虫歯は感染症である
「きちんと歯を磨いているのに、虫歯になってしまった」そんな声を巷でよく耳にします。
この言葉は、今の日本が直面している虫歯予防の壁を端的に表しています。
虫歯の主な要因は、ミュータンス菌(いわゆる虫歯菌)です。
このミュータンス菌は、生まれたての赤ちゃんの口の中には存在しません。
後天的に感染するものなのです。
例えば、母親や周囲の大人が口移しで物を食べさせたり、同じスプーンを使用したりすると、唾液を通じて感染することになり、そのまま子供の口腔内に棲みついてしまうことになります。
現在の日本では、治しても治しても次々と虫歯が再発してしまい、いつまで経っても治療が終わらないというような、虫歯の連鎖地獄に陥っているかわいそうな子供が大勢います。
その原因が、周囲の大人から感染してしまったミュータンス菌である可能性も高いのです。
実際、母親のミュータンス菌の数が多いと子供のミュータンス菌の数も多く、虫歯になるリスクが2倍以上高いというデータもあります。
ですから、子供の虫歯を減らすためには、まず母親を含めた周りの大人たちが、自分のミュータンス菌を減らす努力を行うことも非常に重要と言えます。
しかし、残念ながら現状では、この事実に対しての正確な理解が得られておらず、十分なケアも行われていません。
虫歯は、生活習慣病と感染症という二つの側面を持っています。
したがって、生活習慣病的な対策である従来の食事指導やブラッシング指導だけでは、十分な虫歯予防対策とは言えません。
虫歯は感染症であるという認識の下で虫歯予防を行う為には、感染症対策としての虫歯予防(ミュータンス菌感染予防)が大切になってきます。
ミュータンス菌感染予防への取り組みは、徐々にですが日本でも広がりつつあるようです。