幌満のかんらん岩

探訪日:2003/08/03,09/21,10/13,2004/08/08


国道から1km程入ると水力発電所が見えてきます。最下流にあるこれが第一発電所(右写真)。上流にあと二つ、第二と第三があります。発電所の下から轟々と水が吐き出されていることがあります。発電所近くの川原に降りることができました。転石を観察すると橄欖岩が非常に多いです。斑糲岩や片麻岩、蛇紋岩も多く見られます。橄欖岩は、表面の橄欖石が風化して錆色になっているのでわかり易いです。ここの川原は発電所の放水具合によっては危険なので、長居はしない方が無難。

一方、向かえ側に橄欖岩の採石場が稼行しており、段々に山が削られています。採掘が進んでいるようで、現在は少し奥で採掘が行われています。段々になった山は放置されているようで木が生えたりしています。第一発電所付近の道路には、道脇に細かに砕石された橄欖岩が多数落ちています。なお、採石場は立入禁止です。無断で入らないようにしましょう。

第一発電所付近から、道路沿いにさっそく橄欖岩の露頭があります。ここら辺りのは青黒い橄欖岩。見た目に、斜方輝石(褐色)は判別できますが、単斜輝石(エメラルドグリーン)はほとんど見られないので、たぶん斜方輝石橄欖岩(ハルツバージャイト)です。

しばらく立派な舗装道路が続きますが、右手に採石場のゲートがある所までで、以降は林道です。結構車通りがありフラットで走りやすいダートが続きます。途中、崖に道が付けられている区間があり、橄欖岩や蛇紋岩の露頭が豊富です。ただ、幅員に乏しいので、駐車場所を考えねばなりません。この辺りの露頭は、概ね斜方輝石橄欖岩(ハルツバージャイト)か蛇紋岩です。

崖区間を過ぎると、天然記念物ゴヨウマツ北限の碑、第二発電所、第三発電所、神社、祠、廃屋、廃ダム等が自然の中に溶け込んで転々と現れます。幌満川の発電利用は戦前からで、当時、日高電燈という会社が電力供給を行っていたようです。当時は人が住み込み動かしていただろう発電所も、現在は遠隔監視されタービンの音だけが坦々と響いています。昭和17年に建てられた謝恩碑、滅多に人が訪れることもないだろう古い祠や神社。何気なく供えられているジュース。現役でありながら遺跡であるかのような哀愁を覚え、手を合わせたくなります。

転石をチェックしながら沢の脇を辿って登ります。沢にはレルゾライトと思われるかんらん岩の巨岩がゴロゴロ。単斜輝石脈を持つかんらん岩もありました。1時間くらいでダナイトらしき転石が2個見つかりました。