ロジン岩 rodingite (日高)

採集日:2008/05/18
採集地:日高町

これを採集した沢には蛇紋岩が分布している所があり、その蛇紋岩の中にロジン岩が含まれる場合があります。青黒い蛇紋岩の中に灰乳白色の岩石がレンズ状、脈状に入っているのですぐにわかります。
ロジン岩が結構面白いのです。それは、この岩石がカルシウムとマグネシウムの珪酸塩鉱物の塊であり、色々なカルシウムとマグネシウムの珪酸塩鉱物が見られるためです。通常のロジン岩は、非常に細かな結晶が集まっているだけで、ルーペでも見分けられないくらいなのですが、時たま、ロジン岩内に脈を成したりスポット的に結晶が成長している場合があります。
鉱物としては、灰礬柘榴石(英名はグロッシュラー)、透輝石、ベスブ石、葡萄石、ハンペリー石、ソーダ珪灰石、珪灰石、などで構成されていて、蛇紋岩との境界に緑泥石や菫泥石が出来ている場合があります。

☆★ ロジン岩について ★☆

ロジン岩は、ニュージーランドのDun山(かんらん岩の一種「ダナイト」原産地。Duniteの名前の由来となった山)で発見された岩石で、カルシウムとマグネシウムの珪酸塩鉱物の集合体です。ロジン岩の生成について、一つは以下のようにされています。
「地下深くにあった蛇紋岩が、地殻変動により地表へ向って上昇してくる過程上、その経路上にある岩石が蛇紋岩中に取り込まれていきます(捕獲岩という)。その後、その捕獲岩がロジン岩化作用を受けロジン岩になります。」
結果、ロジン岩は、蛇紋岩の中にレンズ状、ブロック状の塊として出来上がることになります。日高のロジン岩の元岩は、閃緑岩、斑レイ岩、輝岩で、実際に沢を歩くと、レンズ状や大きなブロックとなって蛇紋岩中に入っている産状を見ることができますし、沢には蛇紋岩と共に、変質した輝岩や斑レイ岩を見つけることができます。ほとんどのロジン岩は、元岩がなんだかもうわからなくなっているのですが、中には、なんとなくわかるものもあります。



☆★ 沢の産状 ★☆

蛇紋岩の中にレンズ状に含まれていることが多いです。沢にはこんな感じで転がっています。いろいろな状態があり、これは最も多い状態です。中には、ヒスイみたいに見えるものもあります。

☆★ いろいろなロジン岩 ★☆

菫泥石を含むロジン岩
クロムを多く含む蛇紋岩の中にあるロジン岩だと、緑泥石にクロムが入って菫泥石が生成する場合があります。
元岩の痕跡を残すロジン岩
ロジン岩は、元々は蛇紋岩に取り込まれた岩石だという。ということは、元岩の痕跡が残っているロジン岩もあるはず。このロジン岩がそうかもしれない。

ベスブ石を多く含むロジン岩
ロジン岩は色々な鉱物から出来ています。通常は混合して白くなっているのですが、単一鉱物が抜きん出て大量に含まれているものもあります。これはベスブ石の例です。

透輝石を多く含むロジン岩
ロジン岩は色々な鉱物から出来ています。通常は混合して白くなっているのですが、単一鉱物が抜きん出て大量に含まれているものもあります。これは透輝石の例です。

ざくろ石を伴うロジン岩
割れ目にざくろ石が生成されている例です。