自動車塗装の自分史とSL蒸気機関車写真展〜田辺幸男のhp
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    ・欧州鉄道スナップ紀行 (イギリス)

136.  BR ヨーク駅で見た“ロケット号”(レプリカ)



イギリス ヨーク駅のロケット

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〈紀行文〉
 ドイツのブッターパールの訪問をすまして、イギリスに渡りテームス河畔の輸入車を整備する工場に数日通って補修塗装のトラブルを解決に当たっていた。そこにスコットランド地方へ出張する急な仕事が入り、早朝からあ飛行機で出かけた。その午後には無事に仕事も終わったので、私だけが動向の人たちと分かれて別行動でロンドンまで貴社で戻るわがままを許してモラった。
そして、近くのBR(イギリス国鉄)の東海岸を貫通するメインラインの駅に送ってもらってやってきた普通列車に乗り込んだ。実は、その昔、その途中にあるヨーク(York)駅に隣接してイギリス最古の鉄道博物館があったことを知っていたからで、少しでも様子をうかがえればと途中下車する魂胆であったからである。
その普通列車の車窓風景は何となく エミリー・ブロンテ著の「嵐が丘」のイメージがつきまとうためであろうか、荒れた丘がうねって続いていた。その時突然、右手の窓に丘の谷間の急勾配を登って来る石炭ホッパーを牽いた蒸気機関車が現れたのには驚いているうちに、アットいう間に通り過ぎてしまった。当時は既にイギリス国鉄の幹線は無煙化が完了しており、現役の蒸気機関車の姿を見ることはなかった。
やがてヨーク駅に到着、ホームに降り立っててあちこちを眺めていると、SLの元祖“ロケット号”の姿が遠くに見れるではないか。早速駆けつけて、余り光の良くない中で、“Stephenson's Rocket (replica)”のスナップを撮って博物館へ向かった。何しろ広い駅で元々14本の長いホームを誇るイギリス第1の鉄道ジャンクションを任ずるだけあって、その荒れた広い構内にはいささかうんざいであった。案内を探して博物館を尋ねると「とうの昔に閉鎖してしまった」とにべもない。しかし残念なので、裏の機関区を訪ねて見たのだが、DLとELばかりの群れ、外れに古い給炭塔とガントリークレーンが錆付いて残っているばかりの風情であった。この訪問から十年位後に、ヨークの駅の隣の古い機関庫にイギリス国立ヨーク鉄道博物館が創立され、今では世界中で開催される鉄道博覧会には“ロケット号”のレプリカを必ず出演させ、シルクハットにフロックコート姿のジョンブル(英国紳士)機関士が記念列車を運転士して愛嬌を振り撒いていることで知られているようになった。それから二十数年を経た頃に、「鉄道ファン」誌上に、あのヨーク駅の傍に完成した国立鉄道博物館の探訪記が精緻なカラーグラビアと共に紹介されて驚いた事が思い出された。
 仕方がないので、駅前の古い城壁などを眺めながら散歩を少ししただけで普通列車で戻ったのであった。
 10月には冷たい雨とみぞれの季節の始まりであって各地SLの走るイベントは既に終ってしまっており、季節外れのイギリスでの鉄道趣味のポイントはせいぜい博物館巡りであった。しかしそれでも残念なので、南イギリスの港サザンプトンの近郊にある ロームハースにある世界一のミニチュア鉄道を訪ねた。ここは人や貨物や観光客を30kmもの距離を運んで走っていると云うれっきとした鉄道であるとのことである。駅頭で立派な鉄道地図を買い、やつと近かくまで出かけたが矢張りシーズンオフであった。そしてBR(イギリス国鉄)の駅に帰ろうとして近くの閑静な住宅街を歩いていると、何処からか微かな気笛が聞こえるではないか。嬉しい方向に歩いて行くと広い庭の中に円形線路を設けたOHゲージのライブスチーム(蒸気で走る模型蒸気機関車)の運転の真最中であった。そろそろと中に入れてもらい趣味の仲間が3人が夫々自前のSLを持ち寄って走らせていた。片ことの英語を交えて、て英国の事情を教えてもらい、「雑誌“RAILROAD”にシーズンの開幕や探訪記事が載るから買ってみたらと勧められた。
その終末には、大英博物館のあの有名な古代エジプトの展示の膨大なことに驚き、科学博物館を訪ねて、その正面玄関コールに据えられた「ジェムス ワットの蒸気機関」のレプリカの運転で、の往復運動を回転運動に変換するための遊星機構の動きをしばらくに見とれて圧倒されていた。そのメカニズムの軽妙さには頭が下がるばかりであった。次に正真正銘の“Rocket号”の牽く列車の展示を確認した。そしてテームス河向かいにある「ナショナル鉄道博物館(英国鉄道博物館)を訪ねた。ここには最後の急客蒸気機関車「マラード号」がその巨大な流線形スカートをつけたネービーブルーのいで立ちで、いつでも動きだせる体勢で保存されていた。その興奮からか、そのカラースライドを買って来た記憶が蘇った。
 さて、あの有名な“ROCKET号”の解説をしても釈迦に説法と云うことにななるので、ここではイギリスでの蒸気機関車の保存についての系譜の一端を“Stephenson's Rocket”を中心にまとめてみようと思う。
