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説教題:「主がおいりようです」

聖 書:マルコによる福音書11章1〜11節

 今日から受難週に入り、いよいよイエス様が人間としてこの世に生きた33年間に終わりが近づきいよいよ十字架刑に掛かられるまでの時を過ごすために、ロバに乗って神殿があるエルサレムに入って行かれる時の事です。

 イエス様がロバに乗ってエルサレムに入られるわけですが、聖書には多くの箇所でロバが登場しているので、ロバについて検証してみることにします。

 ロバが最初に登場するのは、創世記12章16節で「パロは彼女のゆえにアブラムを厚くもてなしたので、アブラムは多くの羊、牛、雌雄のろば、男女の奴隷および、らくだを得た。」と記述されています。

この記述は、エジプトの王様がアブラムに対して、羊、牛そして雌と雄のロバを与えたとあり、ロバは雌と雄のつがいを与えたのです。

紀元前13世紀にはエジプトの壁画に荷物を背負ったロバが描かれていることから、古くから家畜として飼育していたことがわかりますが、日本ではロバは飼育されていませんが、数カ所の動物園でロバを見ることが出来るとのことでした。

 ロバは聖書全体で154箇所に記されているように、エジプトだけではなく、パレスチナ全体で飼育されており、当然ユダヤ共同体にとってもロバは身近に存在だったことが分かります。

 ロバはウマ科に属する動物で、屈強な動物で乾燥した土地や山岳地帯に強く、比較的少ない餌で飼育することが出来、30年以上の寿命があり体重は約250`c、競走馬は500`程あるので競走馬の約半分程の重さなので、ロバ小屋も馬小屋に比較すると半分程でいいので、管理もしやすいので家畜として大変重宝されていたのです。

 イエス様がロバに乗ってエルサレムに入ったことは、ゼカリヤ書9章9節に「シオンの娘よ、大いに喜べ、エルサレムの娘よ、呼ばわれ。見よ、あなたの王はあなたの所に来る。彼は義なる者であって勝利を得、柔和であって、ろばに乗る。すなわち、ろばの子である子馬に乗る。」との預言されています。

イエス様はこのゼカリヤ書の預言の通り、ロバに乗ってエルサレムに入る事にしたのです。

イエス様一行が、ベタニヤ村の近くに来られた時、弟子たちに命じて、村に行って誰も乗ったことがない、子どものロバを連れてくるようにと言われたのです。

所でロバは、おとなしい性格だと思っているかもしれませんが、決しておとなしくはなく、賢いけれども気性は荒く、素直では無く、敵対するものに対しては激しく向かって行くため、番犬ならぬ番ロバとして飼われているのです。

 その事が創世記16章12節に「彼は野ろばのような人となり、その手はすべての人に逆らい、すべての人の手は彼に逆らい、彼はすべての兄弟に敵して住むでしょう」と記されている事から、気性が荒いく、人に逆らわせ、兄弟といえども敵対するような人間が野生のロバに例えられているのです。

 ロバは、初めて自分の背中に人を乗せることは嫌がり、振り落とそうとするので、調教をすることにより、人や荷物を載せるようになるのです。

 イエス様が、誰も乗ったことがないロバの子を連れて来なさいと弟子たちに命じているので、人を乗せたことがないロバの子は素直にイエス様を乗せる気質ではなかったことを頭に入れておかなければならないと思うのです。

 ロバが賢い動物だといいましたが、ロバは周囲の状況を注意深く見守り、異常を察知する能力があり、他の家畜と友に生活し、家畜同士仲間意識を持ち、夜も昼も家畜たちの面倒をみ、外敵が来ると家畜を守るため、外敵を追い払うということを思うと、人間と大変似た性格であることが分かります。

イエス様が乗ろうとされたロバは、主イエス・キリストを信じた信仰者の一人一人のことを言われているように思うのです。

キリスト者は、周囲の状況を注意深く見守り、兄弟姉妹の異変に気がつき必要とあれば手助けをし、兄弟姉妹仲良くし、主イエス・キリストを信じる信仰の一致をもち、兄弟姉妹の中でサタンの誘惑に耳を傾けている人を、主イエス・キリストの名によって助け出し、その人の心が平安になるように主に祈ることとなります。

