2015年 日高山脈博物館 日高の翠の石展 探訪

日時:2015/02/14


去る2014/02/14(土)、日高山脈博物館の特別展。「日高の翠の石」へ行ってきました。

個人的に昔から日高ヒスイを追い求めてきました。日高ヒスイ探索歴は15年くらいになります。日高町は日高ヒスイの原産地ゆえ、昔から毎年訪れる所でした。日高山脈博物館(当時は「日高山脈館」)との関係は、当時の学芸員さんに日高町で採集した日高ヒスイの原石らしきものを鑑定してもらったことから始まります。鑑定結果、日高ヒスイの原石だとわかり感動でした。それから今日まで、学芸員さんは変わりましたが、変わらず関係を持たせていただいています。私にとって日高ヒスイは屈指に思い入れのある岩石だと言えます。この度の「日高の翠の石展」は、日高山脈博物館にとって念願のものではなかったかと思います。私としても嬉しく思います。

日高ヒスイとは

日高ヒスイは、日高町の山奥で発見されたヒスイ様岩(ヒスイのような岩石のこと)です。詳しくは論文が出ていますので参照してください。ヒスイ様岩なので、構成鉱物は本ヒスイ系の固溶体(ヒスイ輝石、オンファス輝石の任意割合混合)とは異なります。軟玉とも言われるようですが、日高ヒスイは軟玉とも構成鉱物が異なるので、私は軟玉とは思っていません。日高ヒスイは純粋には「クロム透輝石」と呼ばれる鉱物の非常に微細な結晶が綾織状に絡んでいるヒスイ様岩です。ただし、発見当初の質の高い部位は採掘され失われています。現在見られるものは低品位部位のみです。低品位部位はロジン岩で、だいたい次に上げる鉱物の集合体のようです。「透輝石」「灰クロームざくろ石」「ソーダ珪灰石」「ベスブ石」「緑泥石」「珪灰石」「透閃石」。これらの鉱物の多くはスカルンという地質帯に良く現れる鉱物で「スカルン鉱物」と言われる鉱物たちです。日高ヒスイやロジン岩は、地下深くの高温状態で蛇紋岩とその周囲の岩石にカルシウムが反応した産物と言われています。これら構成鉱物の存在は、その反応が、スカルンを形成する状態に近かったことを物語っているのだと思います。
日高ヒスイの緑色はエメラルドグリーンで、「灰クロームざくろ石」と「透輝石」と「ベスブ石」の緑が混ざったような色です。色的には灰クロームざくろ石の緑が一番強く影響しているように見えます。色々な鉱物が任意の比率で混ざっているので、色々なバリエーションがあります。

アオトラとは

アオトラは日高の銘石として知られています。緑と青の縞々の石で、磨くと綺麗な石です。アオトラは岩石名ではなく銘石の名前であり、アオトラのように見える岩石は、みなアオトラと呼ばれているのではと思います。私のような素人がアオトラに対して言及することは控えたいと思います。ただ、私の経験上、一般的に言われている程珍しい岩石ではないのではと思っています。

寄贈品について

日高山脈博物館には、私を含め2人で共同探索採集したものを寄贈しています。展示していただきありがとうございました。