ツボとは何か てい鍼の歴史 ツボの歴史
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ツボとは何か




 ツボとは、体の上にある、特別なポイント(特異点)であり鍼灸治療では、病気を診断するための重要な場所であり、 治療のポイントとされています。
ツボはランダムに存在するのではなく、実際に黄帝鍼(新型てい鍼)で取ってみますと、実に幾何学的に美しく出現するのに驚かされます。

 体に悪いところ(気質的な物、でも機能的な物でも)があると、対表面にツボとしての反応が現れます。
逆に云うと反応が無ければ、健康な状態と判断します。

 ツボはどの様なかたちで現れるかついては、一般的に云われる硬結は誤りだと思われます。硬くこっていて押すと抵抗のある痛い部分であるという勘違いが一般にあるからではないかと思われます。

 ツボとは正に壷なのです。  指頭で軽く押すとぺコンとかゲコンと凹む、表面がザラッとしていて、中が空虚で、正に壷のような感じなのです。原典の中でも 『孔』 とか 『穴』 などの文字を使って説明されています。

ただ、実際に誰でも正確にツボが取れるかと言うと大いに疑問があります。
個人個人に感覚の格差があり、訓練だけでは埋められないのは、脈診の場合と同じと考えられます。

 私たちが、体の不調を感じるとき、それが器質的なものであろうが、機能的なものであろうが体は必ず歪をつくり、ツボとしての反応を表します。

 この歪をツボという形で捕らえ、これを経時的に確認することにより、状態の改善が、はっきり捕まえることができるのです。
人間の体をスイカに例えてみますと、中の赤い所が、内臓諸器官、皮に相当するのが、皮膚、骨格、筋肉などです。

我々の先人は、皮に出現する歪の存在に着目し、この歪を正すことで中身の不調を取り除くことができるという事を発見したのです。  数千年にわたる長い歴史の中で、先人は皮(体表)の観察に全精力を注ぎ、壮大な体系を作り上げました。これは、人類の発明発見のなかでも最大級の物であろうと、私は考えています。

 当時の人々にとっては、全く自然なこれら一連の営みも、現代の我々の目からみると、幾つかの長所と短所を持っていることは否めません。

 体系が感性と当時の観念的な自然哲学の融合により形ずくられたことも、後世の人々に受け入れられにくい最大の原因であろうと思われます。しかし、全く別の観点、効くか、効かないかと言う点から見ると、全然違った全貌が、浮かび上がってくるのです。

その著効は、時代を超え、医術として支持され、現代においても、多くの人々に愛されています。
先人は、体表の徹底した観察に全精力を注ぎ、体内や内臓は、ブラックボックスとして、解剖学生理学を必要としない体系を構築したのです。

人体に起こる変調を体表面に現れる歪に還元し,ツボの治療により、この歪が取れ体が復調するのです。
これが全てであり、これ以上でもこれ以下でもないのです。従って 治療師は正確なツボを取ることに全精力を注ぎ、それなくして患者の苦痛を緩和することはできません。

 他には解剖学も生理学も病理学も必要としないのですから、空白にしておけばよかったのですが,観察分析の足りないところを観念論で埋め合わせたことが、後世の人の理解を妨げていると思われるのです。

古典の中にある症状に対応する治療穴、主治穴はツボを利用して体表の歪を観察し、多数の経験の蓄積によりパターン化が為されたものと思われます。

反応の出ている生きているツボは、治療点となる事が経験で判っていますので、治療師はそのポイントに鍼や灸をします。この一連のプロセスが、正確に行われたとき、期待どうりの治療効果が初めて得られるのです。

ツボの形状


 ツボの形は、まさに壷,入り口が狭く中が広がっているのです。 何故このような形になるのかは、よく分かりませんが、体内に悪いところができると、血行障害、栄養障害が発生し、これらがツボの発生に関係している事は、容易に想像できます。

