自動車塗装の自分史とSL蒸気機関車写真展〜田辺幸男のhp
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・「根室本線旧線の“狩勝峠”を訪ねて」
336.  狩勝峠、新内沢大築堤を登る 新内-狩勝(信)

〈はじめに〉
 写真の後にある〈撮影メモ〉では、列車の走行している位置を滝川起点キロポストで説明していますので、主要な構造物のキロポストを一覧しておきました。
〈キロポスト(落合-狩勝信号場−新内新得:滝川起点)、標高の一覧〉
落合駅:108.2k、標高 413m。
狩勝信号場:119.0K
狩勝トンネル(標高 534m)
狩勝トンネル新得側出口:120K120m。
日本八景の標柱:120K850M
新内トンネル:121K700M、標高 471m。新内沢大築堤中央:122K41M
大カーブ開始点:124K(掘割部分へ入る。)
ダイカーブ終わり点:125K手前。
(新内駅-狩勝信号場 間: 8.7q)
新内(にいない)駅:127K700M、標高 334m)
(新内駅−新得駅 間:11.1km) 新得駅)
新得駅:138K800M、標高 187.7m。
〈キロポスト一覧終わり〉

〈0001:bO30766.新得方向を遠望〉



 〈撮影メモ〉
新内沢大築堤の狩勝峠寄りにある山を登って新得方面を遠望した景色です。手前の草に隠れて見えないところが新内沢大築堤の線路のある所です。背後に見える午後の陽光の当たっている山はペンケ山と云う新得町内にある山です。先頭の機関車の位置は滝川起点 122K780Mです。

〈0002:bO30931:遠望T/新内沢大築堤を登る〉


〈撮影メモ〉
列車は更に進んで、新内沢大築堤を走っています。先頭は滝川起点 122K500Mの地点です。左上には佐幌岳(標高 1,059.5m、狩勝峠の北4q)の山麓にあった石切り場が写っています。ここからの石材が鉄道建設に多く使われています。
この写真の後部補機の居る辺りに「狩勝峠 日本八景の一」の標柱があります。

〈0003:bO30932:遠望U〉


〈撮影メモ〉
 先の寫眞より少し先を行く列車を連写しています。
列車は更に進んで、列車の先頭は滝川起点 120K600Mの付近を走っています。
後ろの機関車の右横の辺りには、「狩勝峠:日本八景の一」の標柱が立っています。

〈0004:bO30933:遠望V〉


〈撮影メモ〉
先頭の機関車は滝川起点 120K550Mまで来ています。狩勝トンネルまでの区間で最後の直線区間に入ろうとしています。

〈0005:bO31233:追掛け〉


〈撮影メモ〉
新内沢大築堤の横の崖の上で線路に近い場所から撮っています。眼の前を通り過ぎて、次のカアブへ入った貨物列車です。
本務機と後補機の吐き出す迫力のある煙で空が白煙で満たされてしなった。カーブを曲がっている長い列車のサイドに夕陽が当たっていた。後部補機の前の緩急車が丁度小さな鉄橋の上にいます。これは逆川という橋を通過中で、後部補機の場所は滝川起点 122K600M付近で、新内トンネルの手前にあたり、ここで90度カーブして新内トンネルを目指している所です。
撮影メモの開設は「狩勝高原エコトロッコ鉄道」の増田さまから教えて頂きました。有難うございます。

