今月のヴェクトル
中国に宣戦布告を
「東シナ海浪高し」である。日中関係は
一触即発の状態だ。この危機を招いたのは言うまでもなく中国だ。発端はわが国国有の領土・尖閣諸島沖(無論、わが国の領海)を航行中の中国漁船が領海を侵犯、石垣海上保安部の巡視船「みずき」の右舷に船体をぶつけて海上保安官の公務を妨害したため船長が逮捕されたことである。この事件を機に中国の世論は反日一色になり各地で反日デモが行われ「日の丸」を焼くなど、我が国を敵視する行動が燎原の火の如く拡がった。更に驚くべきことに丹羽宇一郎・駐中国大使を深夜に呼びつけるという非常識極まる事態にまで発展したうえ、閣僚レベルの交流を停止すると一方的に通告をしてきた。これは国交断絶の一歩手前の通告である。ならば、わが国は堂々と受けて立つべきではないか。然るに無為無策、そんなに中国が怖いのか。私は腸が煮えくり返るほどの怒りが沸沸と込みあげてくるのを禁じ得ない。
中国の反日政策は日を追って厳しさを増していく。紙幅の都合で二件を記すことにするのが残念である。
まず、逮捕した中国漁船の船長を勾留期限以前に処分保留を名目に釈放したこと。これはわが国が中国に完全に屈服したことである。船長は中国に帰国し、英雄のように歓迎された。わが国の対応はどうか。「釈放は検察が法に従って粛粛と判断した」と弁明しているが、誰がそんな言い訳を信じるか。政治判断があったことは自明の理である。次に建設会社「フジタ」の社員四名が軍事施設をビデオ撮影したとの容疑で取り調べを受けた事件だ。四人は旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器処理施設建設事業の入札参加のための調査をしていただけである。要するにビジネスだ。それを無法にも軍事管理区域に『侵入』してビデオ撮影をしたとデッチあげたのだ。然も四人は現地スタッフに「救命(助けてくれ)」とメールを送っている。彼らへの監視がいかに厳しいかがわかる。
まだある。中国政府は漁船船長の釈放、帰国後に「中国の領土と主権、中国人民の人権を侵犯したことに強く抗議する。」との声明を発表、わが国に謝罪と賠償を要求してきた。当然のことながら日本政府はこれを拒否したが、中国の無法、理不尽極まる行為に抗議すらしていない。これが独立国家・日本の外交である。この状態を韓国メディアは「漁船船長の釈放は日本政府の降状宣言」と全世界に報じた。何をか言わんやである。もはや中国への宣戦布告しか、わが国のとるべき道はない。そうでなければ「フジタ」の社員四名もスパイという汚名を着せられて死刑に処せれるだろう。怖るべき国家・中国である。
新潟時局研究所
代表 水野 孝吉