日高山脈博物館 岩石地質講座 上級 第2回 / 顕微鏡で見る岩石 参加

日時:2014/11/09 10:00〜15:00


去る2014/11/09(日)、日高山脈博物館の岩石地質講座の岩石薄片作成講座に参加してきました。今年もこのレアの講座が開かれました。

かんらん岩。学芸員さんが日高町で採集し岩石です。

かんらん岩は地表ではあまり見られない岩石

かんらん岩は、主に2種類の鉱物(かんらん石と輝石)の集合体です。この他の鉱物の割合は少なく、かんらん岩の分類はかんらん石と輝石の割合で決まります。
地球は主に岩石で出来ており、比重の関係から、地表付近は軽い物質(金属成分が少ない鉱物:石英、長石など)で出来た岩石、地下深くには重い物質(金属成分の多い鉱物:かんらん石、輝石、角閃石)で出来た岩石、そして、中心付近には金属の塊があると言われています。かんらん岩は、地表で見られる岩石の中では最も比重の大きな岩石の一つで、ほぼ全て金属成分の多い鉱物(かんらん石、輝石、スピネル)からなり、地表では稀な岩石の一つです。それは、かんらん岩が地表付近の岩石ではなく、地下数十キロ以上深い所にあるマントルを構成する岩石で、マントルの岩石が地表まで上昇して顔を出すことが稀であるためです。
日高町には、この稀な地質構造の地域があり、そこへ行くと、地下深くから上昇し地表に顔を出した大量のかんらん岩を手にとって見ることができます。これは地質的に非常に珍しく貴重なものなのです。

日高町のかんらん岩

日高町のかんらん岩は、北海道の地質帯で言うと、神居古譚帯と日高変成帯の地質帯で見られます。前者は市街地の近くでも見られますが、後者は山奥に行かないと見れません。前者で見られるかんらん岩は、ほとんどが変質して蛇紋岩になってしまったもので黒い塊です。後者で見られるかんらん岩は、岩石全体が地殻変動で変形していますがオリーブ色です。今回の薄片対象は、前者で見られるかんらん岩で色は真っ黒ですが変質していないものです。この未変質のかんらん岩は、私的に日高町の宝だと思っています。

神居古譚帯のかんらん岩
岩石は黒っぽく不透明
かんらん石はほぼ全てが変質し蛇紋石化
輝石は変質しきってはいない

日高変成帯のかんらん岩
日高主衝上断層付近にあり、変形し片状化
微細な結晶の集合体
岩石は緑色で透明感あり
恐らく、かんらん石は変質していない

今回の薄片対象
神居古譚帯のかんらん岩

岩石は黒く少し透明感あり
かんらん石も輝石も変質していない

右写真は、薄片にしたかんらん岩と同質の岩石。
黒い部分:かんらん石
暗緑色でブツブツしている部分:斜方輝石


作成工程について

今回の作成工程は2013年の講座と同じです。
→日高山脈館 岩石地質講座 上級 第2回 / 顕微鏡で見る岩石 参加

今回作成した薄片の推移を載せておきます。

1.チップ
岩石カッターで切断し作成

2.荒削り開始
二次切断まで終了した状態から開始

3.#800番研磨へ移行
まだまだ厚い

4.仕上げ研磨(#1600番)へ移行
 

5.仕上げ研磨終了
ほぼ透明

6.保護剤塗って完成
 


薄片写真(クロスニコル)

かんらん石:カラフルな部分
斜方輝石:グレーで大きな結晶
クロームスピネル:真っ黒で不透明なもの


所感

講座を開いていただいた日高山脈博物館及び学芸員さんに感謝します。0.03mmになったかどうか、どこで削りを止めるかが難しいです。個人的に作りたいのは山々ですが、薄片作りには集中して作業するまとまった時間が実生活の中でなかなか捻出できないですね。自分のペースでゆっくりやっていこうと思います。