自動車塗装の自分史とSL蒸気機関車写真展〜田辺幸男のhp
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        ・シルバートン紀行・コロラド州
026.  D&RGW 鉄道のシルバートン駅 ・復元保存中

(D&RGW:デンバー,アンド,りお,グランデ,ウエスタン鉄道)

〈0001:〉
シルバートン駅のナローミカ

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〈紀行文〉
 500人は超すであろうオープニングの処女列車に乗り合わせた幸運の人々が降り終わった頃になると、重連の列車はそのままゆっくりと後退して、町外れに近いところにあるD&RGWの時代のままに貴重な文化財として保存されているシルバートンの駅舎の脇に、前子機を切り離した。
そして客車を逆推進して町外れのデルタ線に後部から突っ込んで待機に入った。
今日は来訪者のために石炭ストーブが焚かれて薄い煙が煙突からら立ち上っている駅舎の軒先にはD&RGWの大きなロゴと“Silverton”sの駅名板が取り付けられていた。
そして、後補機は黄色のペンキを塗ってデンバー・アンド・リオグランデ・ウエスタン(D&RGW)の風情をのこした駅舎の脇で皆さんにポートレートを十分に撮らせてから、汽笛を長く鳴らしながら後進でデュランゴを目指して、一足先に単記で回想で帰って行った。
 実はSan Juan Mountainsの心臓部の回りに散在する鉱山からの鉱石は危なっかしい有料道路を経て駅馬車でシルバートンへ運ばれていたが、シルバートン支線を開通させたD&RGではなんとか鉄道を延長させたいと計画していたようだった。やがて、1887年になって、Silverton Railroadが創設され、北へRed Mountain 峠(11,018 ft./3358m)を越えて、Red Mountain、の周囲にあるlucrative 鉱山地域へ達しようと企てていた。しかし丁度
Ourayの南8マイルに当たるAlbanyに到達した所で、この先の8マイルの鉄道建設はスィチバックなどを用いても尚、勾配が50パーミルを越えるほどとなり、建設は諦めざるを得なかった。そこでラック・アンド・ギヤー式鉄道が提案されたが、構想の段階を出ない内に1922年に国道"Million Dollar Highway”の開通によって廃線となってしまった。また説明によれば Corkscrew Gulchにあるスウィッチバックの線路の先端部に50フィートのターンテーブルが設けられて、機関車を転向と付け替えを冬期のブレーキングのために実施していたことでも有名な所であったと云う。この山声が断念されたことで、改めてデュランゴから山脈の西側を制覇するRGSリオグランデ・サザン)鉄道が建設されることになる。
また西北に当たる、アニマス河の上流の方向の鉱山地域を目指して、1989年に SilvertonN orthern Railroad が建設され、毎日300トンを越える鉱石をデュランゴの精錬所へ発送していたと云う。これらの廃線は既に消えかかっていると云う。

