月刊誌「郷土誌あさひかわ」に2007年6月から掲載しています。思いがままのテーマで書き綴っていますので気楽にお読みいただければ幸いです。
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幌加内そばまつり9/5〜7 |
樺太犬(2008年6−8月号) 五年生の時だったと思う。両親が住宅を改造して雑貨屋の商売を始めた。農業は続けていたので半農半商である。もともと樺太では村に一軒しかない雑貨店で、十数年間、結構繁盛していたそうだ。敗戦後リュックサック一つで北海道に引き揚げてきたが、昔の夢をもう一度である。小さな店ではあったが、地域の人に利用され、まあまあ商売になっていたと思う。 私は店番をしたり、時には注文の品の配達。そして配達に合わせて、納豆、油揚げ、こんにゃくなどを自転車の荷台に積んで、近くを売って歩いたものだ。最初はなかなか売れなくて落ち込んだが、定期的に |
歩いているとだんだんと買ってくれるようになり、売れ出すと子どもながらも「商売はおもしろいな」と思ったりした。また、たいした額ではないが小遣いが貰え、欲しかった少年雑誌が買えるという楽しみもあったからだろう。 冬はソリに積んで歩いた。ある時、父が子どもの身体よりも大きな『樺太犬』をどこからか貰ってきた。ソリを牽かせたら、子どもを三人乗せてドンドン走るのである。荷物を積んで配達や行商にも使用した。 自分の子分ができたようで、楽しくて一生懸命面倒をみていたが、まもなくして、「くつわ」はしていたので噛むということはなかったが、大きな身体で子どもに飛びつき、軽い怪我をさせてしまったのだ。その後、泣く泣くどこかに貰われていった。 |