2014年 士別博物館 講座「地質めぐり」

日時:2014/06/14 10:00〜15:30


去る2014/06/14(土)、士別博物館 講座「地質めぐり」に参加してきました。

士別博物館の地質講座は、2000年に始まり、今年で15回目だという。私は、2010年に初めて参加し、今回で2度目の参加になります。士別博物館の巡検の良い所は「面白くわかりやすく説明してくれるので、興味が沸く」ことだと私は思っています。そのため、巡検後に個人的に再探訪しています。(下記、幌加内オフィオライト探訪履歴参照)

午前午後の2部構成
今回は、午前と午後で別々の産地を探訪しました。午前が化石、午後が岩石でした。

午前の部:化石採集
地質時代的に新しい時代(1200万年前程度)の樹木の葉っぱの化石。現代の樹木の葉と似ていて身近に感じる化石でした。葉っぱの形から当時の気温や降水量を推定できる方程式があるとのこと。単なる葉っぱからそんなことまでわかるのかと面白く聞かせていただきました。降り積もって炭化していて綺麗なものがなかなかなかったのですが、いくつかサンプルを採集しました。

河川をせき止めて出来た湖に降り積もった堆積物ということで、そういえば、支笏火砕流が豊平川をせき止めて作った藤野湖のお話を北大で聞いたのが3週間程前、関連づいて思えました。虫よけを持ってこなかったのが失敗。非常にやぶ蚊が多く、手を中心に17か所刺されてしまいました。蚊取り線香が効くようでした。

午後の部:オフィオライト ミッション
士別市と幌加内町境界の山地帯には幌加内オフィオライトという地質帯があります。ここは、太古の海洋底地殻(オフィオライトと呼ばれる)が地表に露出する非常に珍しい地域(世界的に珍しい)で、比較的珍しい岩石が見られます。希少で綺麗な石をを5種類上げ、それらをミッションとして探してみよう という企画でした。キュームレート、蛇紋岩、かんらん岩、角閃岩、リヒター閃石。加えて緑簾石。2年前来た時とは沢の様子が異なり、新しい石が出ていないかと少し期待しながら川原をゆっくり探しました。すると、なんとリヒター閃石の塊を発見「ついにきたぁ〜!」。(右写真)これは緑色の部分と黒い部分に分かれます。黒い部分は、近くにマグマ由来の熱源があり、その熱によって変質した可能性があるということでした。熱源境界付近のリヒター閃石岩である可能性あり、として保管します。

今回は雨が続いていて、沢が増水して薄く濁っていました。濁りの色と感触が日高の沢と違うと思いました。日高、平取の蛇紋岩の沢は、降水量が多くなると、白く濁ってヌルヌルしてきます。士別は茶色に濁ってヌルヌルしない。日高や平取はカルシウムやマグネシウムが溶け出しているっぽい、士別は鉄分が溶け出しているのかなと俄かに思います。蛇紋岩自体も、日高のは表面が白くなるくらいに二次的な鉱物が付着し、葉片状に割れ、テカテカし、緑色をし、すぐ粘土化してドロドログチャグチャになる。士別の蛇紋岩は固く緻密で真っ黒、ドロドロにならず、表面はかんらん岩に似た錆び色風化層をハッキリ持ちます。面白いです。



所感
1週間程度前から連日の雨。沢へは入れないかもしれないと思っていました。当日もだいたい小雨状態でしたが、思った程に増水しておらず、楽しく採集ができました。長年探していた石を偶然見つけることができ良かったです。化石採集時はやぶ蚊が多く、蚊対策は万全で臨んだ方が良いだろうと思いました。いつもながら、蛇紋岩の沢は蚊が少ないです。スケジュールは時間通りに進み、夕刻には帰宅することができました。士別博物館のスタッフの方々にはお世話になりました。穏やかで楽しい時間をありがとうございました。


幌加内オフィオライト探訪歴


2003.10.07 単独探訪
2008.06.14 山の手博物館 士別地質巡検
2008.07.25 単独探訪
2010.06.26 士別博物館 地質巡検
2011.06.11 単独探訪
2012.10.22 単独探訪
2014.06.14 士別博物館 講座「地質めぐり」

ここを訪れたきっかけは、地質図を眺めていて、ここに蛇紋岩等の超苦鉄質岩石を示す地域が広く分布することに気付いたからでした。子供の頃から始めた石とりは、高校生で一旦終息し、再開したのは2000年です。2002年に自家用車を購入し行動半径が広がり、2003年に本オフィオライトに辿りつきました。当時から深い所の岩石が好きで、綺麗な角閃岩が欲しいと思い、ダムまで来てみたものの、ダム向かえの沢にどう行ったら良いかわからず、沢がダムに注ぐ辺りを目指してダム底に降り(渇水期だったので降りれた)探したのでした、すると、ピカピカ劈開を閃かせる角閃岩がたくさんあり感動した記憶が残っています。ダム底には、沈んだ橋や廃屋が姿を見せていて、産業遺跡の哀愁感がありました。リヒター閃石を産することを知ったのは2008年以前の話。色々ありましたが「継続は力なり」。少しずつ継続し6年以上探し続けてきました。2014年でようやく一区切り付いた気がします。