灰礬ざくろ石 grossular (日高町)
採集日:2012/06/02
採集地:日高町
灰礬ざくろ石です。
石全体がざくろ石の塊となっています。これを採集した沢は、蛇紋岩の中にざくろ石が脈状に入っていることがあります。これは、比較的太い(4cm)幅程度のざくろ石脈だったのだろうと思います。4cm幅のざくろ脈となると、ここではまだ見た事がありません。母岩を見てみたいものです。
灰礬ざくろ石は色々な色がありますが、私が日高町で見かけた灰礬ざくろ石は、このような薄緑色のものが60%です。他、薄黄色もありました。
表面はのぺっとしていますが、所々に蛇紋石がくっついているので、蛇紋岩の中に入っていたことが伺われます。蛇紋岩は柔らかいので沢で転がっているうちに削れてなくなってしまい、硬いざくろ石の部分だけが残ったのだろうと思います。
ルーペで拡大してみると、コロンとしたざくろ石の結晶が見て取れます。新鮮な断面ではないので綺麗ではないですが、微細な結晶の集合体であることがわかります。自宅で計測した比重と硬度は以下。
比重:3.6〜3.7くらい。蛇紋岩やロジン岩に比べて重たいです。
硬度:硬度6〜7(石英で傷が付く、ナイフでは傷付かない)
灰礬ざくろ石は純粋なものは無色ですが、2〜3種の混合であることが多いです。灰礬ざくろ石は、カルシウムとアルミニウムの珪酸塩鉱物です(Ca3Al2(SiO4)3)。アルミニウムがクロームや鉄に置き換わりやすく、クロームと置き換わると[灰クロームざくろ石(Ca3Cr2(SiO4)3)]、鉄に置き換わると[灰鉄ざくろ石(Ca3Fe2(SiO4)]3)になります。これら置き換えは、任意の割合で発生するので、自然界では、[灰礬ざくろ石]と[灰クロームざくろ石]と[灰鉄ざくろ石]が任意の割合で混ざっていて、見た目は一つの鉱物に見えても、連続的に組成が変化し固溶体を作っています。
これを採集した沢では、灰クロームざくろ石や灰鉄ざくろ石も見られます。色々な比率で混ざっているのでしょうけれども、クロームが入ると鮮やかな緑色になって綺麗で目立ちます。そういうこともあって、上記3種の中では「灰クロームざくろ石」を一番多く目にしますが、灰クロームざくろ石はなかなか肉眼で見える程度の大きさの結晶として産しないので、目にすることは多いですが、灰クロームざくろ石の標本としては、なかなか良質なものがないです。
同じ沢で採集したざくろ石
→灰鉄ざくろ石