鏡でないと見れないくらいで、肉眼では滑らかな質感に見えますが、平取のは、一つの結晶が僕が採集したものでは最大10cmくらいあってゴッチリしています。結晶が大きいため、結晶面で綺麗に割れるへき開面が良くわかり、キラキラ光を反射させる様を見ることができます。このサンプルは、蛇紋岩に埋まっていた結晶を取り出したものです。
旧ホームページにあった写真も以下に載せておきましょう。
単結晶の透輝石が寄り集まっています。大まかに2種類の透輝石が確認できるおもしろい塊です。明るい緑色部分がクロムが多い透輝石(クロム透輝石)。暗い緑色部分が鉄分が多い透輝石です。
これも似たものです。こちらの方がクロム透輝石が鮮やかな色をしています。単結晶でなければ日高翡翠としても良いくらいの色合いですね。
クロム透輝石の単結晶です。小さいけれども透明感がある綺麗なものです。