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PLEXTOR Premium (PX-W5232TU) 音楽CD品質検証  

 ソニーミュージックのインチキCD
音楽CDの品質と音質
  (SHM-CD/Blu-Spec CD&CD2)

昨年の暮れに”Blu-Spec CD2”が発売されたので、聴き比べ用CD付きの物を入手して検証したところ、音質に関しては今回も”従来CD”に軍配が上がった。
拍子抜けの検証結果と、これまでの高音質CD(SHM-CDとBlu-Spec CD)を含めて、高音質CDの正体を検証、考察する。

(2013/05 NO.59改版掲載)
(2016/01 NO.75更新)

1.サンプル・使用機器等
■サンプル
検証サンプルは下記の二枚。(二枚ともSony Music Japan International Inc.発売)
・「Feel the Difference」 SICC 30113-4
・「ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」他」 SICC 30007
像:Feel the Difference(SICC-30113-4)

[画像]
 「Feel the Difference」
Blu-Spec CD2と従来CDの二枚組。

選曲はベストクラシック100編。
モノラル音源はモノラルで収録。
Blu-Spec CD2と従来CDの中身は同じ内容。


画像:ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」他(SICC-30007)

[画像]
 「ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 他」

ベストクラシック100の製品。
ドヴォルザークは同収録の序曲を含めてモノラル音源を疑似ステレオ化した物。
このため、音場は中央が抜けてステレオとしては違和感がある。
スメタナはステレオ音源。
 ※CDに疑似ステレオについての記載や説明は無い。


■音質比較用機器    
・CDプレーヤー:KENWOOD DPF-7002
・イン・ザ・イヤースピーカー・システム:STAX SR-001
・シリーズレギュレーター方式直流安定化電源:TEXIO PR18-3A
  ※SR-001とポータブルCDプレーヤーの電源。
・ポータブルCDプレーヤー:SONY D-E01
・ヘッドホン:audio-technica ATH-AD1000
2.製造品質「Q-Check C1/C2 Test」と音質
■製造品質
次の二つはBSCD2(Blu-Spec CD2)の「Q-Check C1/C2 Test」データ。
ヴォルザークの一枚は製造品質チェック用。
「Feel the Difference」 「DVORAK Symphony No9」
Feel the Difference BSCD2 QCheck data DVORAK Symphony No9 BSCD2 QCheck data

”さらに原音に忠実な高品質CD”になったとのふれ込みだったが、製造品質的には後退しており、正に拍子抜けの結果。
データを見ると製造品質面で前のBlu-Spec CDのようにエラーレート0(ゼロ)を目指すのでは無く、エラーレートを2以下、悪くても3以下に抑える形に方針変更したものと受け取れる。
この程度のエラーレートでは従来CDと変わらない。
データから云えばCD本来の音が出ない品質レベルなので、これで満足するなら高品質CDの看板はさっさと降ろした方が良い。
高品質CDを謳うにはエラーレートをゼロにする必要がある。

「Feel the Difference」の従来CD
Feel the Difference 従来CD QCheck data

従来CD(同梱の聴き比べ用)の
「Q-Check C1/C2 Test」データ

予想通りと云うか、従来CDではよくある製造品質の物で音質は悪い。
本来ならBSCD2と同品質レベルで音の比較をしないと意味は無いのだが、メーカーにとって都合が悪いらしく最初からハンデが従来CDにはある。
エラーレートが高いと音がぼやけてしまうが、データは音の悪さが製造品質に有ることを示している。

内容はBSCD2と同じで、レジューム機能があるCDプレーヤーでは途中でディスクを入れ替えても同じ部分から再生を始める。
■音質
BSCD2と従来CDの音質比較は冒頭にも書いたが従来CDの圧勝。
ポイントを押さえれば少し曲を聴いただけで直ぐに分かる。
音を聴いた限りではレコード会社がBSCD2は高音質と云っている事の方が理解不能。
何かすごい技術と製造設備で作っているから高音質と云っているだけに思えてくる。

「BSCD2の音の特徴」
・常に音が(音像が)ぼやけていて楽器の所在が曖昧。
・音に伸びがなく力強さが感じられない。
・音の響きが足らない。
・音のぼやけ具合はエラーレートの高低と相関なし。

