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更新日 2020-02-16 | 作成日 2020-02-16

虫歯とは歯の古傷のようなもの



 おおまかに言うと、人間の体というものは二十歳前後を過ぎると老化が始まります。


 したがって、年をとるごとに、体の状況が悪くなっていくのが一般的です。


 当然年をとると、古傷のようなものをたくさん抱えるようになってきます。


 医科の世界では、古傷は完治するもの、と考える人はほとんどいないでしょう。


 「古傷があるから、腕を切断して義手を入れてくれ。」なんてそう簡単には言わないと思います。


 医師だって、「指が痛いのなら、指の骨髄をとりましょう。」とは言わないはずです。


 虫歯というものは、『歯の古傷のようなもの』です。


 確かに、指先の凍傷などのように、壊死や炎症が起きた組織などがある時は、周囲が悪化してしまうため、除去等が必要な場合もあります。


 年をとると、そのうち体中が傷だらけになってきます。


 体の傷などが、徐々に治らない状態になるのは仕方ありません。


 大きな怪我や病気になった場合、いくら治療を繰り返しても、体が二度と万全にはならなくなることがあります。


 老人病院を見て回ったり、往診などをしたりして、人生末期の方々に接していれば、すぐに理解できます。


 多くの場合、歯科治療というものは、受診する側も診療する側も『歯科治療をすれば病気が治る』というように考えています。


 しかし、人間の体というものは、歯だけでできているものではありません。


 医科の治療では完治しない病気がたくさんあるにもかかわらず、『歯科の治療をした時だけは全て万全になる』というのは本来おかしな考え方です。


 歯科治療をする際でも、状態説明をとことんすれば、多少の『古傷』は我慢するから、あまり触らないでくれ、と言ってくる方々も多数存在します。


 個人的には、できるだけ歯の寿命を延ばすためには、


『できるだけいじらないで、自己治癒能力を最大限に利用することが大事』


と考えてはいます。


 この方法だと、少し中途半端な治療になってしまったり、後で痛くなったりすることも多く、結果的に直ぐに再治療が必要になることもありますが、逆に『抜歯やむなし』と診断された歯が、何年も使えてしまうことも多々あります。


 結果として、土台の骨が溶けてしまったり、病巣が膿んでしまったりして、その後の処置に影響する場合もありますが、歯の寿命が延びることには変わりがなく、本人が納得していれば、そのような治療でも満足してくれる場合が多くあります。


 患者さんが不安になる要素の一つに、『痛みなどの理由がわからないこと』というものがあります。


 古傷などの痛みを我慢できるのと同じように、理由さえ理解できていれば、我慢できる痛みもあるのではないでしょうか。