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北の奔流は北国の爺様が実釣に基づいてお届けする岩手・秋田の河川釣り情報です。



爺様釣法アユ編 


意外に釣れる(こともある)爺様の枯葉釣法
<高齢者に優しいアユ釣りの提言>

アユ釣り現場における判断能力や運動能力の低下は加齢に伴って如何ともし難く、高齢者たる自分はある日を境にそれまでは全く思いもよらなかった様々の不幸に見舞われておりました。
ちょっとした瀬の渡渉にも不安を感じて尻込みしてしまったり、流れの中で体勢を保つことがでずに落水したり、跨いだ石が越えられなくて派手な尻もちをついたりなど、恥ずかしい思いをするだけならまだしも、命の危険を感じる場面にさえ遭遇しました。
実釣においては少しの風にもロッドの保持がままならず、イメージ通りの竿さばきができないなど、様々の場面で臨機応変の対応ができずに無駄な時間ばかりを費やして、結局のところ納得できる釣果を 得ることが難しくなっていました。
近ごろでは野アユ自体の生態にも変化が生じているようでありまして、これまでの激しい野生本能むき出しを見せていた個体が少なくなって、流れに沈めさえすればガツンときた昔とは異なります。
アユ釣り歴50年も経って今更ながらアユ釣りの難しさを思い知らされておりました。
さらには地球温暖化による気象の激変、海や河川環境の変化、魚病の蔓延などによる野アユ絶対量の減少も身にしみて感じられ、自身のけなげな精進のかいもなく釣趣は年々下降線を辿っておりました。
体力では敵わぬまでも、これまでの長い釣り人生で身に着けてきた釣技を以てすれば、まだまだ若い者には負けるはずはないと意地を立てて臨んだ釣り現場では、そんな環境の変化に順応できずたちまち返り討ちに遭ってしまい、自信喪失へと繋がって行きかけた自分が居りました。
こうなるともう己の不甲斐なさを嘆くばかりで、やがては釣行意欲を失いアユ釣りの世界から遠ざかって、古き良き時代を語るだけの口先アユ師に成り下がるのは必至です。
しかし残り少ない自分の人生ですが、これまで最高の生き甲斐であったアユ釣りと言う究極の趣味を手放すことなど絶対にできないとする思いも心の片隅に存在しておりました。

と言うことで、以下は若い頃のように俊敏な動きが出来なくなっても、視力や反射神経が衰えていても、釣りへの意欲が萎んでしまわないうちに、我ら高齢者の五感に記憶された多くの実釣経験からくるデータと長い釣り人生で培ってきた第六感とを駆使しながら、なんとか人並みの釣果を維持したいと言う思いから辿り着いたのが、現在実践している目からウロコの釣法なのです。

先ずはこれまで実践してきたポイント選びと釣り方の見直しをしなければなりません。
10年前とは比較にならぬほど衰えが来ている自己の体力に照らしてみることから始めてみます。
立っているだけでも不安を感じてしまうような荒瀬や早瀬、腰を超えるような深場、押しの強い大河、足場の悪い岩盤など、高齢者には危険がいっぱいのポイントからは潔く撤退をすることにします。
と同時に強瀬の引き釣りや返し抜きなど体力勝負の釣法からも、一切手を引く決断をします。
攻めるべきポイントは主に浅場、または安全な立ち位置からでもカバーできる範囲にとどめ、大アユ狙いは綺麗さっぱり諦めて、中型以下の数釣りへと方針転換を図ります。
高齢者のアユ釣りで最も大切なのは、己の体力に見合ったアイテムと釣法で武装し直すことです。
ポイント選びのコツなどもひっくるめて、ここではこれを「枯れ葉釣法」と命名しますが、それは全く特別なものではなくて、半世紀に渡るアユ釣り人生の中で何気なく繰り出していた釣技の中から基本的な部分だけを抜き出し、それを徹底的に突き詰めることに尽きます。
即ち「枯れ葉釣法」は自身の意識改革の中に見出した高齢者に優しい釣り方と言うことになります。
干支が6巡してもまだまだ諦めたくないアユ釣り人生、むしろこれまで以上に楽しみたいがための身体に優しいアユ釣りです。



