層状含銅硫化鉄鉱 kieslager (愛媛県)

頂いた日:2010/04
採集地:徳島県



四国、愛媛県で採集された層状含銅硫化鉄鉱(キースラーガー)です。
川の転石のようで、丸い外観がかわいらしいです。ずっしり重く金色に輝いています。これは、別子鉱床のキースラーガーです。分けてくれた方には感謝しています。

○キースラーガーとは
キースラーガーは鉱物名ではありません。キースラーガーとは、ドイツ語で言う硫化鉄鉱鉱床を意味する「kieslagerstatten」から来ています。kies(硫化鉄鉱)、lagerstatten(鉱床)。北欧の硫化鉄鉱鉱床と日本の層状含銅硫化鉄鉱鉱床が似ているので、日本の層状含銅硫化鉄鉱鉱がキースラーガーと呼ばれるようになったらしいです。
愛媛県の別子銅山がキースラーガーの代表的鉱床であり、キースラーガーの鉱床は「別子型鉱床」とも呼ばれます。別子型鉱床は層準規制塊状型(地層内の特定の時代を示す面や層に限られて存在する緻密塊状の鉱石で構成される鉱床タイプ)で、鉱脈のように大きな結晶はなく、下から上まで地層を貫いているということもないです。
北海道では下川鉱山がこのタイプです。日本で採掘されていた銅の35%はキースラーガーであり、銅の主要鉱石でした。
構成鉱物は、黄鉄鉱が緻密に集合している塊の中に黄銅鉱・方鉛鉱・閃亜鉛鉱、などの硫化金属鉱物、金銀など貴金属、レアメタルが少量混ざっています。黄鉱(金色の黒鉱)に似ていますが、成因が異なります。超塩基性ないし塩基性岩に関連した堆積岩や、それらが変成した結晶片岩中にあります。結晶片岩内の場合は母岩相当の変成を受けていて再結晶し、黄鉄鉱の細かな結晶のツブツブが見えます。

参考:竹田 英夫 わが国の層状含銅硫化鉄鉱床(キースラーガー)について