歯周炎と歯槽膿漏の違い




 どれも歯肉の病気のことですが、違いがわかりますか?


 簡単に説明すると、「重度の歯周炎=歯槽膿漏」、「初期の歯周炎=歯肉炎」というところでしょうか。


 なぜ曖昧な説明になるのかというと、実は「歯槽膿漏」だけは専門用語ではなく、俗語だからです。


 第三大臼歯のことを「親知らず」と呼んでいるのと同じです。


 専門用語では歯肉の病気のことを、主に「歯周炎」または「歯周病」と呼び、軽度なものを「歯肉炎」と呼んでいます。


 「歯周炎」とは読んで字の如く、歯の周囲の炎症のことです。


 歯周炎は現在、進行具合によってP1、P2、P3の三段階に評価されています(保険診療の上でのランク分けで、正式病名は別にあります)。


 そしてP1レベルまでなっていないと判断したものは「歯肉炎」(これも読んで字の如く歯肉の炎症)と呼び、Gという病名がついています。


 ちなみにPは「Periodontitis」の略称、Gは「Gingivitis」の略称です。




☆歯槽膿漏のイメージ


 この文章を読んでいただいている方の中に、もしかしたら歯医者さんに行って「歯槽膿漏ですね」と言われたことがある人がいるかもしれません。


 言われたことがない方でも、もしこのように言われたとしたら、多少はショックを受けるかと思います。


 でもあせるのは少し早計です。


 歯槽膿漏と聞いた時、まず何を想像しますか?


 言葉を直訳すると、歯槽(歯の槽=歯が入るための穴、歯のための水槽みたいなイメージも持ってもらえればいいです)部分に膿が溜まって漏れている、ということです。


 したがって、言葉自体を鵜呑みにしてしまうと、「口の中に膿が…」と考えてしまうこともあるわけです。




☆歯槽膿漏は人によって解釈の違いがある


 細かいことはわからないのですが、昔はX線装置などが今ほど進歩していなかったこともあり、歯周病という概念をあまり持っていなかったようです。


 だから昔の人はかなり状態が悪くならないと歯医者に行きませんでした。


 その結果、歯肉から膿が出るような重症になってからようやく通院するために、わかりやすい言葉として「歯槽膿漏」という病名を伝えたのではないでしょうか?


 このような概念が存在しているため、現在でも「歯槽膿漏=歯周炎」という解釈と「歯槽膿漏=重度の歯周炎」という解釈が混在しています。