光竜(こうりゅう)鉱山

探訪日:2006/07/30など

光竜鉱山は、北海道で最後の金属鉱山です。豊羽鉱山と時を同じく、2006年3月に閉山してしまいました。これで、日本に残る金属鉱山は、鹿児島の菱刈鉱山のみとなってしまいました。鉱山へ至る林道(光竜鉱山線)は、入口のゲートが閉じており、関係者以外立入禁止となっています。ですが、ゲートは旋錠されていませんでした。ごめんなさいと、ちょっと入ってみることにしました。すると、すぐ事務所らしき所があって、道は鎖が渡されて関係者以外立入禁止となっていました。奥にはズリのようなものが見えましたが、これより奥へは入らないことにしました。

ここでは、マニアの方は、濃鉱銀鉱の結晶を狙うようです。注意深く探せば、林道入口のゲート周辺でも、ルーペで見なけりゃわからない、非常に小さな結晶が見つかることがあります。林道の敷石として掘り出された鉱石が使われていますので、林道で探してみることにしました。
僕は小さいのは苦手なので、銀黒を探してみました。光竜の縞状金銀石英脈のサンプルが北大博物館に展示されています。似た感じのものを探してみたところ、縞状石英脈の一部は落ちていました。これの面白さは、同心円状に成長した様子が見て取れるところです。内側から外側に向かって成長し、一番外側は自由に成長できた水晶がびっしりです。茶色の部分に、微量の銀が入っているかもしれません。

☆ 光竜鉱山について ☆

この鉱山の発見は1899年頃と古く、 その後「豊国鉱山」、「千歳鉱山」と名前を変えた後、 1936年に「光竜鉱山」となりました。 生成年代(K-Ar)は120万〜80万年前で、豊羽鉱山同様、若い鉱床です。
また、金鉱石中の流体包有物の調査により、ここの鉱床は、地下860mくらいで約250℃くらいの熱水から沈殿したことがわかっています。それが、現在、地上に出てきているのですから、この辺りが隆起したことが伺えますね。

金は、通常、岩石1トン中に平均して4ppb(0.004グラム)しか含まれていません。鉱山として成り立つためには、日本では20ppm(20g/t)以上必要といわれています。海外では4〜5ppm(4〜5g/t)程度でも成り立つようです。現在、日本で唯一の金鉱山である鹿児島の菱刈鉱山は30〜40ppmと言われています。

参考:5万分の1地質図幅「石山」説明書、北大パラタクソノミスト講座