「従来CDの音の特徴」
・音像がシャープで楽器の所在が分かる。
・音が伸びやかで力強い。
・音の響きが豊か。
・エラーレートが高い部分では音がぼやける。
  (※エラーレートの高低と相関あり)

ある理由があって、これ以上の音質説明は無駄なので今回はしない。
レコード会社は従来のCDプレーヤーで再生できると云っているが、音は出ても音楽は十分に再現されず互換性に乏しい。
BSCD2のぼやけた音を聴いてもちっとも楽しくないし不快ですらある。
レコード会社がBSCD2の音がマスター音源に近いと主張するなら、従来CDの音は何だったのかを含めてちゃんと説明すべきと考える。

以上でBSCD2の評価は終わり。
今回はこれ以降の項目が検証の本番。

「余談」 音質比較用機器の中に「シリーズレギュレーター方式直流安定化電源」がある訳が分からない方も居るかも知れない。
この直流安定化電源はオーディオ機器の電源電圧を最も音の良い値に設定するための物で、言わば音質のチューニングを行うため。
このチューニングによって普通の使い方では出すことか出来ない音、すなわち、そのオーディオ機器が持つ最高の音を引き出して聴けるようになる。
これにより、音質の違いがより明確に且つ容易に判別できるようになる。
ヘッドホンはモニタータイプ(※)を使った方が音質の違いが分かり易い。
  (※2018/11 説明変更)

3.高音質CDが音で負ける理由 (策に溺れたのは・・・。)

高音質CDの謳い文句で出た”SHM-CD”と”Blu-Spec CD&CD2”が、従来CDに音で負けるのは当然ながら理由がある。
今回の検証で前は分からなかった理由(原因)がハッキリした。
これは、製造した時点で既に確定した事でありCDプレーヤーを買い換えても結果は変わらないと思われる。
このような物にしたのはレコード会社で既存のCDプレーヤーとは関係がない。
以前から、これらのCDには次の様な音の謎があり、これが音で負けるヒントでもある。

(その1)
高音質CDは同一音源と云いながら従来CDとは再生音が異なる。
リミックスをした訳でも無いのに再生音が高音寄りに少しシフトしている。
このため、低音の出方が弱い。
 
(その2)
音がぼやけて音像が不明瞭になる。
通常はエラーレートが高い場合に起こりやすいが、高音質CDでは低エラーレート部分でも起こる。
■負ける理由
検証の結果から高音質CD(”SHM-CD”と”Blu-Spec CD&CD2”)が従来CDに音で負けるのは、少しだけ高い方に「音程が狂っている」と云う点にある。

少し音程が高いというだけでなく、例えばテープレコーダのピッチコントロールでテープの再生速度を上げた時のように音質の悪化(音がぼやける症状)を伴う。
これは、どの高音質CDも同じで、CD製造時に物理的に記録された(※作られた)物なので、レコード会社がやり方を改めない限り従来CDに音質で負ける事になる。

最初からまともな音で再生できないのだから、その時点で音楽CDとは呼べず、正に禁じ手と云えるような小細工をするレコード会社は消費者を小馬鹿にしている。
又、音程を狂わせた事で、せっかくの製造品質向上の努力が水の泡となったも同然で、音質に好影響をもたらす事も無くなり、 ”さらに原音に忠実な高品質CD” は、ただのまやかしになった。
現時点では製造技術やその設備も宣伝の謳い文句にしかなっていないと思われる。

マスター音源の音程が自然に狂うことは無いと思うので思いつく理由はひとつ。    1)レコード会社がCD製造用マスター作成時に故意に音程(ピッチ)を少し高い方に変えた。
動機としては、以下の可能性が高いと思われる。 1)高音質を演出するため。(従来CDとは音が違うというアピールのため)
2)高音の出力レベルを上げて音が良いと勘違いさせるため。
3)リミックスと違い、それ程費用や時間が掛からずに大量の高音質CD版の発売が短期間で可能になる。

