黄鉄鉱 pyrite 塊状のもの
採集日:2009/06/13
採集地:日高町
日高の沢で拾った黄鉄鉱です。
上の写真は断面(とある方に切断していただきました。ありがとうございました。m(__)m)、下の写真が表面の様子です。
表面が錆び錆びになっていて、脂ぎったように光っています。この状態を「焼け」と言います。鉱化作用で鉄が濃集している部分が外気に長時間触れると、表面が錆びて、例えば、崖全体が錆びたようになることがあり、鉱床探索の目印になったりします。
これを拾ったのは蛇紋岩地帯の沢です。蛇紋岩の沢で焼けはほとんど見ないことから、逆に目立ちました。ずっしり重く、割ると真鍮色の金属光沢を放つことから、黄鉄鉱でまず間違いないでしょう。断面は黒づんでいますが、岩石カッターの摩擦で酸化しのではと思います。
蛇紋岩の中に黄鉄鉱が入っているという話は聞きません。黄鉄鉱の成分は硫化鉄なため、黄鉄鉱が生成するためには硫黄が必要です。蛇紋岩の構成鉱物は鉄を含みますが、硫黄は含みません。蛇紋岩はマントル近くで生まれて地上にまで上がってきたものなので、有機物からの硫黄の可能性は少ないでしょうから、熱水等でマグマから供給されたのでしょうか? 沢の上流には、蛇紋岩が熱水の影響を受けたんではないかという地質があるので、どうでしょうね。ここの沢で他に黄鉄鉱を見たことがないので可能性薄かな。
堆積岩の中に入っていたという可能性があります。堆積岩の中には、普通に黄鉄鉱が含まれ、場合により黄鉄鉱ノジュールとなって大きな塊になっている場合があります。堆積岩中の黄鉄鉱のでき方の一つとして、まずノジュールが出来、その後、ジワジワと熱水が流れてきてノジュールの成分と交替する場合があるようです。たぶん、これは、堆積岩中に含まれていた黄鉄鉱の塊が沢の侵食で転がり出て、沢で揉まれるうちに錆びて表面に焼けを生じ、たまたま僕に拾われてしまった。ということなんではないかと思います。