専門家とは何なのか?
よく「わからないことは、専門家に任せておけば大丈夫」だとか、「専門家が言うのだから、正しいに違いない」などと考えている人がいます。
医師や歯科医師なども、その『専門家』と呼ばれる部類ではありますが、そもそも『専門家』とは何なのでしょう?
例えば、考古学者を思い浮かべてみてください。
彼らはいわゆる歴史の『専門家』です。
では、彼らの言っていることは、みんな正しいことなのでしょうか?
そうではありません。
答えがわからないから、発掘調査などをして、日々研究をしているわけです。
当然、歴史認識などが異なることもよくあります。
「専門家によって見解が分かれる」などという台詞を聞いたことはないでしょうか?
数学などのように、はっきりした正答を出しやすい分野などもありますが、実際には、正答がわからない分野というものが非常に多いのです。
当然ながら、医療分野なども、このような分野の一つなのです。
では、最初の問い掛けに戻ります。
『専門家』とは一体何なのでしょう?
簡単に言うと『その専門分野の勉強をたくさんしてきた人』が、いわゆる『専門家』です。
国家資格などは『専門家』であることの証明書でもありますが、国家資格の無い分野に至っては、勲章のようなものでもあります。
結果として、頭がいい、悪いなどは、全く関係ありません。
年齢などもそうです。
専門分野というものは、正答がないこともあり、弟子が師匠の理論を否定することや、覆すことなども、日常茶飯事です。
同じことを学んできたはずの同級生や、同じ医療機関内でも、見解が分かれることもあります。
国家試験の解答(一時は正答とされたもの)でさえ、後から否定されることがあるのです。
このような事例でもわかる通り、理論というものは時代により日々変化しているのです。
ですから、一人の専門家の意見というものは、あくまでも『その専門家自身のその時の見解』であって、必ずしも『正しい見解というわけではない』ということです。
近年『セカンド・オピニオン』が重視されているのには、このような背景が、一般にも認知されてきている証拠ではないでしょうか。