月刊誌「郷土誌あさひかわ」に2007年6月から掲載しています。思いがままのテーマで書き綴っていますので気楽にお読みいただければ幸いです。


大雪連峰 春です

 馬伝染性貧血(2008年4・5月合併号)

 昭和三十年代ごろまでは、どこの農家にも農耕馬がいた。春には田や畑の耕しの主力を担い、また、ジャガイモ畑での培土作業でも力を発揮し、荷車での物の運搬にも欠かせない労働力になっていた。
 私の家にも馬小屋があって、常時一頭の馬が飼育されていた。ときには黒毛馬であったり、鹿毛馬であったり、また、じゃじゃ馬が居たこともあったが、一番上の兄が、それらの馬を使いこなしていたのである。 
 冬は「バチバチ」と呼ばれる馬そりで、造材山に入って丸太の運び出しを行う仕事もしていた。今でも思い出すのは、学校帰りの道が馬そり道になっていて、ツルツルに凍った二本の浅い溝を長靴で滑って遊んだものである。また、この馬そり道は、
 
雪が積もり、シバレル季節に、もともと道の無いところにも造られるのだが、壮観だったのは「朱鞠内湖」の雪と氷に覆われた湖面に延々と道が造られ、バチバチが列をなして丸太が運ばれる光景だ。
 家畜伝染病に、致死的伝染病である馬伝染性貧血という病気があり、馬伝染性貧血ウイルスによって伝搬する。ある時、我が家で飼育している馬がこのウイルスによって感染し、家畜保健衛生所から処分命令が下り、処分業者に頼み、引き取りに来てもらったことがあった。その時、飼い慣れた馬が、殺されることが本能的に解るのだと思うが、涙を流して、なかなか車に乗らないのだ。何とも辛い別れである。 
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白 鳥 秀 樹
旭川市議会議員
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