褐色角閃石の角閃岩(日高町)
採集日:2007/07/08
採集地:日高町
日高変成帯の地域で採集した角閃岩です。
私の知っている日高変成帯の角閃岩は新鮮なものが多く、心持ち褐色がかった黒色です。新鮮で結晶粒度はそれ程大きくはなく、結晶が噛み合っているのか丈夫で、ハンマーで叩いても割れづらいです。
角閃石は生成温度で色が変わるようです。温度が低い場合は緑色で、温度が高い場合は褐色になるようです。この角閃岩は褐色がかっているので、恐らく、温度が高い所で出来たのではないかと思われます。日高変成帯は泥質グラニュライトがあることからも、温度が高い状態で変成作用を受けたのだろうと思いますので、角閃岩も高温型のものになるのかなと思っています。
見分け方:
我流なので参考程度に。
主に、角閃石(黒い部分)と斜長石(白い部分)で出来ています。角閃岩は、写真のように黒地に細かに白の縞模様が並行に入っていることが多いです。黒い部分は角閃石の結晶面がキラキラ光を反射して光っていることが多いです。変成岩は地下深くで、元の岩石に含まれる鉱物が熱と圧力で再構成されます。その際、強い力が働いているので、鉱物の結晶が一定方向に並ぶことが多く縞模様になったり、その方向に割れやすくなったりします。
角閃岩のある所:
角閃岩は、SiO2成分の少ない岩石(苦鉄質岩石:斑レイ岩、粗粒玄武岩、玄武岩)が変成作用を受けた時に出来る岩石です。そのため、変成作用を受けた苦鉄質岩体に由来する所にあると思います。
・オフィオライト(海洋底地殻)が露出している所
海洋底地殻は、苦鉄質岩石:SiO2成分の少ない岩石(かんらん岩、斑レイ岩、粗粒玄武岩、玄武岩など)からなります。オフィオライトが変成されると角閃岩が出来ると思います。そもそも、海洋底の地殻が地上に露出するというのはそうそうないと思いますが、北海道では、幌加内オフィオライト、ポロシリオフィオライトという有名な2つのオフィオライトが地上に露出しています。そこでは、たくさんの角閃岩が見られます。
・島弧地殻の地下深くの岩石が露出している所
島弧地殻の地下深くに存在する大規模なマグマ溜まりがゆっくり冷えて固まると斑レイ岩が出来ます。日高変成帯のように、島弧地殻が強い変成作用を受けると角閃岩ができることがあるようです。北海道では日高変成帯がそうです。
・蛇紋岩のある所
蛇紋岩はマントルにあったかんらん岩が地殻変動で地上に向かって上昇する過程で、水と接触し変質して出来ます。蛇紋岩岩体は、地下から上昇してくる過程で地下深くの変成岩を取り込んでくる場合があります。角閃岩は蛇紋岩より風化に強く、蛇紋岩体が地上に露出し蛇紋岩が削剥されてしまっても、残存している場合が多々あります。北海道では、神居古潭帯と道南の一部に蛇紋岩が分布しており、神居古潭帯の蛇紋岩体には角閃岩が多く含まれている所があります。道南の蛇紋岩については、探訪して実際に確認したことがないので、わかりません。