古典棋譜鑑賞室  秀策の棋譜 全63局

秀策のプロフィール

<秀策の碁に関する石田芳夫九段のコメント>
秀策の布石の骨子は、局面を簡明化し、先着の効を確実に維持させるところにある。読者は実戦譜から、秀策流の本質をつかみ出せるはずである。
亡くなられた瀬越憲作先生は、「秀策は強力と読みの深さを奥深く蔵して、碁の複雑性を簡明にしている。」と評しておられるが、まさに至言だと思う。あらゆる変化を読みつくした上で、これで勝てると見れば無理をせず、一番わかりやすい手を打つ。棋理に明るく、大局観にすぐれていればこそ可能な業であり、よほどの自信がなければこうはいかない。まれに碁を悪くしたとき、巻き返す力感はすごい。読者は、なんの奇もてらわぬ秀策の着手の裏に、全てを洞察する克明な読みの裏付けがあるのを、見逃してはならぬと思う。機を見て自在に変化する柔軟さもまた、秀策の碁の特徴である。
現代は、まだまだ秀策を超えていない。秀策の棋譜を研究しての、これが私のいつわらぬ感慨であった。

<smile_aceの鑑賞ポイント>
局面を複雑にしようという作戦を重視した丈和の戦いの碁を鑑賞した後に、石田九段の言う「奇をてらわない碁」を見るのはすごく新鮮だと思います。碁の本質は戦いだと思っているsmile_aceがそんな秀策の碁をどう感じるか。楽しく鑑賞して行きたい。
尚、2006年8月にsmile_aceは秀策の生誕地因島の秀策記念碑、墓、記念館を自転車ツアーを組んで見学に行きました。

秀策の生誕地尾道市(旧因島市)のホームページ
   市技を囲碁としているだけあって秀策について色々な記事があります。

尚、尾道市は、2008年秋の開館を目指し、秀策の生誕地・因島外浦町に「本因坊秀策記念館」を建設予定とのことです。設計案では、秀策の生家跡そばに、木造平屋の生家を復元し、鉄筋平屋の資料館を建設するとのことでした。(2007年6月記)



参考図書
日本囲碁大系15 秀策
古典名局選集 秀麗秀策
解説 石田芳夫九段
解説 福井正明九段
shusaku.jpg (141859 バイト)shurei.jpg (344137 バイト) 
Cの表示の御城碁については木石庵さんのホームページより引用し、コメントもそのまま掲載させてもらいました。木石庵さんとの直接の連絡は取れませんでしたが、リンクフリーを確認しています。

ご意見、お問い合わせなどはsmile_aceの囲碁のページ メッセージボードにお願いします。

   