装備・身の回り

<ロッド>
枯葉釣法に最も必要なのはロッドワーク、自在に竿を操作するには持ち重り感のない8m(自重200〜180g)がベターです。
泳がせ釣りが主体ですから、軽くて操作性さえ良ければ競技仕様の最高級ロッドである必要はないのですが、引き抜き時のロッドにそれなりのパワーを秘めたものでなければ釣趣は著しく低下します。
したがってやはり実売価格で15〜17万円ぐらいの中級以上のロッドになってしまいます。
主にターゲットとしたい野アユは20センチ前後、このサイズと一日中楽しく遊べる性能のものを慎重に選ぶことから始めます。  
なお通常はソリッドなど柔らかい穂先を使い、予備として持参するチューブラー穂先に替えて22〜23センチ程度までなら引き抜ができるパワーを有するものなら万全でしょう。
自分はダイワ社SL(80J)を多用しています。

<タイツ>
身体の冷えを考慮して、先丸ドライタイツの通年着用が基本となります。
猛暑用として薄手のウエットタイツも常に持参しております。

<ベスト>
透湿防水など高機能は必要なく、ファスナーへの噛み込みなどトラブル回避を図ったもので、入漁証や携帯など必携アイテムの収納が考慮されたもののうち最も廉価なもので良いと考えます。
エクセル社の数1000円程度の製品を多用しています。

<タビ>
できるだけ着脱の容易なもので、競技用など高機能は必要とせず。
主に浅場釣りが目的だけに先丸タイプでスパイクの有無は考慮せず。

<レインウエア>
これだけは透湿防水性の優れた高機能商品を選びたい。
袖の脱着機能など、腕の上げ下げに伴う袖口からの水の侵入対策が出来れば万全。

<ウエア>
首筋が炙られない形状の襟付き長袖、またはアンダーシャツ+襟付き半袖。
ドライタイツの着脱を容易にする極めて滑りのいいアンダータイツは必需品。

<サングラス>
高価なものは必要なく、遠近両用メガネに取り付ける跳ね上げ式の偏光グラス(アンバー)が重宝。

<オトリ缶>
オトリ運搬用ですから大きいに越したことはないのですが、24リットルサイズでは水7分目で総重量が20Kgを超えるので、必ず体力に合った容量のものを選ぶことが必要です。

<曳舟>
時に大釣りになったりもします。
オトリ缶との往来を少なくしたいので7〜8リットルなどできるだけ容量の大きいものを使用。

<鮎ベルト>
曳舟が左右にスライドする構造のものが機能的。
ベルトに装備するのはポーチ(ダストボックス)とドリンクホルダー。

<鮎ダモ>
39センチ、流れ止めは必需品です。
1〜1.5mm目の高機能品が鈎の刺さり込みなどトラブル軽減になります。

<帽子・キャップ>
真夏の陽射しを遮るつばのできるだけ大きいもの。
強い陽射しから首筋を保護する機能があればいいかも知れません。

<小物類>
ラインカッターは必携、ピンオンリール、携帯、コンデジ、etc.。
特に水温計は購入した養殖オトリの水合わせ時には必要になります。
アユ用手袋は鈎の刺さり込みなどトラブルの元になり易いので自分は使用しません。




仕掛け作り

<仕掛け全長>
ロッド長が8mの場合で、天井イト4.5mと水中イト3.5mの組み合わせ。
仕掛け全長はハナカン位置で竿尻-5〜+5センチに来る長さが自分的には操作性がいい。
かつて標準とされた竿尻+30センチは、オトリの送り出しや引き抜き時など竿操作が難しくなります。
イカリ鈎を除く全てを装着して仕掛け巻に収納したものを常に3組程度は携行します。

<天井イト>
ロッド長8mの場合で4.5mとする。
水中イトとのジョイントは撚り戻しなどは不要、長さの調整シロは15センチもあれば充分ですから出来る限りシンプルに作ります。
水中イトがフロロ0.15〜0.3の場合はPE0.3号、水中イトがPE0.06や複合0.05の場合はフロロ0.6〜0.8号を使用することにします。

<水中イト>
泳がせ釣りに多用するのはフロロライン、0.15〜0.3号を各サイズ揃えてます。
PEラインの場合は市販品が0.06〜0.08、複合なら0.03〜0.08。
泳がせ釣り主体の枯葉釣法では間違っても高比重のメタル単線は使用しません。
野アユのサイズによって、或いはその日の野アユの着き場によって品種とサイズを使い分けます。
フロロとPEの場合は各サイズとも両端にチチワを作り、全長を3.5mとします。
複合の場合は上0.3m、下0.2mのツケ糸編み込みでチチワを作り全長3.5mとします。
毛糸目印を4個、色分けなどで号数が判別できるように予め装着し、ペラマック等に収納して各サイズ3組程度はベストに収納携行。
近年自分は後述するオトリのワープ送り込みでも安心して使用できるデュエルの高強度PEライン(アーマード)で1シーズンを通します。