列記すると、消費者にはCDの音がぼやけていても、その原因は分からずクレームは来ないと云うレコード会社のせこさと傲慢さが透けて見える。

■名ばかりの高音質
音程が狂った高音質CDの音が悪いのは、従来CDに合わせて作られたCDプレーヤーの音程の基準と合わず、音楽CDとして逸脱しているためと思われる。
これにより、今の高音質CDは従来CDとは音質的に全く互換性が無い。
既存CDプレーヤーを土俵にすれば、小細工をした高音質CDは音楽の再現性という点で従来CDに太刀打ち出来ない。

では、仮に音程を合わせたらどうなるか。
再生側の音程が一致すれば音がぼやける症状はなくなる。
しかし、これも次のような音質の劣化という落とし穴があり、不都合が依然として残る。
1)音程をいじった音は大元のマスター音源の音では無い。
2)再生音が不自然な音のバランスになる。
3)音程が狂った副作用で倍音成分等が少なからず抜け落ちるので、音の伸びや力強さに欠け、音の響きが不足して音楽の再現性に劣る。

これらはCDに記録された物なので解消はされない。
結果、消費者にとっては音程を合わせても何もメリットは無く大元のマスター音源とは似ても似つかぬ音楽を聴かされだけである。
   (注)大元のマスター音源:CD製造用マスター(音源)の基になった音源

結局は、レコード会社が金儲けのために仕掛けた簡単な”音のトリック”と”高音質CDの謳い文句”とに、消費者が騙されているという残念な構図(現実)が見えてくる。
この音のトリックは作る側では簡単だが消費者側で見破るのはそれなりの知識が入り簡単ではない。
以上の様に今の高音質CDは、名ばかりの偽物CDと云わざるを得ず、この様な商品は即刻全数回収するのが筋と考える。

4.データが教える音の秘密(高音質CDの正体)

一般的なCDプレーヤーでも高音質CDの音程の狂いが分かる方法がある。
今回の検証では、検証過程で分かった方法で得たデータを元に考察している。
これを可能にしたのは、本サイトに掲載している次のページの存在がある。
1)「PLEXTOR Premium 音楽CD品質検証」
2)「音が良くなる!!直流安定化電源の使い方」

今回注目したのは従来CDとBSCD2の音のぼやけの原因。
検証の結果、両者ではその原因が異なることが分かったが、それが音程の違いと云う答えを導き出した。

(検証その1)
「エラーレートの高低と再生音の相関調査」
データと判定 「PLEXTOR Premium 音楽CD品質検証」ページ
目的 音のぼやけがエラーレートの高低で起きているか確認する。
方法 「Q-Check C1/C2 Test」データを元に音を聴き比べる。
結果 従来CD エラーレートの高低と相関有り。
BSCD2 エラーレートの高低と相関無し。(常に音がぼやけている)

「考察」
BSCD2のエラーレートは比較的低いにもかからわず割と大きな音のぼやけが出る。
これは、BSCD2の音のぼやけ具合がエラーレートの高低とは関係ない事を示す。
又、常に音がぼやけているため、この点からも原因は他にあると考えられる。

(検証その2)
「音の良い電圧値の測定と比較」
データと判定 「音が良くなる!!直流安定化電源の使い方」ページ
目的 再生条件で音質の違いが出ないか確認する。
方法 ”音の良い電圧”を、音を聴いて調べる(確認する)。
 ※”音の良い電圧”は、外部から見た音楽CDと使用機器の音程の基準が一致する電圧。

確認にはポータブルCDプレーヤーを使うのが手軽な方法。
準備する機器は以下の通り。

  • 1)シリーズレギュレーター方式直流安定化電源(TEXIO PR18-3A等)
  • 2)1mVが測定できる測定器(※テスターで可)
  • 3)フラットなf特を持つHiFiオーディオ用ヘッドホン
  • 4)DCコード(※直流安定化電源と機器のACアダプタ端子を繋ぐコード)
※直流安定化電源は1mV単位の調整が可能な物。
 (ポータブルCDプレーヤーの電源用)
[結果]
SONY D-E01で確認した値を下表に示す。
ポータブルCDプレーヤー(型式) 検証ディスク 音の良い電圧値(V)
 D-E01 従来CD 4.555~4.556
BSCD2 4.562~4.563
※BSCD2:Blu-Spec CD2
※テスターで測定した値は目安です。
※音の良い電圧はサンプルのCDで音が最も良いと判断した値であり、 比較対象のCDと音質が同じ事を意味しない。
この検証での判断基準は、”音がぼやけない”点を第一とした。