年代順に表示、最右欄Aは日本囲碁大系15秀策のみに、ABは両書籍に、Bは秀麗秀策のみに掲載されている碁であることを示しました。対局日に当該鑑賞ページへのリンクを張っていますが、Cについては直接検討ファィルにリンクを張っており、番外としています。
No 対局日 西暦 対局者 対局者 勝敗 碁のコメント
01天保11年3月14日 1840 3子 桑原 秀策 伊藤 松治郎 黒4目 入段してまもない満10歳の時の伊藤松和との3子局
02天保13年3月 1842 2子 桑原 秀策 本因坊 秀和 黒中押 第14世本因坊たることを約束された秀和との第1局。
03天保13年8月7日 1842 2子 桑原 秀策 太田 雄蔵 黒中押 生涯の好敵手太田雄蔵との手合いを先二としたカド番勝利の碁
04弘化3年5月10日 1846 先番 中川 順節 桑原 秀策 白中押 4年前に2子置いて4連勝した順節との先相先の一局
05弘化3年7月25日 1846 先 桑原 秀策 井上 因碩 黒2目 古典棋譜で一番有名な「耳赤の一手」の局 AB
06弘化3年10月14日 1846 先 桑原 秀策 本因坊 秀和 黒6目 秀策流を完成させた秀和との17連戦の第1局
07弘化4年2月13日 1847 2子 桑原 秀策 本因坊 丈和 打掛 現存する丈和との唯一の棋譜
08弘化4年2月17日 1847 先 桑原 秀策 本因坊 秀和 黒中押 秀策流を完成させた秀和との17連戦の第5局
09弘化4年7月13日 1847 先 桑原 秀策 本因坊 秀和 黒1目 秀策流を完成させた秀和との17連戦の第9局
10弘化4年9月3日 1847 先 桑原 秀策 本因坊 秀和 黒中押 秀策流を完成させた秀和との17連戦の第15局
11嘉永元年7月6日 1848 先番 桑原 秀策 太田 雄蔵 黒1目 破竹の秀策の前に立ちふさがる生涯の好敵手との先相先の先番
12嘉永2年10月8日 1849 先番 本因坊 秀策 太田 雄蔵 黒4目 打ち込まれていた雄蔵に対して互先に打ち込んだ先相先の先番 AB
13嘉永2年11月17日
 御城碁第1局
1849 先番 本因坊 秀策 安井 算知 黒11目 師秀和の好敵手との御城碁 AB
14嘉永3年11月17日
 御城碁第3局
1850 先番 本因坊 秀策 坂口 仙得 黒8目 御城碁経験12年のベテランとの御城碁
15嘉永3年11月17日
 御城碁第4局(好)
1850 先番 本因坊 秀策 伊藤 松和 黒3目 秀策の生涯の一局として石田九段が選んだ碁 AB
16嘉永4年6月3日 1851 先 関山 仙太夫 本因坊 秀策 白中押 文武両道の関山仙太夫との20番碁の第1局 AB
17嘉永4年11月17日
 御城碁第5局
1851 先番 本因坊 秀策 林 門入 黒7目 林家12世門入との御城碁
18嘉永5年11月17日
 御城碁第7局
1852 先 井上 因碩 本因坊 秀策 白2目 13世井上因碩、松本錦四郎との御城碁(先相先の白番) AB
19嘉永6年2月5日 1853 先番 太田 雄蔵 本因坊 秀策 白2目 秀策が8年がかりで互先に追いついた生涯の好敵手太田雄蔵との30番碁の第3局
20嘉永6年6月21日 1853 先番 太田 雄蔵 本因坊 秀策 白3目 太田雄蔵を先相先に打ち込んだ30番碁の第17局 AB
21嘉永6年7月5日 1853 先番 本因坊 秀策 太田 雄蔵 黒中押 先相先に手合いが変わって後の1勝1敗後の第20局
22嘉永6年11月18日
 御城碁第10局(好)
1853 先番 安井 算知 本因坊 秀策 白1目 算知が正確なヨセを打っていたら危なかった御城碁 AB
23安政3年12月17日
 御城碁第12局
1856 先番 伊藤 松和 本因坊 秀策 白中押 嘉永3年の御城碁で苦戦した大先輩に、白番で恩を返した御城碁
24安政5年11月17日
 御城碁第14局
1858 先番 坂口 仙得 本因坊 秀策 白3目 御城碁の19局の内3番目の苦戦の碁
25安政6年4月19日 1859 二子 海老沢 健造 本因坊 秀策 白5目 明治碁界の中心人物として活躍した後の巌崎健造との10番碁の第6局
26安政6年11月17日
 御城碁第16局(好)
1859 先番 本因坊 秀策 服部 正徹 黒13目 井上家から移って服部家を継いだ10歳年長の正徹との、秀策流の御城碁
27文久元年9月29日 1861 先 村瀬 秀甫 本因坊 秀策 白3目 秀策の後継者秀甫との10番碁の第6局 AB
28文久元年11月18日
 御城碁第19局(好)
1861 先番 林 有美 本因坊 秀策 白中押 御城碁19連勝達成の碁、秀策の絶局 AB
