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北の奔流は北国の爺様が実釣に基づいてお届けする岩手・秋田の河川釣り情報です。

サービス/製品一



爺様釣法ヤマメ編 




北東北の渓流は3〜4月にかけて次々に解禁される。
北国アユ師にとってアユが始まるまでの4ヶ月間、その年の天然アユの遡上量や成育状況、ポイントの状況確認も兼ねてのヤマメ・ヒカリ釣りを欠かすことはできない。
近年は長尺軽量ロッドによるゼロ釣法が全盛の時代。
しかし、この釣りに精通したトーナメンター級なら造作もないことが熟年釣り師にとってはことのほか難しく、実釣の場面ではなかなか教科書通りには出来ないのである。
それは千変万化の自然環境の中での長尺ロッドの取り回しの難しさにあると思われる。
春先特有の風の中でロッドに受ける風圧に耐えながらヤマメが定位する筋を狙う難しさ、底波を捉えることの難しさ、釣る度に手間取る小鈎はずし、何れも爺つぁまたちにとってはストレスを溜め込むだけで苦痛以外の何ものでもない。
そこでオラは、上記の苦痛を一気に解消すべく一旦ゼロ釣法から離れて、「短竿浮子釣り」別称「枯葉釣法」に移行することを推奨するものである。
「ヤマメの浮子釣り」、それは我ら熟年世代がまだ現役の時代には、「脈釣り」と呼ばれるゼロ釣法の叩き台になったものと双璧を成す標準釣法であった。
昔懐かしいその浮子釣りを近年発展目覚ましい各種素材で武装した時には、最新ゼロ釣法には敵わないまでも、体力気力の衰え著しい爺つぁまたちにとって必ずや納得のゆく結果が得られるはずである。
さてその道具立てについてのお話しは、・・・明日のココロだぁ。



<1・道具立て>

竿:
 浮子釣りの性格上、感度など各性能の良し悪しは関係なく、ひたすら軽くて操作性の良いものを選ぶことに尽きる。
オラは6.0mのハエ竿(硬調)を使っているが、中小型ヤマメの数釣りを目的にする限り、パワー不足による不安は感じたことがない。
北東北の本流では滅多にないことだが、手に負えないほどの良型に翻弄された場合には、迷わずハリスを切らせて竿の破損を回避することをお勧めしたい。(かつて秋田某河川で、時間はかかったものの40センチ超の野生化したニジマスを寄せ獲りしているので、結構潜在パワーはありそう)
S社製品を例にとると、6mで86gの軽さが、実質1万3千円程度と極めて廉価であることが何よりもうれしい。
尚、このハエ竿は後日紹介する流し毛鉤釣りにもそのまま使用できる。

ライン:
 競技の場でない限り、浮子釣りにおいてはあまり繊細なラインは必要としない。
フロロライン0.25〜0.3号を竿全長より0.8〜1m程度短くし後述の中ハリスを結ぶ。

浮子: 市販品のうちで使用できそうなものを探すが、この用途に見合ったものはなかなか見つからない。
オラは試行錯誤しながらも殆ど自作している。(岩手県宮古市石垣釣具店では店主の制作したものを通販している)

オモリ: 一般的なガンダマB〜5号を各サイズ揃えておきたい。
ゴム貼りなど高価なものは必要ないと思われる。
オモリを噛ませるための中ハリス部分0.8号4センチ程度を設け、その両端の8の字結びこぶに水中イトとハリスを結ぶ。
この中ハリス部分は、振り込み時の仕掛け絡みを軽減する意味でも必要である。

鈎: 3〜4号ヤマメ鈎に0.2〜0.25フロロハリスを25〜30センチ、中ハリスの結びこぶへチチワで結ぶ。
ハリスは実釣の中で、その日の最適な長さを決めるようにする。

エサ: 市販の各種渓流用エサでもいいが、面倒でも季節の推移に合ったカワムシを採取するのがいい。
オラは初期にイタドリかキンパク、中期にピンチョロ、後半はクロカワムシを多用する。 

以上が大まかな道具立てになるが、ほかに鈎ハズシ、カッター、ガンダマはずし、渓流ダモ、曳き舟は必携。
さて浮子釣りのための各種アイテムが揃ったところで、いよいよ実釣。
解禁まで5ヶ月を切った北東北の渓流、そのイメージトレーニングは・・・明日のココロだぁ。



<実釣>

さて浮子釣りの道具立てがしっかり整ったところで、我ら枯葉軍団の実釣に適する河川の選択が必要。
幸い北東北には里川とも呼ばれる中小の優しい流れをみつけることは容易である。
潮騒の聞こえる最下流部にあってもヤマメ・ヒカリのポイントは豊富に存在する。
雪融けの季節、一斉に降海が始まるサクラマスの幼魚(ヒカリ)に焦点を絞るのもことのほか楽しい。


場所選び: 先ずはアプローチに難儀することなく、河原の移動が楽で頭上に障害物のない場所を選ぶ。
解禁初期には淵や深トロ、水温む中盤以降はトロ尻やザラ瀬と瀬脇、チャラ瀬など、初夏の頃には比較的流勢のある瀬などが存在する場所。

振込み: 柔らかい竿に慣れるまでは、浮子やオモリ部分への仕掛け絡みがあるが次第に馴染んでくる。
何度かの釣行を経て狙いのスポットへ思い通りの振り込みができるようになることが、浮子釣りにおける竿操作のキモである。