<目印>
視認性良く適度な締まりのものを4個、恥ずかしがらずに思い切って大きめに取り付けています。
オバセを入れた時の一番下が水面スレスレの位置で各10〜15センチ間隔とする。
オーナープロ目印の黄、黄緑、桃色などが快適な視認性と適度の締まりが得られます。
赤系は照度が落ちた曇天や逆光では意外に見失うケースも多いので使用することはありません。

<中ハリス>
ハナカン位置から8の字結びコブまでの長さを25〜30センチぐらいに揃え、ハナカンが移動できるノーマル仕掛けとします。
初期用としてフロロ0.6号、盛期用として0.8号にて自作します。
専用仕掛け巻に収納して10組ほどを携行します。

<ハナカン>
ワンタッチ、6、6.5、の2サイズで、野アユ16〜23センチに対応させています。

<逆さ鈎>
ハリス穴が大きく蛍光色など視認性の良いものか、鈎交換の楽なフック式にします。
通常は大アユを狙うことがないので1〜2号の2種類で終盤まで対応させています。

<アユ鈎>
主に浅場の泳がせ釣りなので、細軸軽量の3本イカリ(自分はダイワ社フックKを多用)の市販品。
大会参加でもなければメーカーの選択や鈎の形状に神経質になることはなく、常に鈎先が鋭利である事
に気を配るだけです。
ハリス長はオトリの尾鰭先端から鈎先まで1センチを基準とし、その日のポイントや野アユの活性度合により微調整するようにしています。
6号〜7号の3サイズがあれば、特に大アユを狙わない限りは終盤までをカバーできます。

<背鈎>
通常は使用しませんが、養殖オトリからのスタート時や非常時用として、ワンタッチで脱着できるものを考案し携行しています。

<オモリ>
殆ど用いることはありませんが、泳がせ釣りの中にあっても、その効用によって助けられる場面は多々ありますから、0.8〜2号をベストに忍ばせておきます。



いざ出陣!

   

5月初旬、10センチ前後で遡上する北東北のアユは、僅かな期間で急速に成長を遂げ、あっという間に成熟して9月中旬には産卵場へと落ち始めます。
したがって北東北の釣期は、7月から始まっていいところ2ヶ月半しかありません。
自分は日々目覚ましく変化するアユの生態に翻弄されながらも、これを追いかけるようにポイントを探しては釣法を工夫しつつ、アユの友釣りと呼ぶ究極の趣味を楽しんでいます。
しかし7月初旬、待ち焦がれた北東北の解禁直後はまだ肌寒い梅雨の真っただ中、熟達者とて難しい釣りを強いられることの多い時期です。
そこから10日も経つと次第に水も温みアユも一回り成長して縄張り行動はひときわ活発になります。
その頃から「枯葉釣法」をひっさげた自分の出番の多い時期となります。


<いつ何処へ行く?>

勿論サカナの居る川、評判のいい川、週末アユ師で大いに賑わった川。
毎日が日曜日の身ですから週末の混雑を避けて、自分は主に週明け早々の釣行が多いのです。
しかし週明けは何処も彼処も釣場は荒れており、見た目の良いポイントは野アユが極めて薄い状態となっております。
したがってそこではアタリは遠く、如何に粘ってみても納得のいく釣果を得ることは難しい状況です。
しかし決して川全域が釣り切られた訳ではありません。
高水が続いた後や酷い釣り荒れで暫く竿が入らなかったポイントが時が経つとしっかり復活している例を、長い釣歴を誇る我らは何度も経験しています。
これを「リセット」と表現するご仁もおられます(もともと魚影の薄い川はいくら待ってい てもリセットされることはありませんが・・・)が、一旦空き家となったポイントが再び満たされると言うことは、戦々恐々の野アユたちは週明けの川の中の「何処か」で虎視眈々と復活の時を窺っているのです。
自分は長い経験で鍛えた第六感を働かせてその場所を探り当てることに血道をあげております。

