朝日岳 (あさひだけ) 〜 小粒ながらなかなか 〜

探訪日:2013/06/16




朝日岳は、定山渓温泉街の背後にある標高600m余りの山です。札幌市街地から近く、標高差300m程度、大人の足で1時間程度で登れ、下山後はすぐに温泉に入れる、健康な大人にとってはお気軽な軽登山の山です。登山道の距離は短いですが、山の斜度があるので、ジグを切って上がっていきます。急斜面のトラバースもあり、小さな子供を連れて行く場合は、途中で疲れて登れなくなる可能性への考慮、また、自力で登れても、足を踏み外さないように気をつける必要があると思えます。

特に大きな問題もなく、頂上まで行って帰ってくることができましたが、まだうちの子供には少々キツかったと反省しました。

予想以上に大変だった
登山道の距離が短く標高差が少なく所要時間が短い山であるため、子供は頂上まで歩けると思っていたのですが、実際歩いてみると誤算でした。急斜面をジグ切って登り下りトラバースする細道が多いコースでした。登りは、子供は全行程の70%でギブアップ。残りはおんぶと脇抱え。下りは16%下るまではおんぶか脇抱えでした。結局の所、危なっかしい上部30%は、子供をおんぶか脇抱えで上り下りすることになりました。また、自力で歩けるといっても、面白がって走っていくので、放っておくと登山道から転がり落ちそうで危なっかしい。もう少し穏やかなコースの山が良いなと、また、まだ背負子が必要だと思いました。
朝日岳は、小粒ながら、メタボな超運動不足の心身に程良い鞭となった登山でした。また、子供は子供なりに、汗びっしょりになりながらも、急な登山道を1時間20分かけて70%登ったのだから、「がんばった!」と思いました。上りはかなり辛そうだったのに、下りは、歌を唄いながら軽快に下りていく。子供の回復力はすごい!と改めて思いました。登山が嫌にならなければ良いのだけれども。。。

大人にとって気持ちの良い森林浴も、子供にとっては怖い
全行程、開けた所が一箇所もなく、ひたすら森の中を歩き、眺望も望めませんでした。尾根は木陰感があり明るいですが、それ以外は、森が覆いかぶさるような感じです。大人にとってはお花を見ながら、セミの声を聞きながら、気持ちの良い森林浴を楽しみながら、適度な運動、なのですが、うちの子供にとっては、頂上に近づく程に「怖い」という感覚のようでした。(特に頂上直下のトラバースの辺りから頂上までの間) もっと明るく開けた登山道で、眺望が楽しめるコースを選んだ方が良かったかなと思いました。


コース情報

  登り 下り 備考
 距離  1.79km  2.31km  祠横の急な階段を下りずに回ったため距離が長い
 標高差  268m  268m  
 平均速度  1.56km/h  2.03km/h  
 ※GPSトラック情報から計算

 ポイント  時刻
 駐車場出発  10:22
 登山口  10:30
 尾根(休憩)  11:00〜11:05
 小コル(休憩)  11:40
 子供徒歩ギブアップ  11:42
 豊林荘コース合流地点  12:06
 頂上  12:20〜12:50
 分岐  13:02
 子供自力徒歩開始  13:09
 登山口  13:59
 駐車場着  14:12

GPS軌跡


☆ 朝日岳で見かけた花 ☆

道端で目にした花です。目的は子連れハイキング。白い花しか見かけなかった花はおまけ。標高の低い所から順番に載せています。

クルマバソウ マムシグサ


ツルアリオドシ ギンレイソウ

フデリンドウ ジンヨウイチヤクソウ

 
エゾノシロバナシモツケ  


☆ 朝日岳の石 ☆

朝日岳は、かつて、定山渓で活発な火山活動が行われていた頃の岩石で出来ています。それは地質年代的には新しく「第四紀」の範疇になります。地下深くにある基盤岩はもっと古くて「第三紀」の頃のグリーンタフ活動期以前の岩石ですが、そこに第四紀の頃の火山活動のマグマが入り込んで比較的ゆっくりと固まり、その後、長い年月をかけて豊平川が削った結果、現在の状態になっていると思えます。地下深くにはまだマグマがあるのだろうと思います。近くの豊羽鉱山の坑道内岩盤温度は最下部で160℃にもなりますし、定山渓温泉は、現在も豊富に熱い温泉が自然湧出しています。

朝日岳の南面直下が定山渓の温泉街で、かっぱ淵等の散策路が整備されています。そこと朝日岳の登山道を歩いてみると、朝日岳が主にどんな岩石で出来ているのかがわかります。今回は、登山道でも拾ってきましたので、以下に写真を載せます。
だいたいは風化してしまっていますが、これが定山渓の基盤を作っている主要岩石「石英斑岩」といわれる岩石です。

分類上は以下になります。なるべく簡単に書いてみます。
大分類:火成岩(マグマから出来た石)
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 +→中分類:火山岩のうちの半深成岩(結晶が大きく成長できる程度に、地下でゆっくり固まった岩石)
   |
   +→石英斑岩(石英が大きく斑晶状に見える岩石)


河童淵辺りの石英斑岩露頭 登山道の石英斑岩(かなり風化している)
石英斑岩(風化度低い) 石英斑岩(風化度低い)拡大
石英斑岩(風化度高い) 石英斑岩(風化度高い)拡大
半深成岩:基本的に火山岩(地表に噴出して短い時間に冷えて固まった岩石で、結晶が大きくなれず、もともとマグマ内で結晶していた部分が斑晶となって残り、他は石基(ガラスと微細な鉱物の結晶の集合体)からなる岩石)。地表に噴出した岩石ではないが、地下で時間をかけて固まった岩石。ただ、岩石全体が鉱物の結晶のみで構成されておらず石基があるため、花崗岩程に時間をかけて固まってはいない)

石英斑岩:石英の大きな斑晶を含む火山岩。基本的に火山岩に分類されるが、斑晶が多く大きいので、半深成岩と呼ばれることもある。朝日岳の石英斑岩中の石英は、高温石英の結晶をしており(結晶の形だけが高温石英で、中身は普通の石英に変化してしまっている)、所謂水晶とは結晶の形が違うので面白い。大きな斑晶は、透明なのが石英、白色のが長石(恐らく正長石)、黒い部分は黒雲母に見える、青っぽい灰色の地の部分は火山岩特有の石基で、微細な鉱物の集合体、もしくは、非結晶の天然ガラスからなる。花崗岩と似た鉱物構成であり、重たい鉱物が抜け切ったマグマが地表近くまで上がってきて貫入して固まったのかもしれない。