「郷土誌あさひかわ」に2007年6月から掲載しています。思いがままのテーマで書き綴っていますので気楽にお読みいただければ幸いです。
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正月の食べ物 (2011年1月号) 子どもの頃、正月の美味しい食べ物といえば餅とミカンだった。 餅は、年の暮れに兄達が、物置から臼と杵を持ち出し、一日がかりでつくのだ。どんどん、「のし餅」にしたり、「あんこ餅」を丸めたり、「ヨモギ餅」にしたり二斗ほどついていた。家中大忙しである。 のし餅は一晩置いて「切り餅」にする。この切り餅は、雑煮にしたり、焼いて砂糖醤油をつけて食べたり、おしるこに入ることもある。また、子どもには遊び半分の食べ方もあった。鉄板製の薪ストーブの胴体に、切り餅をこすると、薄くて細長いチリチリ餅が出来るのである。カンナ屑のようで食べ |
るとパリパリという音がするのだ。 正月には百人一首や花札などの遊びを親戚が集まって夜通し行っていた。そして、その側には木箱に入ったミカンが有った。ミカンは贈答用の五s入りから二十sの木箱があったと思う。朝まで遊んでいる間に、二十sのミカンが全て皮だけの山になっていたのを覚えている。 冬の楽しみにアイスキャンデー作りがあった。近くの牧場から牛乳を購入していたので、その牛乳に砂糖を溶かし、サッカリンの空き瓶に流し込み、箸を一本入れる。少し大きめのボールに雪を入れ、それに塩を混ぜ、そこにサッカリンの瓶を差し込み、三十分ほど置くと、瓶の中の牛乳が氷になるのだ。瓶から抜き出すと立派なアイスキャンデーの出来上がりである。 |