月刊誌「郷土誌あさひかわ」に2007年6月から掲載しています。思いがままのテーマで書き綴っていますので気楽にお読みいただければ幸いです。
 現在、渡邊三子主宰が病気療養中ですが、10年4月号が発行されました。

   早春の恵み
  (2010年4月号)

 日に日に雪融けが進む早春は、一気に花咲き乱れる北国の春の序章だ。
 堅雪を渡り、営林署から払い下げられた燃料用の薪を山から運び出す作業も、この時期に行ったものだ。その作業の合間に一升瓶にイタヤカエデの雫を採るのである。それをコトコトと丸一日煮詰めてメープルシロップを作っていた。一升で五十t位しか作れないのだが、それを給食のパンにつけて食べたものである。砂糖の甘さとは違うさわやかな甘味だったと思う。
 十年ほど前、美深町ニウプに宿泊した時に初めて白樺の樹液を飲む機会があった。樹液は、採れたてをろ過、殺菌し、ビン
に詰め、煮詰めたりはしない。サラサラしていて味はほんのりとした甘みと独特の風味があった。これも早春の一か月ほどしか採取できないそうだ。直径二十pほどの白樺から一晩で一升以上採れるのだという。今は、美深町の道の駅などで「森の雫」と命名し販売しているので是非味わってみてはいかがだろう。
 その昔、この早春の季節に雪の下から掘り出すのがジャガイモだった。収穫したジャガイモの一部を土をかけて埋けるのだが、春先の食糧を確保する手段だったのである。近年、和寒町が越冬キャベツを大量に出荷しているが、甘味が増して美味しくなるという。ジャガイモも越冬することでデンブン質が糖分に変わり、より甘味が増して美味しくなるのだ。今日では冷蔵庫に保管して置くという方法もある。
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白 鳥 秀 樹
旭川市議会議員
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