さて、 ここではD&RGWのナローゲージ・ミカド・タイプの蒸機たちについて触れたい。今、デュランゴ〜シルバートン間にはK-28形のミカドが3輛活躍しているが、将来のグレードアップに備えて、より強力なK-37,K−36形も確保され、一部はデュランゴのヤードに留置されていた。このK−36型ともなると重量143トンとなり、日本のD52より重いのである。
1870年代のナローゲージは、30ポンド・レールの上を、 2-4-0、2-6-0、4-4−0などが使用されていたが、その後重量化され、4-6-0が旅客、2-8-0が貨物サービスに使用され、今も一部の数輛は保存鉄道で全米の各地に見ることができる。
その後、増加する貨物へのサービス、重連の廃止による経費節減を目的として次の4形式が生れた。
・K-27形(♯450〜464) 2-8-2ミカド
動輪径:40インチ、シリンダー:17×22インチ、全重量:140,250ポンド、
牽引力:27,000ポンド。
旅客列車サービス用として15輛がボールドウィン機関車工場で製造され、初は13×22インチ×22インチのシリンダーを持ったポークレイン複式機関車であったがメインテナンス面からの要請で通常のものに改造された。
そして 4 %勾配で 200 トンを牽引することを求められたことから、フレームを動輪の外側に配置したので、火室を広く安定化して設置することができた。それ故に、外観的には、大きなバランスウェイトが踊るように回転し、足廻りにはほとんど動輪は見えない。この外枠式は次の形式にも継承されている。
現在、アントニオ市に贈られた♯463,ミシガン州のハックルベリー鉄道の♯464 が現存しているのみである。
新製当初、屡々脱線したので、(真の原因はレールにあったのだったが)、“MUDHEN”(くいな、沼地や湿地を好む鳥)のニックネームがたてまつられたと云う。
・K-37形(♯490〜499) 2-8-2 ミカド
動輪径:44インチ、シリンダーー:20×24インチ、全重量:187,250ポンド、
牽引力:37,100ポンド。
この機関車は元来、標準軌に改軌されたメインライン用に1902年にボールドウイン機関車工場で製造され、2-8-0タイプ、クラスC-41であったものが、ナローゲージ用として1928,30年の2回に分けて改軌され使用されたものである。
今6輛残っている。
・K-28形(♯470〜479) 2-8-2 ミカド
1923〜25年頃、不況で貨物需要の減少で、経営も苦しく廃止も検討された時、地元の経済界の支援により再建され、サービス向上を目的で客車や機関車が増備された。10輛が1923年にアメリカン ロコモーチブのスケネクタディ工場で製造され、南西コロラドで客車12輛を牽いて活躍していた。第一次世界大戦中、カナダからアラスカへのハイウェイ建設ルが始り、陸軍に借り上げられ、7輛がWP&Y(ホワイト・パス・アンド・ユーコン」鉄道で稼働した。(この鉄道は太平洋癌から峠を越え、目のくらむような高い鉄橋を渡って内陸の金鉱山とを結ぶもので観光鉄道として今も残る)。戦後1946年に返却され、シアトルにてスクラップにされた。1930年頃から、シルバートン支線にも入線出来るようになり、今も健在ぶりを発揮している。一時は大洪水による路盤流失でアニマス川に転落した経歴を持っている。
・K-36(♯480〜489) 2-8-2 ミカド
動輪直径:44インチ、シリンダー:20×24インチ、全重量:187,100 ポンド、
牽引力:36,200ポンド。
1925年に10輛がアメリカン ロコモーチブで製造され、1輛がスクラップされた外は全部がナローゲージの最後まで活躍し、C&TS(クンプレス・アンド・トるテック・しーにっく)鉄道にも保存されている。
元来は貨物機で、4%勾配でで230トン牽引が出来、近代化された装備がされている。
44インチの動輪に、12-gの固定軸距離は良くナローゲージの急カーブになじみ、平地では35〜40マイル/時の速度で安定した走りを見せて、“SAN JUAN EXPRESS"などの優等列車に就役した。当時、ナローゲージの蒸機として世界最大を誇っていた。重量は127トンを越えるので日本のD52より重い。
D&S NGRR、C&T SRRに保存運転されている。
その他のSL:D&RG
♯315
C-18クラス、 2-8-0、Baldwin 1895製 
2007年現在動態状態でデュランゴ歴史協会が保存なかで、イベントに出演することがある。

 最期にナローゲージ王国 D&RGWの生き残った残像の一つであるC&TSrrに触れておこう。
この路線は元来1880年に建設されたD&RGのシルバートンへ向かうSan Juan(サン・ファン) 延伸線であって、3フィート軌間のナローゲージであった。年代がくだって、世界第二次大戦後の好景気はあったものの、1960年には衰退し1969年に廃線申請が受理され、貨物サービスは廃止された。
その殆どの線路の撤去と拝借は認可されたが、しかしその観光的な価値の或部分を保存する運動が起こった。1970年にコロラド、ニューメキシコの二州が連携して、Antonito 〜 Chama間の路線と付帯施設、9輌の蒸気機関車、130輌の車輌、鉄道工場などをを54万ドルで買収した。その翌年にはCumbres & Toltec Scenic Railroad Commissionが発足して、1974年にはthe Cumbres & Toltec Scenic Railroadと云う非営利団体が発足しタノである。
ここはコロラド州のアントニーオとニューメキシコ州のチャマの間約67マイルを毎日両方から一本づつの列車が発車して、クンプレス峠で交換すると云う運転を夏の間だけ行っている。ここは
全く観光地のない、隔絶した山の中であることから、運営は厳しいようで、ボランテアの支持に大きく支えられている点が特徴であるとか。そのためか立ち入りは比較的自由とのことであるとのことだ。
ともあれ、「コロラド高原のナローゲージに光栄あれ」

影:1981年
発表:「れいる」誌・1981年秋の号(1981−10月)


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・シルバートン紀行・1〜7(コロラド州)
094. デュランゴ&シルバートン・ナローゲージ鉄道の開幕
078. ナローゲージのキャピトル“デュランゴ”・コロラド州
081. コロラドの宝石箱 シルバートンへ登る処女列車
096. シルバートンを目指した人々の歴史・コロラド州
075. 処女列車のシルバートン到着風景・シルバートンの街中
079. さらば、しるばーとん、永遠なれ・コロラド州