<ポイント探し>

前述のように週明けの釣り易い人気のポイントは空いてはいますが、大勢が入れ代わり立ち代わり攻めた後だけに確実に場荒れとなっています。
そこは当然縄張りアユは疎らで、如何に時間をかけてみても多くは望めません。
そんな時に野アユが定位しているのは一部のエキスパートだけが攻略できる岩盤の深場であったり荒瀬のド芯だったりします。
しかしかなりの数がヘチや、足首ほどの超チャラ瀬にも着いています。
前日に大勢のアユ師が歩き回り漕ぎ荒らしたであろう見栄えの良いポイントのすぐ傍や、そのポイントを目指して一歩踏み出す岸辺や無限に広がる超浅場、そここそが自分にとっての宝の山です。
盛夏のころなら、減水で底石が露出した水溜りのようなスポットに群れたアユがモジリを見せ、上手く泳がせてそこへオトリを誘導できた時、激しい水飛沫とともに意外な良型が絡み合って宙に舞う快感を、ご同輩諸氏も一度は味わった経験があることでしょう。
時期や天候、時間帯にも左右されますが、野アユにとってそこが摂餌行動やその他生態上必要な場所であれば、ドン詰まりの水溜りのような意外なスポットにも平気で入っているものです。
チャラ瀬などにあって、漕ぎ回り歩き回り一旦群れを散らしてしまった後、数分も経たぬうちに何事もなかったかのように再び魚影が戻っている事実を自分は何度も見て来ています。
しつこいようですが、他人がガシャガシャと沖の流心へ漕ぎ渡った後の浅場こそが、高齢アユ師たる自分にとって垂涎のフィールドとなるのであります。
自分はそんな流れと静かに対峙し、縄張り本能が少々希薄にはなってますが、無数に泳ぎ回る野アユとの根比べを楽しむのであります。
釣り荒れのA級ポイントで四苦八苦する若者アユ師を横目に、一見つまらない場所で熟年アユ師が悠然と独り勝ちする場面を演出したいとするのが我が「枯葉釣法」の目指すところでもあります。


<枯葉釣法とは>

さて、急流などものともしなかったかつての頑健な体力を失った自分は、「動」の釣りから安全安心浅場専門の「静」の釣りへと方針転換を図る一大決心をしました。
そんな熟年アユ師や比較的非力な女流アユ師にも優しく、しかも良く釣れる釣法、その中身は徹底した「泳がせ釣り」にほかなりません。
泳がせ釣りは全ての釣法の基本にあるもので、尾鰭を振って激しく侵入してくるアユに対しては果敢に攻撃に出る縄張りアユの習性を利用するものです。
自然界の侵入アユを仕掛けを背負ったオトリアユに演じさせる時、早瀬など水の走るポイントでは尾鰭を振らすことができても、流れの緩いまたはヘチなど全く流れのない場所では、ひと工夫しない限りカミ泳がせは難しいテクニックとなってしまうこともあります。
静止しているルアーには反応しない渓魚と同じで、動かないオトリには野アユの反応は極めて低くなってしまうのです。

かつてある試みをしたことがあります。
遡上量の多い年の秋田県桧木内川桜並木の浅場、上流で竿を出す娘婿の引き釣りのオトリが定位する位置に、その下手から自分のオトリをカミ泳がせで遡らせてみた時、野アユが反応したのは後者でした。
これを何度か試しましたが、3対0で下手からのカミ泳がせをした自分の勝利でした
浅場だけに引き釣りで定位させているオトリは尾鰭の動きが緩慢もしくは静止状態、シモから泳がせたオトリは尾鰭を激しく振って昇ってたと言う違いだけのこの試釣、このことは浅場での友釣りが成立するのは、オトリの動きが如何に大切かを意味します。
したがって狙いを定めた超浅場やヘチなどにおいては、その泳がせテクニックの上手下手が著しく釣果を左右することは明白です。
競技の釣りとは縁のない自分ですから、ゆっくり時間をかけて楽しみながら、時として爆釣にもなり得る完璧な泳がせテクニックを求めて練習を重ねることにいたしました。