この 保存展示のための蒸気機関車の蒐集の最初はロンドンにある科学博物館(Science Museum, London)が1860年代に始めたのが最初と云われている。その対照となったのは、1862年に特許局博物館(Patent Office Museum)に献納されて展示されていた “Stephenson's Rocket”であったと云う。次いで、鉄道会社が自社の車輌などを一般大衆へ公開するために鉄道駅前などに据えたレール上に展示する例が見受けられるようになった。例えば、1880年頃に、london & North Eastern鉄道(LNER)が物品ヤめぼしい車輌などを蒐集して、時々展示イベントを行っていた。次いで1890年代に入ると、L&NERは、世界最初の“ Stockton & Darlington 鉄道”の開業100年が1925年になることを記念して、1928年にロンドン近くのYorkに博物館を開設した。その頃の博物館と云えば短いレール上に車輌を展示するのが普通であったのに対して、ここでは古い駅舎、使わなくなった車輌修理工場や機関庫などを利用した広い展示スペースを持つ博物館であった。その頃 Great Western 鉄道でも その城下町である Swindon に規模の小さな博物館、後にSteam - Museum of the Great Western Railway を開いていたが、他の二大鉄道(SR,LMSR)は余り保存には興味を示してはいなかった。しかし、唯一の広い展示スペースを持った LNER 鉄道博物館において、共に自社の歴史的な蒸気機関車を保存展示しようと考えて、次々と蒐集していた歴史的機関車を献納して来たのであった。その中には、
the Great Western鉄道の City of Truro, London 
North Western 鉄道の Columbine 
London, Brighton & South Coast 鉄道の B1 Class Gladstone.
これはとりも直さずイギリスが初めて本格な鉄道のための博物館を持ったことになったのであった。
 これに刺激されたのであろうか、四大鉄道(GWR, LNER, SR,LMSR)の一角であるロンドン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道(London, Midland & Scottish Railway)も、今まではロンドンのEuston駅の古い大ホールに仮に小規模な展示をしていたが、今度は自社車輌の収集に加えて、歴史的機関車の蒐集に乗り出して、 ロンドンのelsewhereに大がかりな収集品展示のための博物館を設けた。その活動の1つに、1930年の世界初の公共鉄道である “Liverpool & Manchester 鉄道”の100年祭を記念して、“Stephenson's Rocket”のreplicaを6輛を建造した。
この記念されたL&M鉄道が選ばれた訳はこの鉄道の両端の都市がLWSRの版図である西海岸に位置する主要大都市であったことによるのであろう。そして、その6輛はそれのれの場を得て長らく保存展示されていたのだが、確たる保存の方針が無かったことが災いして世界第2次大戦を経て失われてしまったものもあるようだ。
@a replica Grand Junction Railway Travelling Post Office.
ABCThe Southern Railway 、three preserved 
Dyork Station
EWaterloo Station
この中の York駅が展示の場所に選ばれたのはLMSRの路線が西海岸の大都市からブリティン島を横断してyorkに直通していたからに違いない。
この他に、GWRは1925年にはNorth Starのreplicaを建造しているし、このように機械を得られると、歴史的機関車の復元が行われるようになった。
しかし間もなく、鉄道斜陽の時代を迎えると鉄道博物館は閉鎖される憂き目に遭ったものが多かったであろう。
時代が下って四大鉄道は国有かされて Bvitish rail となり、1951年になって交通委員会の答申により交通関係の統合した博物館と地方の博物館の育成の方針がだされ、1968年に法立が作られて、National Railway MuseumとLondon Transport Museumの設立が決まった。
前者の設立地はかってLNERが鉄道博物館を営んでいたYork駅に決まり、初めて博物館がロンドン外に出ることになった。そして1950年代に改造された York駅の東海岸メインラインの北側にある円形機関庫などが当てられた。そして、昔に閉鎖された博物館から散逸していた歴史的機関車や車輌が買い戻されたり献納されたりして次第に蒐集が進んで来た。
1979年にはStephenson's Rocket んの誕生150周年を祝賀するイベントのためにLocomotion Enterprisesによって、そのreplicaが建造された。その後 、このStephenson's Rocket (replica) はNational Railway Museumに献納されて中央ホールに転じされている。
最後に、私が撮影した“Rocket号”は現在どのようになっているのかは私には知る由も無い。ただその昔 ヨーク駅に博物館が無かった時代には、この展示が唯一の慰めでもあったのであろうか。

撮影:1969年
発表:2008年このシリーズのHP

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・欧州鉄道スナップ紀行
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