斜長石(曹長石だと思われる)albite (多度志町)

採集日:2008/07/24
採集地:多度志町

神居古潭帯の蛇紋岩地帯の沢へ行ったときに見つけたものです。
特徴は、巨大(数センチ程度)の結晶が多数入っているという点です。斜長石は白い鉱物ですが、この標本では表面が風化して茶色になっています。青緑色の部分は、角閃石(緑閃石に思える)がベースとなっています。角閃石の結晶が密ではなく、ボロボロ崩れてきます。水洗いすると、キラキラと細かな鱗のようなものがとれてきます。角閃石が変質して生じた緑泥石だろうと思います。また、角閃石の結晶と結晶の間を粘土のようなものが埋めており、滑石も出来ているように思います。緑泥石や滑石は、蛇紋岩や角閃岩が熱水変質して生じるものなので、どこかで熱水変質したものなのかもしれませんね。鱗片状のキラキラしたものは緑泥石の他に白雲母でもあるかもしれません。熱水変質を受けた岩石内の斜長石の組成は曹長石に近づいていくということが色々な文献に載っており、この大きな長石は曹長石なのだろうか? このような角閃岩内の造岩鉱物の巨大化は、熱水変質と関係してそうですね。

蛇紋岩体の中に角閃岩が入っていることがよくあります。蛇紋岩が地下深くから地表まで上昇してくる過程で、地下にあった角閃岩を取り込んで一緒に上昇してくるようです。角閃岩といっても色々なものがあり、これを採集した付近では、角閃岩を構成している角閃石が青緑色をしていて結晶が大きいのが多いです。このような一風変わった角閃岩は三石にもあり、どちらも神居古潭帯の蛇紋岩。おもしろいなと思いました。