日高山脈館 岩石地質講座 上級 第2回 / 岩石薄片作成 参加

日時:2011/11/27 10:00〜15:00


去る2011/11/27(日)、日高山脈館の岩石地質講座の岩石薄片作成講座に参加してきました。

岩石薄片とは、岩石のプレパラートのことです。岩石を光を通すくらい薄く(厚さ0.03mm)削り偏光顕微鏡で観察することで、岩石を構成する鉱物の組織や光学的性質を調べることができます。岩石を詳しく調べる際に欠くことのできない手段です。右の写真は私が今回の講座で作成したものです。下手なので左右で厚さが異なってしまいました。

岩石薄片は偏光顕微鏡で観察すると、鉱物固有の微妙な光学的性質の違いにより、元の岩石からは想像が付かないくらいにカラフルで綺麗に見えます。鉱物の難しい性質がわからなくても、見ているだけでも楽しく面白いです。

岩石薄片は一般には馴染みがないものです。小中高ではやらないでしょうし、大学や研究機関で岩石の研究をしない限りは触れることがないのではと思います。それもそのはず、ミジンコやたまねぎの組織を見るとは桁違いに難しくハードルが高いです。高額の専門設備が必要、使用機材が多い、作成工程が複雑、作成に時間を要します。これを個人でやろうとすると、さらにハードルが高くなるので、余程の好き者でない限りは、個人ではやらないだろうなと思えます。

今回の講座は、可能な限り、一般の方々に手が届く範囲の設備やツールを使ってできる方法について丁寧に説明され、初めて作成する方が失敗しないように配慮されていたことに好感が持てました。岩石切断と偏光顕微鏡の課題を解決できれば、岩石薄片はもっと身近になると思えました。参加者は、岩石薄片のとっつき難さが少し緩和されたのではないでしょうか。

今回、私が作成した薄片です。これは花崗岩で産地不明です。講師の方が、参加者各人に対して、が作成した岩石薄片写真を撮影し印刷してくれました。


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岩石薄片は、一般人はもとより、趣味で岩石鉱物を相手にしている者にとっても馴染みが薄いものです。趣味でやっている範囲では肉眼鑑定以上は行わず、岩石薄片まで踏み込んで調べないと思います。しかし、岩石や鉱物を知るためにはむしろ、面倒でも、岩石薄片を作成して確認した方が良いと思えます。それは、自分で同定しなければ、わからないまま ではないかと思うからです。フィールドでの産状、見た目の特徴、顕微鏡で見た時の特徴(構成鉱物、鉱物組織等)、それらの特徴から判明する岩石名を、曖昧を無くし対応付けて確認しないと、曖昧のままでわからないと思えます。

趣味で石を集めようと思ったとしましょう。色々な所に出かけて採集してきます。石を見て、たぶんこれは○○だ、と判断して記録していきます。見た目の特徴、地質や記載論文等からの知識等、採集した岩石が確信的に高い確率で同定できれば良いのですが、実際には、岩石鉱物は単純ではなく、肉眼で見える範囲の判断には限界があり、曖昧のままになってしまうことも多いのです。趣味では大枠では判断できれば良いという割り切りもあります。個人のスタンスになりましょうか。

専門家の方々に肉眼鑑定していただく場合、見ていただいた方の知識と経験から確信できる場合は良いのですが、曖昧な場合は、自分で調べて根拠を持って判断した方が良いかもしれません。