自動車の車体の塗装工程は大別して被塗物である車体の前処理、防錆のための下塗 り 、防水・防音処理を施すシーラー工程、上塗り後の外観および耐久性を補助する中 塗り工程、着色のためのベースと耐久性付与のためのクリヤーを連続塗装する上塗 り工程の5工程から構成されております。そして、現在の車体、および部品の塗装の 下塗り工程には殆どが電着塗装法を採用している状況にあります。
そして自動車の防錆対策は防錆鋼板、前処理、電着塗装下塗り、シーラー・アンダーコート・防錆ワックスなどの補助材料などの適切な組み合わせによりその職能をまっとうしているのが現状であり、その中心にあるのが電着塗装と言うことになるのです。
この技術がフォード社によって発明されてから近々50年を、また日本における実用化も45年を迎えることになり、今後とも自動車のみならず、 多くの製品製造に欠くべからざる技術として発展して行くと思われます。
自動車製造に於いては、立体的な構造体の塗装に適した付き廻り性、防錆鋼板とのコンビネーションにより塩害への優れた防錆性能が得られ、塗装品質に変動やバラツキが少なく、工業材料としての安定的供給とリーズナブルなコストによる経済性を可能としているからであり、それに加えて、今日の社会が製造工程に求める種々の要件、例えば環境に優しい(材料使用効率の高い、省エネ、排水・排気の削減)や、CAMなどのコンピューター支援により完全自動化を満足し得る塗装法であるからであろうと思います。
そのようなわけで、ここでは電着塗装技術誕生50年を記念する諸行事の推進を啓蒙するために「塗装技術」誌上に提案したものであります。
何とぞ主旨にご賛同頂ければそれぞれの立場で宜しく啓蒙頂ければ幸いです。