<意外に簡単なカミ泳がせ>

足元から放ったオトリを立て竿のまま直上流に向けて泳がせます。
カミに向かってどんどん泳ぐようならそのまま遡らせてみます。
途中で静止しそうになったら、オトリの重さを感じてしまわない程度に竿先をほんの僅かスイングさせてみるか、目印やラインを水中に沈めてオバセ量を加減しながら再び泳ぎだすきっかけを作ります。
小石底の超浅場の泳がせであってもオトリが元気にいい泳ぎをし、長過ぎないハリスと仕掛け全体が軽く仕上げてある限り、根掛かりは滅多に発生しないものです。
ロッドの仰角が45度程度で上限(オトリは立ち位置から11〜12mカミでツッパリ感)を感じたら、優しく引き戻して再び最初から泳がせてみます。
水中イトを緩めたままオトリの勝手に泳がせる釣りは「泳がれ釣り」と呼ばれて軽蔑される向きもありますが、下手な引き釣りで頑張り続けるよりは遥かに釣果は上がります。
次に自分の立ち位置のカミに無限に広がる浅場を隅々まで攻めるためには、さらなるひと工夫が必要になります。
オトリの泳ぐ方向を竿操作で制御するのはなかなか困難なことではありますが、今度は(気持ちだけでも)沖に向かって斜め方向に遡らせることを試みてみます。
変化のない単なる浅場に見えていても、じっくり観察してみるとそのエリアには小さな波立ち、大小の石、渇水時の露出した底石、僅かな流れの変化など、いかにも野アユが着いていそうなスポットが幾つも存在していることに気づきます。
斜め方向に送り出した(つもりの)オトリに、それらのスポットを効率よく辿らせるには、天邪鬼とも言えるアユの習性を逆手にとった巧みな竿操作が必要になります。
水中イトを目印ごとどっぷり沈めたり、竿先でリズムを刻んでみたり、鼻先に僅かにテンションを加えて方向を変える努力をしてみたり、ラインに受ける風を利用してみたり、手綱を絞りスピードをコントロールしてみたり、あるいは非常手段として位置を左右にずらした背鈎を打ってみたりもしますが、決してオトリを引きずり回したり大きなダメージを与えるような力技は繰り出しません。
これは一朝一夕にできるものではありませんが、ここでは8mと言う軽量短竿が活きて、意外に短時間でなんとなくコツのようなものを掴むことができるようになります。
短竿に替えただけで9m竿では難しかった技が簡単にできて、このところ腕が落ちてしまったと嘆いていたアユ釣りが、以前よりも確実に上手くなっているような錯覚にも囚われます。
平日の浅場ですから、周りに気兼ねせずじっくり泳がせてみることで着実に自信が着きます。
その間にも殆どサラ場だったそのエリアからは、多くの野アユが反応してくるはずです。
ここまでくると、この釣りには引き釣りでは味わえなかった「立ち位置を動かぬままでかなりの広範囲を攻め切れる」と言う、高齢者にとって誠に嬉しいメリットがあることに気づきます。
この釣りの最大のキモは、「オトリの泳ぎを決して休ませない」と言うことに尽きます。
竿操作を乗馬における手綱さばきに見立てた時、それを繊細にかつ神経質に行っている感覚を持続させることが大切です。
ただしその時の釣り人は、8mのロッドと8mの仕掛け、即ち16m先で泳ぐオトリと周辺に居るはずの野アユの様子が、目印に出る反応やロッドを握る掌を通して、常にイメージ出来ていることが大切です。
熟達者のこの釣りを見ていると、車の運転よろしく竿先が上下左右に小刻みに振れ或いはある種のリズムを刻みながら、釣り人主導でハンドルを切り千変万化の流れを辿ってオトリを行かせたい方向に誘導しているような感じを受けます。
尤もオトリ循環が順調で、交換したばかりの新鮮オトリであれば、自らが速攻で野アユの居るスポットへ泳ぎますので特に釣り人主導の竿操作に拘ることはない訳ですが。
熟達者のように無駄を省きオトリが野アユの着き易いスポットだけを辿るように、方向もスピードもほぼ自在に制御することができた時、それを「管理泳がせ」と呼ぶご仁もおられるようです。
それこそが「枯葉釣法」が目指す泳がせ釣りの究極にあるものですが、自分の場合はそこまで到達することはないものと思われます。
勿論実釣では、あらゆるシチュエーションを考慮する必要があります。
カミ泳がせが困難で、オトリの送り出しを敢えて下手方向にせざるを得ない場面も多く存在します。
こんな場合でも決してオトリの鼻面を引きすぎてはならず、柔らかい穂先やラインや目印を使っての優しく自然な引きを心掛けなければなりません。
かなり流速のある場所であっても、時にオモリや背鈎の力を借りながら、オトリの泳力に任せる張らず緩めず竿先曲げずの感覚を維持しなければなりません。
この状態でも野アユへのアピール度は高く、これを「引き泳がせ釣り」と呼ぶアユ釣りの定石です。
この状態を保ちつつオトリを徐々に引き上げ自分の正面付近に来たある瞬間、本来のカミ泳がせに切り替えるべきサインが見えてきます。
ロッドを寝かせ加減の引き泳がせの体勢から本来のカミ泳がせの立て竿に切り替えた途端、オトリ本来の泳力による快調な泳ぎに変わりますので、そのタイミングを見つけることが大切だと思われます。


