歯の構造について
普通、歯の構造を説明する時は、外側の方から解説することが多いのですが、より良く理解していただくために、歯の内側から説明します。
さらに簡単にするため最低限の組織(歯髄・象牙質・エナメル質)に絞り、イメージが沸くようにしています。
そのため正確な事実とは異なる説明が混ざったりしていることもありますが、この文章は専門家に説明するためのものでなく、知識の少ない一般の方々の知識を少しでも濃くするためのものなので、あまり深く考えないでお読みください。
◎ 歯髄とは?
歯髄とは、いわゆる歯の神経と言われているものです。
よく「神経を取ります」とか、「神経は残した方がいいです」、とかいうセリフを聞きませんか?
でも、実際にはよく理解している方は少ないと思います。
例えば、「神経とはヒモのようなもので、部品のように簡単に取れる」、などと考えている方はいませんか?
わかりやすく言うと歯髄とは「歯の骨髄」のことです。
これを略して「歯髄」です。
歯髄とは歯の骨髄という軟組織ですから、その中には感覚器官だけでなく、血管なども通っています。
血液の循環によって歯の内部は年中無休で消毒が行われていたり、歯を組織の維持や再生をさせるための栄養分も送られてきたりしているのです。
もし歯医者さんで「歯の神経を取りましょう」と言われると、あまり深く考えずに「お願いします」と言ってしまう人は多いはずですが、おそらく「歯の骨髄を取りましょう」と言われれば、「ちょっと待ってください」と言う人が増えるのではないでしょうか。
簡単に考えている人が多いですが、歯髄とは、歯の寿命を左右する最重要器官なのです。
◎ 象牙質とは?
象牙質とは、歯髄を全体的にガードしている歯の根幹をなす重要な硬組織で、歯根などもこの象牙質でできています。
しかし歯の状態が正常な場合、外部からは見えることはありません。
この象牙質は硬組織とは言っても、実は押せば凹んでしまうほどの硬さでしかありません。
そればかりか、象牙質には象牙細管と呼ばれる細かい管があり、その管は歯髄の部屋と外部とを繋いでいます。
だから、象牙質が外部に露出していると、その場所を触った時に歯髄が押されてしまい、刺激(痛み)を感じたりします。
また、冷たい水などが露出してしまっている象牙細管を通ったりすると、これもやはり歯髄が刺激され、痛みを感じたりする現象が起こります。
◎ エナメル質とは?
歯の一番外側の成分で実際に外に露出している部分です。
エナメル質も当然硬組織ですが、強度的に少し軟らかめの象牙質と違い、体の中で一番硬い成分でできています。
その上、隙間もないので、正常であれば、かなり硬いものを噛んだりしてもビクともしない最強のガードと言えます。
ただしエナメル質が覆っているのは、象牙質の歯茎から上の部分です。
正常であれば、歯茎から下の象牙質の部分は、歯槽骨(歯の土台の骨)や歯肉などの成分に埋もれているため、ガードする必要がないからです。