自動車塗装の自分史とSL蒸気機関車写真展〜田辺幸男のhp
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・東部のナローゲージ王国、イースト・ブロードトップ炭坑鉄道」

044.  ナロー・ミカドの牽くツーリスト列車 ペンシルバニア州

〈0001:〉
EBTのツーリスト・トレィ

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〈紀行文〉
燃料革命が進んで船舶用燃料として好評を得ていたEBT炭も市場を失って閉山となってしまった。鉄道も廃止申請がなされるかたわら、オーナーは地元のスクラップ業者となり、屑鉄相場の上昇を待運命のまま数年が過ぎてしまった。
或る夏、オーナーのコバリックさんの一家が南へバカンス旅行に出掛けた。その時訪問したのが西部開拓時代を再現したテーマパークの“TWEESTIE" であった。ここには3フィート軌間の鉄道がループ状に敷設されており、木造の高い橋や森、岩山の裾を走る間に列車強盗劇が演じられると云う楽しい所であった。ここのSLこそは、EBTをナローゲージに選定した創立者のパーデイーさんゆかりのET&WNC(イースト・テネシー・アンド・ウエスタン・ノースカロライナ)鉄道の生き残りの活躍している姿の所であったと云う因縁話なのである。それを見たことから、彼は何とかEBTを後世に残し、歴史として再開運転することを思い付く一方、間近かに迫った“orbisonia 200年祭1960"の行事の一環とすべく行動を始めたのであった。幸いにも、廃止申請は認可は未だされておらず、元鉄道従業員を初め、地元の人々の協力の下で準備は順調に進んで行った。そして1960年8月、ミカドaD13とaD15に火が入り、客車の前後にそれぞれの方向を向いて連結された200年祭列車が走ったのである。この祭の当日、TV撮影班がSLの煙をもっと黒く
出してくれと乗務員に依頼したが、EBTの石炭の質が良過ぎて煙が淡くするのに苦労したなどのエピソードが伝えられている。その後も運転が続けられ、1964年には連邦公園局による歴史記念物との指定を受け、この地方での第三番目の鉄道史跡となった。
さて、今日はパーラーカーの“ORBISONI”を外して、赤い車掌車を最後尾につけた列車は、編成を終って駅前に向った。午前11
時になると 待ちに待った乗客をのせた一番列車は車掌の手信号を合図に,長ぃドレーンを切りながら大きな柳の木の下をかすめて出発して行く。すぐ街はずれで国道 522号沿いにドラフトが低くこだまする。左手の山々が遠くに去って、広い牧場や小さな切り通しに小さな跨線橋、美しい欧州風の芝生のある庭をかすめて通り過ぎる。やがて長い下り勾配のカーブした築堤にAugwickillの清流がせまり,右手のゆるやかな丘陵地はトウモロコシの穂の波である.小さな山あいに登るための強いドラフトが響くと終点のコルゲートグローブのキャンプ場である。ここの付近は昔耐火粘土を掘っていた所で、支線を利用して転向する。歩いて少し戻れば、登り勾配も見通せる場所があり、テレコやムービーにおあつらえ向きである。今日の仕業の飽和式のミカドaD15が白ぃ蒸気を濃い緑に映してゆっくり帰途につく列車を静かに見送るのであった。
確かに自慢するのもナルホドとおもわせるのは、レールから機関車、客車、ラウンドハウス(扇形機関庫)、鉄道工場などなど、何れも炭坑鉄道当時ソノモノヲ使っていることは正に歴史そのものであるからであろう。
現在、保存されている線路の中でも、特に石炭鉱山への上流の鉄橋やトンネルを含む本線が開通すれば、一層ナローゲージらしさが再現すると思われる。所でEBTとは反対側にあるのは電車博物館で、ここはある鉄道カメラマンの提唱によって結成されたグループ“RAIL WAY TO YESTERDAY 明日の鉄道"によって運営されているシイド・ギャップ電気鉄道であって、ん南国的なリオのオープンカー・トロリーや、ダブルトラックのブリル製の赤や黄色の色彩に目を奪われてしまう。線路は元EBTのシェイドギャップ支線を 三線化して運転している。EBTのロックヒルファーネスに到着した列車は駅前を除行して、デルタ線を利用して転向するので、この時に、トロリー電車とナロー・ミカドが出遭う仕組になってぃる。いずれにせよ、メルヘン豊かな保存鉄道であることには違いない。

撮影:1979
発表:「レイル」誌・1983年9号

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・「東部のナローゲージ王国、イースト・ブロードトップ炭坑鉄道」シリーズのリンク
042. 煉瓦造りの扇形機関庫からの鉄道工場を望む・ペンシルバニあ州
083. EBTナローゲージ♯15のポートレート・ペンシルバニア州
043. ナローゲージ名物“Stub Switch”のある風景・ペンシルバニア州
082. 盛夏のEBTナローゲージ・トレィン・ペンシルバニア州