現象面から見ますと、ツボとは組織の劣化状態と考えられます。組織の劣化が起こると、組織は、疎になり、軟化がおきます。電気的に抵抗値が下がり、電気が流れやすくなります。 この性質を利用して、ツボの探索器が各種市販されています。



 さらに血行障害の為せる技だと思われますが、ここに自覚的、他覚的冷えが発生します。冷えは、ツボの状態が改善されると自然に無くなります。冷えは、圧痛などと同様、患者本人が感じるツボの特徴的な感覚です。

表皮が劣化し、ざらつき、他に比べて暗くみえます。体の内外から邪気を集めるため、ぬめりを感じます。
病気の状態によってツボの出現状況は千差万別です。従って、正確にツボを取るだけでなく、実際の治療にあたっては、全体として、どのように読むかと言うことが、重要です。

実際のツボの現れ方


 ツボは生きており、どの様に反応が出現するかは、病態により千差万別であり、同じ病名であってもそれぞれ異なり、病名とツボを対応させることは,事実上困難であると、思われます。

 定型的なツボを、病名と対応させたHow To Bookは書店の店頭に、多数並んでいますが、買って、そのとうりにやってみても、うまくいかぬ事は、ご承知のとうりです。もっつとも、これは本という表現形式上やむおえぬ点でもあります。ちなみに、わたしの
 『症状別 ツボの大図鑑』 でも同様の形式になっています。

 従って、ツボという体の反応を検証する場合は、実際の病体でなければならず、これは極めて多彩な現れ方をする為、症例として興味深く、写真公開の許可が得られ、経時的な観察に協力していただける方が出現しいだい、少しずつ報告してゆく予定でしたが、残念ながら断念。

ツボの種々層


組織の劣化は、初期には体表面のツボとして現れますが、内臓の病変,と筋肉 神経等比較的浅い組織の病変では、一般的にツボの深さが異なるようです。浅い組織の病変の方が、ツボが深くなり、深い組織の病変は、浅いツボが出現するようです。

昔から深い鍼がいいのか、浅い鍼がいいのかが論じられていますが、ツボの形がそれを決定するもです。
従って、当然浅く刺さなければなければならぬ場合と、深く刺さなければならぬ場合があるようです。
どのようなファクターが、これらを決定するのか、まだ判らぬ点が多々あります。

正しいツボの取り方


陰虚症の場合、つまり本人にあまり明確な病識が無い場合は、下肢の内側にライン状に反応が現れるのです。 このような場合、脊柱の両側も注意をして見ますとツボの反応がタテにライン状に出るのが普通です。
ツボは組織の劣化状態であるため、触るとぺコンと凹む感じがします。

手で圧を加えると、痛気持ちいい独特の感じが在るのが普通です。O-リングテスト   フィンガーテスト    などでもハッキリ反応がキャッチできます。 ツボをてい鍼などでおさえ中位脈を診ますと脈の変化が判ります。

以上の方法は、術者の感覚に拠るため、判る人と判らない人がいるのは仕方が無い事だと思います。私はツボ探索用のてい鍼 つまり鍼尖部が丸くツボを捕らえやすい特殊なてい鍼(黄帝鍼)を作りました。

 さらに組織の劣化状態が起こると、電気抵抗が少なくなるという性質を利用したツボセンサーが昔から 多数つくられてきました。

どのような病気に効果があるのか


 体表に現れたツボを使い、全体の歪をなおし、自然治癒力を活性化するものですから、基本的には全ての病気に対応できると考えて間違いありません。ただそうは謂っても例外があります。

その一つは外科的処置を必要とする疾患です。 当然ですが、このような疾患は最初に外科的処置を受けるべきです。ただそのような場合でも、後処置として、疼痛を緩和し,回復をはやめるという意味では有効です。

二つ目は、命に拘わるような重篤な疾患でも表層すなわち体表に歪が現れず細胞レベルに歪をつくる疾患です。癌が代表的です。 

勿論、生命の根源である細胞レベルに歪ができる前に、予防法としては有効です。
現在、多くの人々が悩まされている、長時間のパソコン使用による眼精疲労 肩こり  頭痛  背部痛  腰痛などは典型的な表層の歪からくる疾患ですから、どんな治療法より即効性があり,劇的な効果が期待できます。

