斜長石(灰長石)anorthite (余市町)

採集日:2003/11/05
採集地:余市町

斜長石の一種、灰長石です。
赤井川カルデラ噴火の産物なのでしょうか、ここの安山岩中に大きな灰長石が大量に含まれているのです。周囲の火山灰層の中にも結晶がたくさん含まれています。安山岩中の結晶が分離したものかもしれません。噴火時にマグマ中にあった灰長石の結晶が吹き飛んできたという話を聞いたことがあります。

灰長石は斜長石の一種です。
斜長石は、ナトリウムを含む斜長石(曹長石)とカルシウムを含む斜長石(灰長石)が色々な割合で混ざって出来ています。固溶体と言われます。見ただけでは、どのくらいずつ混ざっているのかはわからないのです。専門書を見ると「An>50」とか書かれていますが、AnはAnorthiteのAnで、灰長石成分の割合を示しています。[An>50]とは、灰長石成分が50%より多いという意味です。

灰長石は「An>90」です。ここのは灰長石と言われています。僕自身これを分析した訳ではないので明確に言えないのですが、この付近の安山岩(例えば、蘭島や忍路)も、岩石中に灰長石の大きな結晶を含みますので、灰長石ということにしています。日本のようなプレートが沈み込んでいる所の島弧の火山噴出物には、ナトリウムを多く含む岩石(アルカリ岩)が少ないと言われていて、長石も「An>50」となるものが多いようです。曹長石は「An<10」なので、日本の安山岩中に曹長石が入るケースはあまりないのではと思います。
北海道において曹長石は、ナトリウムを含む角閃石(藍閃石)を含む変成岩と一緒にあります。また、熱水変質をしたと思われる角閃岩の中に見られます。

採集に際しご協力をいただいた方には感謝しております。m(__)m

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【注意】
ここの産地は私有地です。所有者か管理者の方にあらかじめ許可を貰ってから立ち入るようにしましょう。無断で立ち入りトラブルを起こさないようにしましょう。