白滝の黒曜石トレッキング

探訪日:2004/07/22


テーマ:黒曜石を探そう!

白滝村(現在は遠軽町)には、黒曜石で出来た山があり、膨大な量の黒曜石が眠っています。黒曜石は、珪酸分の非常に多いマグマが急速に冷却されて、ほとんど全部がガラスになってしまった天然のガラスです。黒曜石は、ほとんどが見た目に真っ黒い石ですが、これは、黒曜石の中に含まれている晶子と呼ばれる微細な粒子がたくさん含まれているためです。薄く割ると透明になってきます。生成過程の不純物の混入や酸化度合いにより赤や茶色になり、これは花十勝と呼ばれてます。また、黒曜石の中に含まれている晶子と呼ばれる微細な粒子の入り具合により、黒曜石内に入った光がうまい具合に回析すると、稀に青、緑、銀色、金色に輝くこともあり、そのような黒曜石を「玲瓏(れいろう)」と言って宝石扱いします。黒曜石は、産地毎に、中に含まれる晶子の形態が異なり、薄片にして顕微鏡で見ると、産地を特定することができるようです。道内各地の遺跡から出土した石器には、白滝の黒曜石が多く見られるようです。白滝は、北海道における黒曜石四大産地の一つです。

7月22日朝、好天に恵まれました。気温も適度、清々しい青空が広がりました。前日入りしキャンプし、朝一で黒曜石の山へ向かいました。沢の転石でもたくさん見ることができるとは思いましたが、山の中腹に大きな露頭があるということで、そちらに向かいました。

3km程は沢伝いでなだらかですが、沢を離れるといきなり幅員が減少し九十九折の急傾斜の道となり一気に駆け上がります。しかし道はしっかり維持されていて問題なく通れました。3km程登ると開けた場所に出ました、2台程度の駐車スペースがあります。車から降りると道にたくさん黒曜石が落ちています。さすがに産地こりゃすごい。黒が多いですが、茶の混じった花十勝も少し見られます。そして200m程進んだ先に目にしたものは...。

おぉ〜! 思わず唸ってしまいました。10mはあろうかと思われる露頭です。近づいてみると、確かに全部黒曜石で出来ているではありませんか。露頭下へ行ってみると砕けた黒曜石で崖錐が出来ています。硝子の山を歩いているようなものでピキピキ音が出ます。転んだら切り刻まれそうです。ここの露頭の黒曜石は真っ黒で薄灰色の流紋があり少し透明感がある綺麗なものでした。露頭下部は白い小粒状の縞模様(小さな球顆が並んんで縞模様になっているように思う)や風化されたような細かな穴ぼこが開いています。

ここより先は、歩いて山の上まで歩いてみましたが、道端の石は全て黒曜石と言っても過言ではないくらいに見られました。色が付いたもの、模様が入ったもの、球顆(クリストバル石)を伴うものなど、色々な表情の黒曜石を見ることができました。この日の夜はキャンプ場で過ごし、次の日に帰路に着きました。

道内各地から白滝の黒曜石で出来た石器が見つかるのも頷けました。膨大な量の黒曜石が眠っています。楽しいトレッキングでした。