病名は大したものでなくとも、歪が強い場合は、本人の苦しみは大変強いものになります。病院で検査を受けても、何の異常も発見されないのです。何故なら原因になっている表層の歪に、現代医学は、気ずいていない のですから。

上述の二つの場合を除き、多くの疾患に効果が期待できますが、そんなにいい物なら、なぜもっと普及しないのだろうという疑問を、みなさんお持ちになるだろうと思います。鍼灸治療の診断と言うのは、個々の鍼灸師の実力しだいであり、どのように診断するかは非常に主観的であり、現代医学的な客観性がないのです。
これが鍼灸治療の普及と信頼をはばむ永遠のネックなのです。

 

ツボの効力限界



このように考えてきますと、自から限界が見えてくると思います。 全ての疾患が表層に歪をつくり、その歪を取れば全ての問題が解決するのでしょうか。どうやら事はそう簡単ではなさそうです。 表層の歪と同時に生命のもっと根源的な部分つまり細胞レベルにできた歪には、なかなか難しいような気がします。

即ち、体表にツボの反応の現れない疾患、癌 筋ジストロフィー ASL 等の疾患は疼痛の緩和、食欲の増進は期待できますが、完治は困難だと思われます。

外科的処置が必要な怪我などは、ツボ治療はファーストチョイスにはなり得ないと思われます。
しかし、これも基本的には技術の問題であり、癌治療などにそうとうの実績を持っている方がいることも事実です。

気とツボの関係


ツボとして組織の劣化が起きるとここに邪気が集まるのです。鍼はこの邪気を取るためのまたとない道具なのです。 組織の劣化と邪気の同調はいろいろな現象を引き起こしこれが気の医学として発展する原動力になったと思われます。
古典の中にはツボは気の出入口という説明がされているようですが,私は組織の劣化に邪気が同調して集まってくると考えた方がより現実にちかいような気がします。

邪気が集まることによってまた新な問題を次々と起こしていきます。 邪気の働きによりさまざまな症状が引き起こされます。
血管が収縮する事に拠り体温の低下が起こり細胞の働きが悪くなりいろいろな病気が生まれるというのが一般的な形だと思います。
従ってこの様な状態に対処するためには、2つの方向が考えられます。

第一は表層の組織の劣化状態を改善すること。
第二は表層の邪気を取ること。勿論これらが相互に影響しあい病的状態を改善していきます。

第一の目的を達成する為ツボに灸をすること、各種温灸、温熱療法 湯治 これらの方法が有効であり昔からいろいろな模索がなされてきました。

第二の目的を達成する為に、鍼による各種のシステム治療が多くの天才的先人の業績が残されています。
どのようなシステムであってもツボの組み合わせで成り立っていることから考えますと、 我々の目的が達成されることが判ります。

 てい鍼の歴史  ツボの歴史
 

 てい鍼の歴史を文献で探してみると、霊枢の 官鍼篇 九鍼論篇 九鍼十二原篇の中に不明確ではありますが、その萌芽のようなものがみうけられます。

 明確な記載が認められるのは、後代の『古今医統』 『類経図翼』 『鍼灸逢源』などの文献です。

 使用目的も邪気を出だし、脈を疎通するという程度でそれ以上の使い方のノウハウは記載されていません。
 
 
ツボ
  原典

『鍼灸甲乙経』
皇甫謐の作、古典中の古典、ツボは経絡上に配置されている。

『鍼灸大成』 楊継洲の作で理論的に書かれた。

『鍼灸資生経』

王執中の作ではツボの部位とその主治、鍼灸法や取穴と治療法などが記載された。


『十四経発揮』  滑寿 経穴には正穴と奇穴があり、正穴は14本の経絡(任脈、督脈と12正経)に属すとの記載。 現代経穴のルーツ。 
株式会社 ツボ研
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