番外     対局の背景をについての解説を主としている秀麗秀策のみに掲載の碁は番外とした
29天保10年11月9日 1939 先番 安田 栄斎 板垣 忠蔵 黒中押 十歳で初段
30天保12年8月12日 1841 2子 安田 栄斎 中川 順節 黒中押 天覧の譜
31天保13年8月13日 1842 先2子先番 
安田 秀策
太田 雄蔵 黒5目 雄蔵との初先番
32天保14年9月14日 1843 先 安田 秀策 安井 算知 黒中押 算知との初番
33天保15年2月15日 1844 先 安田 秀策 本因坊 秀和 持碁 師との秀策流
34天保15年10月3日 1844 先番 安田 秀策 互先 伊藤徳兵衛 黒中押 2度目の帰郷で
35天保15年10月10日 1844 先 安田 秀策 伊藤松次郎 黒中押 松和に先で
36天保15年10月21日 1844 先先先先番 
安田 秀策
加藤 隆和 黒6目 棋醇の著者と
37弘化2年5月 1845 2子 宝泉寺 葆真 本因坊 秀策 白中押 旧師との2子局
38弘化3年10月21日 1846 先 安田 秀策 本因坊 秀和 黒中押 跡目候補に
39弘化3年12月19日 1846 先先先先番 
安田 秀策
坂口 仙得 黒中押 仙得との初番
40弘化3年12月30日 1846 先先先先番 
安田 秀策
井上 秀徹 黒10目 跡目と跡目候補
41弘化4年9月13日 1847 先番 鶴岡三郎助 安田 秀策 白中押 兄弟子を抜く
42嘉永2年4月18日 1849 先 鬼塚 源治 本因坊秀策 勝敗不明 坊門の跡目として
43嘉永3年8月10日 1850 先 岸本左一郎 本因坊秀策 白6目 3度目の帰郷で
44嘉永4年10月22日 1851 先 本因坊秀策 本因坊 秀和 黒4目 師弟の名局
45嘉永4年10月28日 1851 先 本因坊秀策 本因坊 秀和 黒3目 秀和との最終局
日本囲碁大系14秀和の解説
46嘉永5年2月22日 1852 先番込み3目 
安井算知、伊藤松和、太田雄蔵
本因坊秀和、坂口仙得、本因坊秀策 黒2目 嘉永オールスター
47嘉永6年2月2日 1853 先番 本因坊秀策 互先 太田 雄蔵 黒中押 雄蔵との30番碁
48嘉永6年11月5日 1853 先番 本因坊秀策 先先先 太田 雄蔵 持碁 好敵手の好局
49嘉永7年10月29日 1854 先 村瀬 弥吉 本因坊秀策 白8目 弟弟子弥吉
50安政2年3月6日 1855 先先先先番 
本因坊秀策
幻庵 黒中押 いま一度、幻庵
51安政3年7月27日 1856 先先先先番 
服部 一
本因坊秀策 白10目 大地震のあと
52安政4年3月29日 1857 2子 葛野亀三郎 本因坊秀策 白中押 義弟との道中
53安政6年11月3日 1859 先2子先番 
海老沢健造
本因坊秀策 白4目 後進への好意
54文久元年4月8日 1861 先 村瀬 秀甫 本因坊秀策 白4目 後輩の成長
御城碁    19局の御城碁の残り9局の棋譜を木石庵より拝借しコメントしました
55嘉永2年11月17日
 御城碁第2局(好)
1849 先番 本因坊秀策 坂口 仙得 黒中押 黒29と早い時期の開戦が印象的
56嘉永4年11月17日
 御城碁第6局(好)
1851 先番 本因坊秀策 安井 算知 黒中押 算知が3手目に大斜に掛けて、他の開き隅を一手も打たず大斜定石が始まった
57嘉永5年11月17日
 御城碁第8局(好)
1852 先番 本因坊秀策 伊藤 松和 黒6目 黒41、43の意図、黒65の愚形の意味が解けない
58嘉永6年11月17日
 御城碁第9局
1853 先番 本因坊秀策 坂口 仙得 黒中押 白20が納得出来ない
59安政元年11月17日
 御城碁第11局
1854 先番 井上 因碩 本因坊秀策 白中押 黒17、19、21の手段が面白い
60安政4年11月17日
 御城碁第13局
1857 先番 本因坊秀策 安井 算知 黒中押 黒71、秀策らしい果断の一手(木石庵)
61安政6年11月17日
 御城碁第15局
1859 先番 本因坊秀策 伊藤 松和 黒9目 黒101は秀策らしい手なのか
62万延元年11月17日
 御城碁第17局
1860 先番 林 有実 本因坊秀策 白4目 白20の方向性や如何に
63文久元年11月17日
 御城碁第18局
1961 先番 林 門入 本因坊秀策 白11目 左下白30はサバキでなくて、右下の攻めが目的

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