鯉のぼりとは

鯉のぼりは、日本の五節供のうちのひとつ端午の節句に男の子の武勇や出世を願って、青空を元気良く泳ぐ日本の風物詩ともいえる代表的な伝統です。魚つながりと言うことで、ちょっと調べてみました。

鯉のぼりの由来

江戸時代中期に、庶民のアイデアから生まれました。武家が男児の産まれたときに玄関前に飾る幟や吹流しに対抗してという意識もあったようです。中国には、竜門の滝を登りきった鯉が竜に生まれ変わるという登竜門伝説があり、そこからきているとも云われます。また、鯉は生息する水質に柔軟で、清らかな水から、そうでない水でも生息できるため、生命力が強く、鯉にならって強く逞しい子に育って欲しいという意味合いもあります。初期は、野鯉を模倣し、黒い1匹だけの鯉が空を泳いでいる絵が残っていますが、いつの頃からか、黒鯉、赤鯉、青鯉、吹流しと並ぶようになり、現代のように矢車や回転球が一緒に飾られるようになりました。

鯉のぼりはいつ飾るか

端午の節句に向け、4月中旬くらいから飾ります。初節句の場合、設置に手間取ることも考えられますので、少し早めに準備して、きちんと設置するように心がけると慌てずにすみます。特に屋根より高い鯉のぼりであれば、鯉をあげるための木材や鉄骨を使った竿や市販のポールを使用し、穴を掘ったり、中にはコンクリートで土台を固めるなど、事前準備が必要なタイプの鯉のぼりもありますので、ご注意ください。

鯉のぼりはいつしまうか

鯉のぼりのしまう時期は、鎧飾りや兜飾りなどの内飾りと言われる五月人形と違い、比較的ゆっくりとしまいます。梅雨に入る6月前まで、つまり5月一杯ほどゆったりと青空を泳がせます。端午の節句としてではなく、飾りとして、海外などで一年中飾る場合もありますが、鯉や部品の寿命を著しく低下させることになりますので、一般家庭では控えたいものです。

鯉のぼりの素材

昔は、雨が降ると鯉のぼりをいそいでしまわなければいけないと言われていましたが、それは、鯉幟が和紙でできていて、雨に濡れると破れてしまったり、また、木綿で作られた鯉で、雨に濡れると色が落ちたりしたためです。最近は、素材自体が水に強いナイロンやポリエステルで作られ、染めで色付けした後、定着処理と言って色落ちしないよう固定処理をします。そのため、雨に濡れても破れたり、色が落ちたりすることはありません。しかし、酸性雨や排気ガスの影響で色が黒ずんでしまうこともあるので、黒ずみを予防する撥水処理の加工をした鯉のぼりも登場しています。ナイロンの鯉のぼりは、その素材のため定着処理が弱く、紫外線によって2~3年で色褪せしてしまいます。特に、ナイロンを使った吹流しでは、色褪せが早く、水に濡れた状態で太陽の光に当たると、、水滴がレンズ効果を起こし、30分ほどで色が褪せます。ナイロンの鯉に対し、ポリエステルの鯉は、定着処理が強く、4~7年の色の寿命を誇ります。そのため、ナイロンの鯉は濡れたとき、陰干ししないといけません。ポリエステルの中でも繊維形状に工夫を凝らした特殊なポリエステルを使用した鯉のぼりでは、ポールからぶら下げて、つまり、泳がせるようにして乾かせるタイプの素材の鯉もあります。

鯉のぼりのお手入れ

最近では、雨に濡れても大丈夫な鯉がほとんどですが、ナイロン生地の鯉のぼりでは、雨に濡れた後にお手入れを必要とします。濡れた状態で、太陽に当てると、紫外線の影響で色褪せを起こすからです。そのため濡れると、室内で陰干しして乾かした後にあげる必要があります。ポリエステル生地の鯉のぼりは、比較的紫外線に強いため、濡れた状態でもあげてかまわないものもあります。中国で染付け定着処理されている鯉のぼりもあり、比較的安価に作られることを望んで生産されるため、コストダウンの影響で、日本で染付け生産される鯉のぼりと比べると対光性が劣るようにも思います。

鯉のぼりの片付け

5月も終わりに近づき、鯉のぼりを片付ける場合、いままで飾っている汚れを落として保管してあげる必要があります。撥水加工がしてある鯉のぼりは汚れにも強くなっていますので、目で見て判断してください。汚れを落とす方法は、まず風呂桶に水を入れ、中性洗剤を溶かします。その中につけジャブジャブと手洗いしてください。鯉の口にはプラスティックの輪が使われていますので、折ったりしないように気をつけます。洗濯機を使うと、プラスティックの口輪が折れる場合もありますのでやめましょう。洗った後は、きれいにすすぎ、素材によって陰干しするか、もう一度ポールにぶら下げる課してください。

矢車は消耗品

鯉のぼりのポールの先端に取り付ける矢車、回転球は消耗品です。ステンレスやアルミ素材で作られている高級矢車がありますが、使用している個所は、矢車の羽だけだったり、矢車の棒だけだったりと、一部の部品にアルミやステンレスが使われているだけであり、多くの部品は錆びます。そのため、飾る前に、鯉が触れて汚れない程度に、表面や接合部分に油を塗るとさび止めの効果も出て、さらに稼動部に油をさしておくと矢車や回転球が風で回る際に、音が小さくなります。錆びやすい個所には撥水スプレーでコーティングすることも可能です。しかし、年月が経つと、やはり、どこからか錆びますので、自己判断により取り替えてください。おおよその寿命は1~3シーズンと言われています。またプラスティックを多用した矢車もあり、プラスティック部分が紫外線の影響でもろくなり風で分解してしまう矢車もあります。およそ2シーズンで分解してしまため、早めの取替えを心がけてください。保管の際には、しっかりと乾かし、油を塗ると保管中の傷みも少ないと思います。

鯉のぼり関連ページ