黒鉱 kuroko (洞爺村)

採集日:2008/05/25


この日は、知り合いと洞爺鉱山に訪れました。雨でしたが小降りだったこともあり、軽く採集してみました。というか、是非とも跡地を見てみたいという方が一名いたという事情によるのだが。。。ちなみに、僕は足役である。

さて、洞爺鉱山は黒鉱の鉱山であったので、黒鉱がたくさん落ちているかと思うかもしれませんが、そうではなくて、跡地は石膏と粘土で覆われています。石膏には事欠かないのですが、黒鉱はなかなか見つからないのです。でも、根気良く割っていると見つかりますので、探してみてください。

☆★ 黒鉱について ★☆

黒鉱(kuroko)は世界的にこの名で呼ばれています。海底火山活動に伴う熱水活動により生成された、色々な硫化鉱物の塊です。日本列島は、第三紀と呼ばれる時代、今から2500万年〜1600万年くらい前は深海底で、海底で活発な火山活動が続いていました。この時期に海底に噴出した火山噴出物は、現在は緑色の分厚い岩石層を成して日本各地に分布し、グリーンタフと呼ばれています。黒鉱は、この時期の深海底の活発な熱水活動により生成されたと言われています。黒鉱がある所には、石膏や重晶石も一緒にあることが多く、洞爺鉱山も例外ではありません。
現在でも深海底で熱水噴出がある所があり、噴出口周辺には、チモニーと言われる噴出塔が生成されていますが、あれも黒鉱です。

黒鉱は、鉛(方鉛鉱)、亜鉛(閃亜鉛鉱)、銅(黄銅鉱)が主な構成鉱物で、それらが混合した複雑硫化鉱です。金もかなり高濃度で含まれています。洞爺鉱山には金山跡地と書かれているのは、そういうことです。
色々な鉱物が混合していて精錬が難しく、明治33年に秋田の小坂鉱山の所長さんらが「黒鉱自溶精錬」という精錬法を発明するまでは、宝の持ち腐れ状態でした。黒鉱が資源として注目されていた中、洞爺鉱山は大正期から開発された鉱山。ここには精錬設備があったようには思えないので、国富鉱山あたりに運んで精錬していたのではないでしょうか(推測に過ぎないが)。
東北地方にはかつて、黒鉱の鉱山が多くありましたが、現在は採掘していません。現在の小阪は、都市鉱山から産する、携帯電話と呼ばれる金はもとよりレアメタルを豊富に含む廃棄物の精錬を行っているようです。携帯電話には、金が1トン中に300〜400グラムも含まれる。これは日本一の金鉱山である鹿児島の菱刈鉱山の鉱石の金含有量の10倍にもなる。

このサンプルは品位が低いもので、石膏地に金属鉱物がたくさん入っている状態です。石膏が生成する部分なので温度が低いのでしょう。閃亜鉛鉱が飴色のような黄色で透明です。明るい灰色でキラキラしているのが方鉛鉱。鈍い真鍮色のが黄鉄鉱です。画像をクリックすると拡大写真が見れます。

☆★ 産状 ★☆

跡地に転がっていますので、探してみてください。現地で撮影しなかったので自宅で撮影。表面はこんな感じです。