仕掛け: 仕掛け全長はサカナが手元でキャッチできる長さ、竿の調子にもよるがオモリ位置まで竿の長さよりも数10センチ短くする場合が多い。
浮子下は狙いの水深の1.1〜1.5倍程度とし、オモリがコンコンと底石に触れて流れ、同時にエサが自然に踊ることをイメージする。
浮子は視認できる最小、オモリは振り込みが容易で底がとれる最小、浮子の残浮力はギリギリとする。
ポイントを移動するごとに浮子下の調整も必要だったりすることが、慣れるまでは煩わしいかもしれない。

流し方: 熟年釣り師に浮子釣りを薦める最大の理由は優しい竿操作にある。
春先に吹く空っ風や沿岸特有の吹き上げの風に惑わされることもなく、浮子に現れる明確な魚信だけを待つことができるのだ。
ゼロ釣法における釣り人の手にあたる部分が、浮子釣りにおける視認性の良い浮子にあたる。
即ち浮子釣りでは、表層を流れる浮子を基点にした一種のナチュラルドリフトが自動的に行われている。
一朝一夕には習得できない竿操作によって、底波を捉えたりエサの自然な流れを演出したりする動作の殆どは不要になる。
表層流に乗って浮子先行で流れる仕掛けに集中し、余計なことは考えずにイメージを膨らませることができるのがこの釣りの魅力なのだ。

アタリ: 根掛かりとは明確に区別できるククッと抑え込むような食いアタリを捉えることができる。
浮子下が長い割には浅チャラなどでも意外なほど根掛かりはなく、浮子が止まれば殆どはサカナが食っている。

と言う訳で、これまでド素人の釣りと下げ済まれがちだったヤマメの浮子釣りが、実は最新釣法には敵わぬまでもある程度は理にかなった釣法であったことが理解できたところで、次回まだまだあるメリットについてのお話しは・・・、明日のココロだぁ。



さて浮子釣りの何たるかがある程度イメージ出来たところで、メリットばかりではなく、どうしても逃れられないデメリットをまとめてみる。

<デメリット>

  • 浮子下調整ができない: ゼロに比べると広い範囲をカバーできるものの、予め想定した水深で浮子を固定するため、流す途中での水深変化に対応した細かい底どり操作ができない。  
  • 気になるほどではないがゼロよりは多い仕掛け絡み: 竿の調子、仕掛け類の形状や重さ、振り込みスタイルの個人差などによるので、慣れによって克服するしかない。
  • 浮子の自作: 市販品は殆どないものと思った方がよく、タラの芯や発泡プラスチックなどで自作する必要がある。

しかし枯葉軍団(熟年釣り師)にとっての浮子釣りには、上記を補って余りある多くのメリットがあることはご承知いただけたと思われる。
体力気力の衰えから往年の釣果を叩き出すことが難しくなっているご同輩には、ぜひ一度試していただきたい釣法であることを重ねて申し上げる次第である。
と言ったところで、ヤマメ浮子釣りの薦めは一旦終了。
次回は同じ竿を使って盛岡毛鉤の釣り、即ち流し毛鉤釣法のキモのひとくさりは・・・明日のココロ








さてヤマメの浮子釣りは使用するロッドが短いものであっても、長尺ロッドのゼロ釣法をはるかにしのぐ範囲をカバーできることから、足腰に衰えが来ている熟年釣り師にとっては、危険を伴う流れへの立ち込みがかなり軽減される願ってもない釣法であることは先刻承知済み。
加えて今回は、浮子釣り同様に広範囲を攻めることができる毛鉤の流し釣りについての考察である。

<盛岡毛鉤の流し釣り>

  • 使用ロッド: 浮子釣りと同じもの、5.4〜6mのハエ竿硬調。
  • ライン: 0.8〜1.0号ナイロン、流し浮子はロッド全長より若干短めに取り付け。  毛鉤数は浮子上40センチ間隔で4、浮子下50センチほどに1が標準。
  • 毛鉤: 盛岡毛鉤、季節によりサイズと色彩に変化を与えるもあまり重要ではない。  毛鉤巻きは意外に簡単なので衰えの来ている指先のリハビリを兼ねての自作を薦めたい。
  • 流し浮子: 市販のものでいいが自作も楽しい。 



釣り方は全く簡単で、流れと直角に対峙し浮子の重さを利用し、回し振りで少し上流目に打ち込む。
狙いのスポットはアユの泳がせ釣りとほぼ同じで流れの変化、そこを確実に毛鉤が通過することを意識する。
下流に向かって竿先主導で扇状に流すが、シモ45度付近で浮子下の毛鉤が一瞬向きを変える時に食いアタリが出る場合が多い。

以下、毛鉤釣りならでの特記事項を幾つかを羅列。
殆ど流れのないトロ場などでは、竿先を意識的に微振動を加えながら引いてヤマメを誘う場合がある。
無風状態よりもさざ波が立つ程度の風があった方がヤマメの食いは良い。
浮子釣りや脈釣りでは狙いきれない超浅場、対岸の樹木の下、増水後の沈みゴミの多いポイントも釣りになる。
手元には頻繁に明確な魚信があるが、当初はそのうちの2割を獲ることを目標にしたい。 
魚信が来る前の水面下の毛鉤を銜える直前、反転するキラリ一閃を捉えてのアワセが理想。
擬餌鈎だけに掛け損じやバラシがあるとそのスポットのヤマメからは見切られることが多く、同じ場所に粘らずに次のスポットに移動すること。
仕掛け振り込み時は頭上や背後の障害物に注意。

時として大釣りになる春のヤマメ・ヒカリ釣り。
曳き舟は常に携行し釣果は一旦キープした後、持ち帰りは最小限にとどめ極力リリースを心がけたい。
と言ったところで、次回からは枯葉釣法アユ編である。











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  • 1944年宮城県生・岩手県盛岡市在住・古き良き時代の電気設備技術者。
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