幌満のかんらん岩トレッキング

探訪日:2003/08/03,09/21,10/13,2004/08/08


テーマ:かんらん岩(特にダナイト)を探そう!

アポイ岳 日本ジオパーク認定。ということで、幌満のかんらん岩 を採集しに行った時のことを少し。自分なりに調べて書いていますが、岩石鉱物に関する専門的な情報については、間違って載せてしまっているかもしれません。ご容赦ください。

かんらん岩
大部分(40%以上)が宝石のペリドットと同じ「橄欖石」から出来ている深成岩です。地下深部の非常に高温な所で作られる石なので、そう簡単には融けず熱に強いため、鉄の鋳造等、耐熱を必要とする所で利用されています。色は白い鉱物が少ないため黒っぽくなりやすいですが、純粋なものはオリーブ色をしていて綺麗です。北大博物館に展示されている純粋な橄欖岩(ダナイト)はその代表格でしょうか。僕はあの綺麗なダナイトを見て幌満に行ってみたくなりました。

かんらん岩の山 アポイ岳
日本ジオパークに認定されたようです。個人的に嬉しいです。
アポイや幌満を歩くと、新鮮なかんらん岩の希少性、2億年に渡る北海道の成り立ち、日高山脈の成り立ち、マグマ生成のしくみと火成岩の起源、その上に息づく固有の生態系、人々の暮らしなどが、繋がっているんだなと思えます。日本ジオパークに認定されてもおかしくないなと思います。
日高地方南部、日高山脈の南端近くに半年近くも花を楽しめる人気のアポイ岳があります。貴重な高山植物群落を守るため、1952年から山頂付近が特別天然記念物に指定されています。アポイ岳は火の神様の山(語源はハッキリしないが、山田秀三さんによれば、アイヌ語で「ア・ぺ・オイ(火・ある・所)」とのこと)、様似町では夏にアポイ火祭りが開かれます。また、アポイ岳は地質的にも貴重な山として世界的に知られています。この山は、地下深部のマントル上部にあった橄欖岩が新鮮な状態で露出している非常に珍しい場所。アポイ岳の固有種は、この石の成分からくる特殊な土壌環境に影響しているようです。

かんらん岩の谷 幌満渓谷
アポイ岳の南に深い渓谷が刻まれており「幌満(ほろまん)」と言われています。山田秀三さんによればアイヌ語で「ポル・オマン・ぺ(洞窟に・行っている・川」。上流は洞窟のようになっていて水が流れ出ているということだったらしい。洞窟のようになっているかどうかはさておき、確かに岩だらけの深いV字谷を形成しているので、わからないこともないです。渓谷は主に橄欖岩で出来ていることは地質図から明らか。渓谷の至る所に橄欖岩の転石や露頭があるに違いありません。また、ここは、ゴヨウ松と広葉樹が織り成す紅葉が綺麗な所で、橄欖岩観察を兼ねて紅葉見物です。

なぜここに橄欖岩があるのか
橄欖岩はマントルを造っている石で、地表に露出することは少ない。なぜ、地下深部にある橄欖岩が地表に大量に露出しているのか。それは、北海道がプレートの衝突により形成されたからのようです。ここで詳しくは説明しません。講演会やセミナーで聞くと面白いので、是非聞いてみてください。マントルが橄欖岩で出来ている証拠を観察できる貴重な所です。そう言われているものの、現在の日高山脈の形成論では、幌満かんらん岩をうまく説明できない部分もあるらしいです。また、幌満かんらん岩はオリーブ色で綺麗ですが、実際のマントルにあるかんらん岩は、もっと黒っぽいという話もあります。マグマ成分が抜けていないので黒いかもしれないと思う。

現地へ行く前にサンプルを色々見ておく
幌満へ行く前に、北大や様似町役場に訪れておきます。北大は博物館や構内に幌満橄欖岩のサンプルがあります。特に、博物館内に展示されているダナイトは美しく一見の価値ありです。また、様似町役場前には「アポイの鼓動」という広場があり、橄欖岩のサンプルがたくさん置いてあります。磨かれていて中の鉱物組織が良くわかります。ただ、岩石名が書かれていないので、様似町のホームページから配置図を印刷するなりしておいた方が良いです。また、日高山脈館の玄関前の階段や柱に埋め込まれている石は、学芸員さんが言うには橄欖岩だということです。風化した表面を観察できますので参考になるかと思います。

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