2007年に生産終了となったパジェロイオ。登場は1998年。
スーパーセレクト4WDを始めとする本格的な伝統の4WDシステムを持つ4m未満の5ナンバーSUVである。裏を返せば程々のSUV、中途半端なクロカンとも言えるが、そのほど良さがパジェロイオの価値だと思う。
悪路走行ができ、雪道をもろともしない。林道で窮屈に感じず、長距離も苦なく乗れ、目線が高く取り回しがしやすい適度なアイポイントとボディサイズ。エアバック、ABS等安全装備もしっかり付いている。ボディはビルトインラダーフレームモノコックで、悪路走行のための頑丈さと、舗装道路を走るための剛性を両立させている。車重は現行シティ派SUVと同じくらい。燃費は当時のSUVとしては悪くはない(リフトアップ&タイヤサイズアップ状態で、7〜8km/L、長距離10〜11km/Lだったが、中古エンジン載せ換え後は街乗り8〜9km/L、長距離11〜12km/Lになった)。旧来のクロスカントリースタイルを今に残す数少ない車の一つであるし、それゆえの改造パーツもそこそこあって、選択肢は少ないもののリフトアップや足回りをいじって走破性を上げる改造が可能である。ただし、ランドクルーザー系やジムニーのように道なき道を走る設計にはなっていないので、無理な悪路走行は禁物。
エンジン縦置き、後輪駆動ベース、副変速機ありのパートタイム4WDであるスーパーセレクト4WDは、ローレンジ以外、走行中(100km/h以下)に自在に切替えができる。副変速機操作は旧来からのフロア設置レバー操作を踏襲しており、シフトレバーの後方に縦並びで配置されている。走行中に切り替える際、手元を確認することなく操作しやすい配慮がされている。手動で切替えができる所が良く、クロスカントリー四駆に乗ってる感じがする。センターデフをロック可能、リアとフロントのデフにLSDを装着可能(フロントは社外製、リアは純正と社外製あり)、サスペンションは、リアが悪路接地性が良いリジットである。ランドクルーザー系とジムニーを除けば、街乗りシティー派SUVばかりとなってしまった現在(パジェロとエスクードは別)、現行5ナンバーサイズで伝統の4WDシステムを搭載するSUVはないし、旧来のクロカンスタイルの車も存在しない。今後も出てくることはないだろうところに、パジェロイオの価値があると思える。スポーツ走行、道なき道の走破性、積載力、豊かな居住性、を求めなければ、バランスが良く楽しめる車だと私的には思っています。
パジェロイオの新しいモデルが出ていたら、私は買っていたのではないだろうかと思う。生産終了より早6年余り。残念に思います。



うちのパジェロイオ
パジェロイオロング ZR 2000cc AT車/ リアヘリカルLSD / サンルーフ / 純正ビルトインフォグランプ(イエロー) / 純正ベースキャリア
タフコート施工 / スターシールド施工
青銀ツートンカラーの最終年式 新車で購入
総走行距離:18万9250km
走行距離(エンジン1):15万8852km
走行距離(エンジン2):917km
走行距離(エンジン3):29481km
平均燃費(エンジン3):単位 km/L
  全体 夏期 冬期
 街乗り 8.3 8.6 8.0
 長距離 10.8 11.0 10.3


私が趣味とする岩石鉱物の採集&トレッキングでは、林道を沢の奥まで詰めることが多く、オフロード(道のない所)は走らないですが、時に、沢上流部の廃道に近く状態の悪い林道を走ります。そのため、走破性が高く小さく頑丈で軽い車が良いのですが、家族や知人を乗せたり、キャンプしたり、長距離移動するとなると、軽自動車では辛いです。家族の車と趣味の車を別にできる程の身分ではないので、パジェロイオくらいの走破性とサイズで丁度良いのです。
キャンプへはパジェロイオで行きます。後席を半分倒し、ルーフボックスを使用すると、2ドームテント+タープ+グランドシート+テーブル+椅子+炊事道具+エアマット+寝具+水タンクに、2泊3日分の着替え、温泉道具、食料、他の細かなキャンプ備品が全て積載できます。キャンプ道具は、くつろげる範囲で可能な限り量を減らしていますが、天井近くまで満載になります。

イオでパジェロらしく
スーパーセレクト4WD-iについて
パジェロイオの4WDシステムは「スーパーセレクト4WD-i」というもの。パジェロ、旧デリカ(デリカスペースギア)、チャレンジャーに搭載されている「スーパーセレクト4WD」との違いは、センターデフオープン時の4WDモード。センターデフの構造の違い(パジェロイオのセンターデフはビスカスカップリングのみ。デファレンシャルギアがない)により動作が違う。
2H
後輪駆動
4H
4輪駆動(センターデフ オープン)
通常時は後輪駆動。後輪が空転すると前輪が駆動する。
#前輪と後輪に回転差が生まれる(後輪が余計に回転する(後輪が滑る等))と、センターデフとして入っているビスカスカップリングが作動して前輪に駆動を伝える仕組み。
4HLc
4輪駆動(センターデフ ロック)ハイレンジ
センターデフをロックし、前後輪に均等(50:50)に駆動を伝える。
4LLc
4輪駆動(センターデフ ロック)ローレンジ
センターデフをロックし、前後輪に均等(50:50)に駆動を伝える。70km/h以下での走行となるが、強いトルクで駆動する。そのトルクは、パジェロの場合、アイドリングでサイドブレーキを凌駕する程らしいが、うちのパジェロイオで試したことはない。

スーパーセレクト4WD-iの4Hモード:
駆動配分は走行状況により動的に変化する。例えば、舗装道路で真っ直ぐ走っている時は後輪駆動だが、雪道等で後輪が滑る状況になると、滑れば滑る程に前輪に駆動が強く伝わり、理論上、最高に伝わった状態で駆動配分が50:50に近くなる。しかし、ビスカスカップリングの構造上、LSDとしての効きは強くないので、泥濘等でのスタックから抜け出せない場合がある。経験上、4Hモードは、街中でのあまり負荷のかからない雪道走行、状態の良い林道までだと思う。