「結果が示す事」
・従来CDとBSCD2には音の良い電圧値に約7mVの開きがあり、BSCD2の方が高めになっている。 ・音の良い電圧が従来CDより高めな事は、BSCD2の音程が少し高めに狂っている事を示す。(※再生音が高域に少しシフトしている事でも分かる) ・従来CDでは1mVのずれで再生音質が悪化し2mVずれると音質の悪化が直ぐに分かるほど音が変わる。 BSCD2の約7mVのずれは、BSCD2が音楽CDの範疇から逸脱している事を示している。
 

「考察」
BSCD2の音の良い電圧値は従来CDから見れば約7mV高い所にある。
このため、既存のCDプレーヤーでBSCD2を再生すると、BSCD2の音の良い電圧値から約7mV低い方にずれた電圧で再生される羽目になり、CDプレーヤーとBSCD2の音程が合わない事から音のぼやけが発生する。
これが再生音が常にぼやける原因であり、このためエラーレートの高低とは相関が無い。
そして、適正電圧で再生される従来CDに音で負ける大きな理由のひとつである。
BSCD2の音の良い電圧値は従来CDとの互換性が無いことを示す。
検証データは今のBSCD2が従来CDに音で負ける理由とその正体を明らかにしている。

「結論」
音のぼやけの主原因は、 ・従来CDの場合:製造品質が悪い事によるエラーレート増大の影響。
・BSCD2の場合:音程を狂わした事による影響。

二つの検証結果から分かるのは、BSCD2の音はCD製造用マスター作成時点で決まった事で、従来CDとは違いスタンパーやプレス行程の良し悪しとは直接関係が無いことを示している。
従来CDではスタンパーやプレス行程を適切に管理すれば製造品質と音質の向上が見込めるが、製造原盤に問題(欠陥)がある今の高音質CDでは残念ながら無駄な努力の部類になってしまう。
BSCD2の製造品質が後退したのもこの辺と関係があると思われる。

検証データは、今のBSCD2の正体が音楽CDから逸脱した異質の物である事を示すと共に、BSCD2を含めた高音質CDが、CDプレーヤー側からすれば一種の規格外れのため、 絶対に従来CDに音で勝てない偽の高音質CDと云う事を教えてくれる。

以下は、直流安定化電源使用の注意書きです。

■■注意■■

  • 掲載している内容を試す場合は自己責任で行ってください。
    良い結果が得られない場合や万一故障や事故が起こっても一切責任は負いません。
  • 電圧設定や電源極性(プラスとマイナス)を間違えるとポータブル機器が故障する危険があります。使用する際には十分注意して下さい。
  • 直流安定化電源は産業用製品で、製品知識が有ることを前提に作られています。
    安全には作られていますが、家庭用レベルの安全対策は施されていないのでケガや感電等をしないよう、取り扱う際には安全に十分注意を払う必要があります。
    又、子供には絶対に触らせてはいけません。
  • 以下に該当する場合は手を出さない方が無難です。
    1)音の微妙な違いが聴き分けられない。
    2)ツマミの細かな調整が苦手。
更新履歴
  • 2016年1月18日
  •  ・ページの体裁を変更。
  •  ・画像追加と掲載後に判明した事を元に説明内容の見直しと修正を行う。
  •  ・SONY D-NE241の一部に音質に問題がある物があり検証機器から除外。
  •  ・初版は品質部分の判断基準が現在より緩く誤解を避けるため内容削除。
  •  
  • 2018年1月28日
  •  ・初版を再度統合。(但し、内容が多いためページは別)
  •  ・掲載画像を縮小。
  •  
  • 2023年10月29日
  •  ・フォント指定に"sans-serif"追加により表示の整合を図り文章を見直す。

[ by star-route13 ](2018/11 HTML-refine)

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