月刊誌「郷土誌あさひかわ」に2007年6月から掲載しています。思いがままのテーマで書き綴っていますので気楽にお読みいただければ幸いです。 |
庭のクロッカスが顔をだしました |
うさぎの罠(2008年3月号) 三月になると徐々にこの間降った雪が堅くなってくる。そんな時期になると友達数人で山にでかけて行って、うさぎ取りの罠を仕掛けたものだ。1メートル四方ぐらいの空間を取って小枝を雪に挿し、きっちりと並べ、入口にはうさぎの首が入るくらいの針金の輪を配置し、餌であるキャベツの葉、数枚を罠の中央に置いておくのだ。仕掛けた次の日ぐらいに見に行くと何箇所か作った罠に一羽ぐらいはかかっているのである。 当時はうさぎの耳を営林署に持っていくと、いくらかお金をくれたので、子ども達の小遣い稼ぎと山遊びとを兼ねていたのだと思う。 |
ある日のこと、いつものように数人で山に行ったところ、木に紐をくくって首をつって死んでいる人を発見し、一目散で山を駆け下りてきたことがあった。その後、警察と消防団の人が遺体を山から運んできたが、その人は地元の人ではなかったという。 十年ほど前まで本市には葬儀事業所があった。そして、その職場に長期間勤めた職員さんがいたが、その人の仕事ぶりは今でも頭が下がる思いでいっぱいだ。自殺などで死亡して数ヶ月経っている死体の処理を一手に引き受け、かなり腐乱している遺体に抱擦りしながら、「かわいそうに、つらかっただろう」と声をかけながら、実にきれいに包帯を巻き棺に納めていた。沢山の死体を扱ったが、死と向き合う心が自然とそうさせていたのだと思う。 |