歯科の最終処置の方法
この文章はまともに読んでしまうと、理解するのが少し難しいかもしれません。
もし、文章が難しくて読みにくい場合は、まずカッコ内の言葉を飛ばして、一度読みきってみるとわかりやすくなるはずです。
☆歯科の最終処置の方法
最終処置には、大まかに言うと3種類の治療方法があります。
全ての治療法には一長一短があり、完璧と思えるものはなかなかありません。
基本的にはどの価値観を優先させるかによって、治す方法が違うと思ってください。
1.保険治療(費用の安さ)を優先させる場合
何も言わないと通常はこの方法が選ばれます。
「利点」
通常(3割負担)の場合は、保険によって費用の7割が負担されるために治療費が安い。
「欠点」
いわゆる銀歯(通常は12%金銀パラジウム合金「※後述の補足参照」)を使用することが多く、見栄えが悪く、更に適合性が明らか金などに比べて劣る(※延性・展性が金などと比べて悪い)ため、二次的な虫歯になりやすく、再治療の確率が高い。
費用がさらに安くて性質に劣る銀合金やニッケル、アマルガム(水銀と他金属の合金「歯科で使う場合は水銀と亜鉛等」)などを使用する場合もある。
当然、使用する材料によって若干値段に違いが出る。
また、銀色の金属は黒化(黒くなること)が起こることもあり、その色が歯肉に染み出してしまい、歯肉が黒く染まってしまうこともある。
2.審美性(見た目)優先させる場合
セラミックやハイブリッドセラミック等の、保険では使用できない材料を使用することが多い。
「利点」
なんと言っても見た目が良い。
「欠点」
保険が効かないことが多く、費用が高くなる。
金属と比べると強度に問題があり、必要以上の力が加わると壊れる確率が高い。
適合性が明らかに金などに比べて劣る(延性・展性が金などと比べて悪い)ため、金などと比べると二次的な虫歯になりやすく、再治療の確率は高くなる。
なお、保険適用内のコンポジットレジン(CR)というものを使用することもあるが、隣接面にかかる虫歯の場合、操作性が悪くなる臼歯部に関しては、適合性が圧倒的に悪くなるので、適していない。
前歯に関しては操作性が良いので、必ずしも悪いとは限らない。
3.治療の予後を優先させる場合
体にとって良い(生体親和性が高く、異物反応が出にくい)材料(金や白金など)を使用することが多い。
「利点」
適合性に優れる(隙間が開きにくい)ため、再治療の確率が圧倒的に低い。
「欠点」
保険が効かないことが多く、費用が高くなる。
銀歯ほどではないが、金属なので見栄えが悪い。
(補足)
12%金銀パラジウム合金とは、銀やパラジウムを中心とした合金のことで、口の中に入れた状態にしても錆びないように、12%の金が含まれていることが特徴です。
シルバーアクセサリーなどを見れば、銀というものは、徐々に黒くなっていくことがわかるでしょう。
金を12%混ぜると錆びないのです。
延性・展性とは、金属に対して変形させる力が加わった時に、その金属の端が壊れずに伸びていくような性質のことです。
延性・展性に富む金などは、辺縁をすごく薄くしても壊れにくいため、適合性が非常に優れるのです。
金箔などがわかりやすい例かと思います。
他の金属では、あそこまで薄くはできません。
なぜ保険で金を使用しないかというと、金属代が高くなりすぎて、保険財政が破綻してしまうからではないかと思われます。
当然このような金属は、医療保険という独特なものが無ければ、使用する価値が低いので、海外ではほとんど使用しないようです。
ちなみに乳歯の治療には、さらに費用の安い銀合金しか認められていません。
医療保険が充実していなかった時代に使用されていた金属はほとんどが金です。
高齢者の口の中を見た時に、金の入っている確率が非常に多いことでも、それがわかります。
金を使用すると予後が良いことは、昔からわかっている訳です。
歯科医師自身も当然それを知っているので、自分たちの治療には白金やセラミックを選択する人がほとんどです。
12%金銀パラジウム合金とは、金属代を安くするために作られた金属で、全てにおいて中途半端な金属です。
そんな材料を自分たちの治療に使用する歯科医師などは、ほとんどいないと言っていいでしょう。
でも、金の価値観を説明するのはなかなか難しく、時間がかかりすぎるため、選ぶ人が少ないのが現状です。
だから、元々金の価値観を身内から伝え聞いている人などが、金や白金を選ぶ傾向にあります。
私の私見ですが、アジアでは予後を考えて白金を使用していることが多く、欧米では見た目を優先してセラミックを使用していることが多いようです。