歯科治療の基本



 手足の指などと同様に、歯のことを生体の一部と考えているならば、簡単に抜歯や抜髄などはできないと思います。


 例えば、少し痛みがあるからと言って、簡単に手足の骨髄を取ってしまう医師など、まずいないでしょう?


 普通の人だったら、古傷があるからと言ってさっさと手足を切断し、義手や義足に交換しようなどとは思わないと思います。


 歯は体の一部なのだから、当然医師の治療方法に準じるべきです。


 そう考えてみれば、抜歯や抜髄をしないことが、歯科治療の基本中の基本だということがわかります。


 歯科治療だけが特殊とは思わない方がいいでしょう。


 生きている歯ならば、多少の回復力が期待できます。


 だから、本来は歯を生かしたままでどのように保存していったらよいか、ということをとことん考えるべきなのだと思います。


 そしてそのような状況の中で、いかに患者さんの満足するように治すことができるか、という能力が、歯科医師には求められるのではないでしょうか。