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説教題:「御子イエスの誕生の秘話」

聖 書:マタイによる福音書2章8〜21節

   イエス様のご降誕を心から感謝するとともに、イエス様をこの世に遣わしてくださった全能の神様に感謝致しましょう。

 マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書の中で、ルカによる福音書だけが、イエス様の誕生から神の国福音が地中海世界に広がったことを詳細に記しているので、クリスマスの時に引用されるのはルカによる福音書が殆どです。

 先週の礼拝説教は、マタイによる福音書からでしたが、イエス様の系図はアブラハムからと記されていましたが、ルカによる福音書では、3章38節で「エノス、セツ、アダム、そして神にいたる。」と、神様が人間として創造されたアダムからイエス様迄のことを記し、イエスこそ神に繋がっていることを強調していると思われるのです。

 ローマ人への手紙5章21節「罪が死によって支配するに至ったように、恵みもまた義によって支配し、わたしたちの主イエス・キリストにより、永遠のいのちを得させるためである。」と記されていますが、アダムは神様によってこの世で生きる者とされたが、神様に罪を犯したことで死ぬ身体になったが、神様はご自分の一人子をこの世に派遣し、主イエス・キリストを信じることで永遠の命を与えられるというこのメッセージをルカは意識していたのではないかと思うのです。

 余談ですが、マリヤさんが婚約中に聖霊により身ごもったので、イエス様はヨセフさんの子供ではなく、ヨセフはイエス様の養父なのです。

イエス様はダビデ繋がりにはならないのでは、という疑問を投げかけられたことがありますが、ルカは全人類の初めがアダムとイヴなので、人間としてお生まれになられたイエス様もアダムとイヴつながりなので、当然ダビデ繋がりでもあると言えるので、わたしたちもダビデ繋がりと言うことになるのです。

 さて、今朝のルカによる福音書2章1節で「全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。」と記されていますが、アウグストという人物は紀元前27年〜期限4年迄41年間、ローマ帝国の皇帝として安定した帝国を作り上げたのです。

 「全世界の人口調査」とは、当時ローマ帝国が支配していた地域全体の人口を調べるため強制的に登録させるための調査のことで、その目的は税金の徴収と徴兵することが出来る人数を把握するためなのです。

 日本においても2015年10月中旬、日本国民全体に対して「マイナンバーカード」が導入されましたが、これは強制的ではないので8年経過した2023年12月1日現在で80%でまだ20%の人は申請していないのです。

 このマイナンバーカードも人口調査よりもより国が人を管理することが出来るシステムなので、財産把握、それに対して課税なども目的もあることから、申請をしない人がいることも事実です。

 この「人口調査」は、ヘブル人への手紙12章23節に「天に登録されている長子たちの教会、万民の審判者なる神、全うされた義人の霊」の中で「天に登録」というギリシャ語と同じなので、御国への凱旋を許される信仰者も登録されていることになるのです。

 皇帝アウグストが出した命令は、生まれた場所に戻って登録することだったので、ヨセフさんとマリヤさんも2章4節で「ガリラヤの町ナザレを出て、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。」と記されているので、約150`の道のりを大きなお腹かを抱えて移動したことになるので、10日以上要したのではないでしょうか。

 マリヤさんは、ベツレヘムに到着すると泊まる宿屋が見つからず出産しましたが、イエス様が生まれたのは「馬小屋」で「飼い葉桶」に寝かされていたと思っている人が多いと思いますが、当時「馬小屋」はローマ兵が軍馬として用意しており、一般市民が馬小屋を持つ事が出来なかったのです。

馬小屋ではなく、牛、羊などを入れる家畜小屋のことであり、飼い葉桶は石で作られた頑丈な飼料槽のことで、そこに藁を敷いて、その上に布を被せると立派なベビーベッドになるのです。

2章8節には「羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。」と記されているのです。

「羊飼い」は、ユダヤ人でユダヤ教徒であり、パレスチナ地方において羊たちを屋外に出し、そこで草を食べたり、寝込んだりしている羊たちが、野獣から襲われないように見張りをしていたのです。

羊の番をしていた羊飼いたちは突然9節で「羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。」と記されているのです。

羊飼い達の周りは「栄光が彼らをめぐり照らした」とあるのです。

「栄光」とはギリシャ語でドクサと言いますが、この言葉はヘブル語のカヴォードという言葉の訳語であり、それは「栄光、尊厳、完全な輝き」という意味があるので、たき火だけの光の中にいた羊飼いたちは、神様が光を輝かせ周り一面が光の渦になった事に驚愕したのです。

羊飼い達の驚愕、そして恐れは「度肝を抜く」という言葉があてはまるでしょう。

恐れている羊飼い達に御使が来て話しますが、原文を直訳すると「お前達は恐れるな、見よ、お前達にこのイスラエルの民全てに起る大きな喜びを私は伝える」と言ったのです。

大きな喜びとは11節に「あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。」と記されているのです。

11節をヘブル語風に言うと「あなたがたイスラエルの民に、メシアが生まれた。この方こそ、神なるメシアである」となります。



羊飼い達は、この天使の話しにただただ呆然として立ち尽くしていたことでしょう。

天使は、そのメシアが飼い葉桶に寝かされているから、その子をお前達が見るだろう。それがイスラエルの民の為に生まれたメシアであるしるしであると言ったのです。

それでも、羊飼い達はそれが何であるかを理解することが出来なかったでしょうが、さらにビックリすることが起こったのは、天から軍勢が現れ、御使と一緒に讃美したのです。

14節「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」と軍勢と天使が讃美したのです。

その讃美は、素晴らしい歌声だったでしょう。

先日、12月11日に東京西地区牧師会のクリスマス会がここでありましたが、会の中で「もろびとこぞりて」を牧師全員で讃美したとき、素晴らしい讃美になりましたが、天の軍勢と天使が歌った讃美は牧師達の讃美はかすんでしまう歌声だったのでしょう。

軍勢と御使が羊飼い達から離れて、天に帰っていった時、我に返って「ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」とお互いが顔を見合わせ、急ぎベツレヘムの町に飛んでゆき、マリヤさんとヨセフさんを探し出し、飼い葉桶に寝かせていた幼な子を見つけたのです。

マリヤさんは、羊飼い達が訪ねて来た事を不思議に思ってその訳を尋ねたところ、羊飼い達はことの子細をマリヤさんに話しましたが、マリヤさんは不思議に思ったと記されているのです。

イエス様の誕生の秘話は、このような状況のもとに起った出来事だったのです。    

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