<ワープ送り込み>

釣り現場ではオトリが狙いのスポットになかなか入らず無理に引きすぎたり、根掛かりなどでついつい大きなダメージを与えてしまうことがあります。
そんな時、元気度の落ちたオトリにオモリや背鈎を使うことがありますが、これらの補助具は基本的にはオトリの元気度が落ちる前に使うことが正解だと自分は考えます。
渇水期など手前の露出した底石ゴロゴロの向こう側へオトリを送り込みたい時、或いは狙うべき箇所が流心を越えた対岸の遠いスポットなどである時、オトリ自身の泳力が充分であれば問題はないのですが、そんな弱りかけだと時間ばかりがかかり、なかなか本来の泳がせ釣りまで持ち込めません。
ここで登場するのがワープ送り込み、かの瀬田名人がそれとなく当たり前のように繰り出すアレです。
見ていると難しそうな技ですが、落ち着いてやってみると最初はスマートさには欠けるでしょうが意外に短時間で習得できるようです。
1時間程度の練習で、もう実釣の現場で使えるようになります。
しかも長い時間空気を吸わせたり無茶引きしている訳ではなく、180度ワープの空中移送はほんの一瞬で狙うスポットを直撃できる技ですから、オトリへのダメージは極めて少なくてすむ方法なのです。
浅場では着水と同時に野アユの激しいアタックを受ける場合が多く、大きな興奮と感動が得られます。
誰も居なくなった夕暮れの川でしっかりと練習して、いつ何処ででも繰り出せるようにしておきたいものです。
ただし水中イトがフロロの細糸では「親だけドンブリ」もあり得ますので注意しなければなりません。


 


<枯葉釣法が積極的に狙うべきポイント>
  • 混雑河川ではヘチや中州際の超浅場。
  • 超渇水時における河川全域。
  • 底石が露出する盛夏の減水時、ほぼ止水となっている部分も好ポイント。
  • 増水収束後の分流。
  • 天然遡上豊富の河川下流部など。
  • 多くの群れアユが見えているが追いが悪いとされる河川。


<枯葉釣法の欠陥>
  • トーナメントなど与えられた千変万化のエリアで釣果を競う釣りには適さないかも知れない。
  • 竿を煽るほどの強風時など微細な竿操作が困難な場合には、立て竿泳がせが難しい。


<枯葉釣法での遵守事項>
  • 1ヶ所に留まらずオトリに追従し、野アユの着き場を求めて積極的に広範囲を探る。
  • 浅トロ・チャラ・止水における澱みない泳がせは水キレのいいメタル系水中イトでは難しい。
  • 枯葉釣法は、原則立ち位置よりもシモで勝負はしない。
  • 最初の1尾獲り(オトリ替え)に全力を注ぐべし。
  • 枯葉釣法に止めや待ちの釣りは厳禁。
  • 目印の動き・水中の目視・手感でオトリが野アユの群れに同化した感覚を掴む。
  • 時に目印に明確なアタリが出なくても、違和感を感じたらそっと訊いてみる。
  • オトリは原則掛かりアユ1匹ごとに交換すべし。
  • 煽って外れた根掛かりも、ケラレ発生でも9割の逆鈎外れがあるので必ず点検をする。
  • オトリが小型だったり弱った時、浅チャラなどで流れに負けてヨレるのは逆鈎外れも疑う。
  • カガミなどのサイトフィッシングでは、向こう側からも見られていることを承知の上で行動。





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  • 1944年宮城県生・岩手県盛岡市在住・古き良き時代の電気設備技術者。
  • 趣味:釣り・山歩き ・自然観察・山野草