歯のクリーニングは歯周病の治療である
歯のクリーニング(スケーリング)というものは、物理的には一回で全てが終了します。
家でのブラッシングだって、二回とか三回とかに分けたりしないでしょう?
では、なぜ歯科医院でクリーニングを頼むと、何回かに分けて行うことが多いのでしょうか。
その理由は、歯のクリーニングというものを、歯周病の治療として解釈した上で行っているからです。
流れとしては以下の通りです。
まず初診時に、歯の汚れを認識します。
そこで歯科医師は「このまま放置しておくと、汚れによって歯肉が炎症を起こし、歯周病が進んでしまう、まず現在の状況を検査した上でクリーニングしなければ。」と考え、歯肉の状態を検査します。
そしてとりあえず、二回以上に分けて、歯の表面の汚れだけを落とします。
ここで二回に分ける理由はあまり意味がないのですが、昭和40年代の厚生省(当時)の『スケーリングは二回に分けて行うことが望ましい』という通達によって規制されています。
誰が決めたかはよくわかりませんが、当時の担当官が二回以上に分けるように指示を出したものが、今も効力を残しているのです。
ただ、地域の審査員によっては一回での終了を認める場合もあるので、基準は少し曖昧と言えます。
で、最初のスケーリングをしてから約10日以上経過した後、再検査をします(10日程度経過しないと、治ったかどうかの判断が早すぎる、とされて保険審査が通らない)。
そこで明らかな良化が見られなかった場合に限り、歯肉の下の隠れた部分の汚れ落としに取りかかります。
したがって、初日、二日目には歯肉の下の深い部分の汚れ落としに関しては、保険が適用されていません。
もし早い段階でやってもらってくれる先生がいたとしたら、実はその分の治療費を無料にしてくれているわけです。
通院三日目以降になると、保険の規制が外れるため、全体的な汚れ落としも保険適用内となり、段々と通院日数に対するこだわりが無くなっていくのです。
ただ、一気に全体のクリーニングを行う、というのは解釈の問題(そんな簡単に歯周病が治るのか?というような考え方の問題)があるので、医院によっては、さらに通院を求めることもあります。
☆歯のクリーニングを一日で終わらせてもらうには?
簡単な問題です。
保険診療でなく自費診療にすればいいのです。
都心部などには歯のエステなども多く存在するようになっています。
このような場所の多くは保険診療を取り入れていません。
ほとんどが自費診療になっています。そのため、ルールに縛られることが無いため、物理的にできることならば、注文すればほぼ行ってくれると思います。
同様に普通の歯科医院でも「自費診療にするので、一日で終わらせてください」と頼めば同様の対応をしてもらえると思います。
歯のエステを開業している先生も、普通の歯科医院を開業している先生も、元々は歯科大出身の同業者です。
だから、手間ひまのかけ方や材料の違いなど、多少の違いはありますが、大まかなクリーニングの方法は似たようなものなのです。
逆に費用を安くしようと考えているならば、何回か通院し、歯のクリーニングを歯周病治療の一環として保険治療の範囲内で処置してもらう、ということになるのはやむを得ないと思います。