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〈紀行文〉
 この標高:643mの狩勝峠は日高山脈を越える峠であり、その西側は石狩川水系、東側は十勝川水系で、日本海側と太平洋側との分水界であった。ここは、函館本線の札幌と旭川の中間に位置する滝川駅を起点とする根室本線に乗り、富良野を経て108qほど帯広に向かって東進すると落合駅に付く。この狩勝峠は落合駅と新内(にいない)駅間に当たっている。この落合駅から7.9q先の狩勝トンネル直前に蒸気機関車への給水、給炭と列車行き違いの施設として狩勝停車場(後に信号場)が当初から設けられていた。そして狩勝峠直下に狩勝隧道(標高 534m・延長954m)が掘削された。このトンネルを抜けて延々と主に曲率半径200mの急カーブと25‰の勾配の続く8.73qを下ると新内駅となる。このトンネルを札幌方面から十勝側に抜けると眼下に雄大な十勝平野が一望できることから「日本三大車窓」のひとつとなった。
その他の二つは、九州の肥薩線矢岳峠越えからの“えびの盆地俯瞰”、それに信州の篠ノ井線姨捨(おばすて)駅からの“善光寺平俯瞰
”である。
 初日の午後るなると天候の回復の兆しが現れて来たので、目指していた大カーブが眺望できる場所探しに峠を少し下った。そして、左手の山へ登って撮った写真が掲げた3枚の連続写真である。
このようなショットが得られる場所が、近年森林の伐採で現れたとの情報が黒岩さんの撮影記に載っていたから、必死に探し回ってやっと発見したのであった。(実際は大カーブではなくて、新内沢築堤であったようだ。)
この時は、試に買って詰めて置いた「さくらネガカラー」で撮った作品である。さすがに経年変化による退職がみられたものを修正しました。
〈新内沢大築堤についての解説〉
『根室本線旧線(通称狩勝線)の狩勝信号場〜新内駅間では大小いくつもの沢を渡っていますが、いずれも鉄橋はなく、谷に土を盛って作られた築堤になっているのが特徴です。その築堤の中でも特に大きな沢を渡っているのがこの「新内沢大築堤」です。
「鉄道路線変遷史探訪V 北海道の鉄道」によると、
「大築堤の工事はわずか10チェーン(200m)の区間に、2万4000立坪(14万4000m3)の盛土工事を行い明治37年9月に完成した。」とあります。その数値から想像ができないほどの土の量です。重機の無い時代、いったいどこからそんな大量の土を運んできたのか、
想像を絶する工事だったことと思います。築堤で一番高い部分はしたからレール面まで76mほどあるそうで、これは実に高いです。
新内沢大築堤の位置ですが、滝川起点122k410mで勾配は22.7パーミルになっています。カーブの半径は221.28mです。』
陰陽文献:
鉄道歴史研究 - 根室本線旧線 新内沢大築堤(狩勝信号場−新内間)
http://ecotorocco.jp/railhistory/niinaisawa/
〈根室本線集線鉄道遺産群れ〉
 最後に、今では廃止された旧線の区間には数多くの鉄道遺跡が残っている。近年になってから、例えば、土木学会選奨土木遺産として、2003年認定されたのは「旧狩勝峠鉄道施設群」があり、また2009年には経済産業省 地域活性化に役立つ近代化産業遺産として多くの物件が指定されている。その主要な遺構を列記すると:
@―大築堤群
高さ80mを越える大築堤
A-新内隧道
延長約129mの短い隧道ですが,アーチ部が煉瓦積みで側壁が石積みの意匠的に特徴ある隧道です。
特に隧道の入口では両壁には切り欠けが加えられた壁柱が立ち,アーチ部分は切石によって構成され,
アーチ頂部には要石(かなめいし)がはめられています。
B新内第2号橋梁(煉瓦アーチ橋)―小笹川橋梁
下新内川を渡る高さ約7m,アーチ径4.6mの煉瓦造のアーチ橋です。
水面からアーチ基部までは高さ約2.6m,奥行きは約9mのものです。アーチ部分は6層になっています。
C狩勝信号場跡
D新内第3号橋梁(煉瓦橋台の鉄橋)
E落合第20号溝橋(煉瓦、石造アーチ橋)
センター部分は御影石造りのアーチ橋で、両端が煉瓦アーチ橋です。新アーチ部分は3層になっています。レンガの寸法220×110×55。イギリス積み。
F落合第19号溝橋(石造アーチ橋)
G大カーブ
oo大築堤(延長480m・法長60m)と長大曲線(延長770m)で通称大カーブと呼ばれる馬蹄形状のカーブです。
曲線半径も181mの急曲線であり、そのため脱線防止レールも敷設されていました。
列車は、急曲線と急勾配線のため時速40キロの制限があり、慎重な運転を求められる機関士泣かせの難所でした。
保線作業でも除雪はラッセル使用不能で人力手作業しか通用しない苦労の多い曲線でした。

H狩勝隧道
馬蹄形の断面をした煉瓦造による単線隧道です。
明治34(1901)年、海抜644mの狩勝峠直下の狩勝隧道(ずいどう)の工事が着手されました。
工事は、掘削地の岩質が一定せず、また固い岩層に突き当たったり、
予想を越えた湧水にはばまれ1日30cm〜90cmしか掘削できない手作業の
難工事で開通までに3年半を要し、明治38(1905)年1月に完成しました。
その後、大正11(1922)年に36mの延長工事があり954mになりました。
また、随道内は25/1000という急勾配が続くため機関士は排煙と熱気に苦しめられ続けました。
J落合第13号溝橋(煉瓦アーチ橋)
re本線の方の軌道を20M程行ったところを流れる小川にかかる煉瓦アーチ橋です。レンガの寸法220×105×55。頭には御影石が配置され、手前には石造の橋台があります。 

 〈参考サイト〉
1): 「NPO法人 旧狩勝線を楽しむ会」
http://www.karikachi.org/
「旧狩勝線を楽しむ会」は、 北海道の脊梁山脈を越えて十勝と石狩を結んだ旧狩勝線の歴史や現在を、廃線跡ツアーや映画上映会、 学習会などを通して調査や保存活動を行ない、埋もれようとしている北海道の近代化の歴史遺産である新得町の歴史遺産を楽しみながら、後世へ継承することを活動目的とする会です。

2): 「狩勝峠 - 鉄道写真 蒸気機関車がいた時代 堀越庸夫 - FC2」
http://locomotivesteam.web.fc2.com/PhotoKarikachi.htm
廃止直前の冬の2月の素晴らしい写真が多く掲示されています。
3):  狩勝高原エコトロッコ鉄道 - 北海道新得町のトロッコ  
http://ecotorocco.jp/
このさいとには「鉄道歴史研究」と云う記事があり、大変参考になります。

撮影:昭和41年(1966年)7月4日。

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・「根室本線旧線の“狩勝峠”を訪ねて」シリーズのリンク
335. プロローグ:狩勝峠からの大俯瞰(ふかん)・新得−狩勝(信)
--「日本三大車窓風景・新日本八景(平原)--
332. 狩勝峠、オメガカーブを登る T・新内−狩勝(信)
334. 狩勝峠、大カーブヲ登ル U ・狩勝(信)−新内
333. スイッチバックの狩勝信号場・落合〜新内 間
331. 狩勝峠のDC優等列車たち・新内〜狩勝信号
338. 上り貨物の緩急車に添乗して・新得→新内 間
337.狩勝峠スナップ アラカルト・新内−狩勝信号場