日東鉱山(にっとうこうざん) 〜 依然大きな跡地が残るクローム鉱山 〜
探訪日:2003/05/18,24,11/24, 2004/04/24,07/22, 2008/09/13,20
沢の両側に大きなズリが残っています。沢沿いにも、ズリなのかどうなのかはわかりませんが、転々とあります。
現在、小規模クローム鉱山の痕跡は不明瞭になっていることが多いですが、平取近隣の八幡、日東、八田、各鉱山は、大きな跡地が残っています。日東鉱山は1960年(昭和35年)に閉山していますので、もう40年以上も前です。クローム鉱山の採掘跡は、掘り出した蛇紋岩とそれが風化した泥で覆われていますが、このマグネシウムに富んだ土砂のため植物が生えずらく、未だ緑化していない所が方々にあります。金属鉱山のズリは、含まれる鉄やマンガンにより焼けていることが多いですが、クローム鉱山のズリは青緑色をしていて印象的です。
※(2014.10.15 付記)マグネシウムは有害ではない。クロームが有害とのこと(日高山脈博物館 東氏 私信)。
日東の元山へは細い林道が通っています。林道の周囲は一面のカラマツ林です。当時はこのカラマツ林が鉱山住宅街だったというから、結構規模が大きかったことが伺えます。林道は抉れている所や泥濘があり、跡地直下まで車で入りたいのであればクロカン四駆が無難です。
2003年夏、日高地方は台風と地震により大きな被害を受けました。その傷跡は日東鉱山の周囲にも未だ痛々しく残っています。基盤が蛇紋岩なので崩れやすいということもあるのでしょう、林道は一部抉れて泥濘でいます。沢の両岸に迫っている鉱山の採掘跡やズリが抉られ、水が引いた後に大量の土砂が堆積して広い河原が出現していました。両岸にあった木々は横倒しになって川に覆いかぶさっています。台風前に来た時とずいぶん様相が変わってしまっていました。
●施設跡
クローム鉱山跡地にしては珍しく施設跡が残っています。何の施設かはわかりませんが、こういった産業遺跡を目にすると鉱山跡へ来た実感が沸いてきます。
選鉱場?
沢に残る石垣
ズリか坑口跡か?
トロッコのレール
☆ 日東鉱山の石 ☆
平取で採集した石の多くがクローム鉱山跡地で採集したものです。岩石展示室の平取地域の石の所と大部分被りますが、載せておきます。
輝岩 (透輝石岩) |
クローム鉄鉱 (含:灰クロムざくろ石/菫泥石) |
石英片岩
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ロジン岩
(含:ベスブ石/菫泥石)
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透輝石岩 (日高ヒスイ様岩) |
蛇紋岩 (日高ヒスイに似た石) |
写真は、台風後の沢の写真以外は、2003/05/18日現在のもの。