 弟子たちは、イエス様に命じられたことで、村に行って繋いであったロバのひもを解き連れてこようとしたときに、そばに居た人々が「そのろばの子を解いて、どうするのか」と詰問されたので「主がお入り用なのです。またすぐ、ここへ返してくださいます」と答えると、人々は弟子たちがロバを連れて行くことを許してくれたと記されているのです。

 現在ロバを買おうとすると、1頭が35万円から50万円ほどするので、イエス様の時代でもロバは人々にとって貴重な財産であったことから、弟子たちの話しで人々が納得したのは聖霊様の働きによるものと思うのです。

 聖霊様の働きとして、歴代志下36章22節23節に「ペルシャ王クロスの霊を感動されたので、王はあまねく国中にふれ示し、またそれを書き示して言った『天の神、主は地上の国々をことごとくわたしに賜わって、主の宮をユダにあるエルサレムに建てることをわたしに命じられた。あなたがたのうち、その民である者は皆、その神、主の助けを得て上って行きなさい』」。と記されている箇所があります。

ペルシャ王クロスは、全能の神様を信じていはいませんでしたが、バビロニア帝国の奴隷となっていた南ユダ王国の人々に対して、エルサレムに戻り第二神殿を建てるように宣言したのは、聖霊様の働きによりクロスの口から出たことが分かるのです。

現在イエス様は、使徒行伝2章33節に「イエスは神の右に上げられ、父から約束の聖霊を受けて、それをわたしたちに注がれたのである。このことは、あなたがたが現に見聞きしているとおりである。」ヨハネによる福音書14章26節で「助け主、すなわち、父がわたしの名によってつかわされる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、またわたしが話しておいたことを、ことごとく思い起させるであろう。」と、イエス様が御国へ帰られてから、この世に聖霊様を遣わされたのです。

マタイによる福音書12章31節に「あなたがたに言っておく。人には、その犯すすべての罪も神を汚す言葉も、ゆるされる。しかし、聖霊を汚す言葉は、ゆるされることはない。」またマルコによる福音書3章29節に「聖霊をけがす者は、いつまでもゆるされず、永遠の罪に定められる」そしてエペソ人への手紙4章30節「神の聖霊を悲しませてはいけない。あなたがたは、あがないの日のために、聖霊の証印を受けたのである。

」とイエス様が言っておられるのです。  マルコによる福音書11章7節で「弟子たちは、そのろばの子をイエスのところに引いてきて、自分たちの上着をそれに投げかけると、イエスはその上にお乗りになった。」と記されているのです。

 イエス様の所へ連れてこられたロバの子は、イエス様が背中に乗った時も暴れることなく、背中に乗せたということは恐らくロバの性格を知っている弟子たちも驚いたのではないかと思うのです。

 マタイによる福音書12章18節にイエス様が「見よ、わたしが選んだ僕、わたしの心にかなう、愛する者。わたしは彼にわたしの霊を授け、そして彼は正義を異邦人に宣べ伝えるであろう。」と記されている箇所がありますが、イエス様がロバを通して人をも選ばれることを示されたのではないかと思うのです。

 イエス様は、人間を罪から解放するために、一人一人を選ばれていますが、選ばれている事に気がつくことにより、主の僕となることが出来るのです。

 サムエル記上3章で、預言者エリに仕えていたサムエルが、寝ている時に「サムエルよ、サムエルよ」と呼ぶ声に飛び起きてエリに聞きにいったが、エリはお前を呼んではいないと答えたが、その事が三回続いた時にエリが、今度呼ばれたら「しもべは聞きます。お話し下さい」と答えるようにサムエルに言ったのです。

 寝ていると四度目に「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれたことで、サムエルはエリに教えられた通りに「しもべは聞きます。お話しください」と答えた事で、神様がサムエルに預言を与えたのです。

 主なる神様は、常に私のために働き人になって欲しいと呼びかけておられるのですが、イエス様がマタイによる福音書11章15節で「耳のある者は聞くがよい。」と主は、主の僕となる人を求めて居られるのです。

   

 

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