昨年の暮れに”Blu-Spec CD2”が発売されたので、聴き比べ用CD付きの物を入手して検証したところ、音質に関しては今回も”従来CD”に軍配が上がった。
拍子抜けの検証結果と、これまでの高音質CD(SHM-CDとBlu-Spec CD)を含めて、高音質CDの正体を検証、考察する。
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「Feel the Difference」
Blu-Spec CD2と従来CDの二枚組。
選曲はベストクラシック100編。
モノラル音源はモノラルで収録。
Blu-Spec CD2と従来CDの中身は同じ内容。
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「ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 他」
ベストクラシック100の製品。
ドヴォルザークは同収録の序曲を含めてモノラル音源を疑似ステレオ化した物。
このため、音場は中央が抜けてステレオとしては違和感がある。
スメタナはステレオ音源。
※CDに疑似ステレオについての記載や説明は無い。
「Feel the Difference」 | 「DVORAK Symphony No9」 |
”さらに原音に忠実な高品質CD”になったとのふれ込みだったが、製造品質的には後退しており、正に拍子抜けの結果。
データを見ると製造品質面で前のBlu-Spec CDのようにエラーレート0(ゼロ)を目指すのでは無く、エラーレートを2以下、悪くても3以下に抑える形に方針変更したものと受け取れる。
この程度のエラーレートでは従来CDと変わらない。
データから云えばCD本来の音が出ない品質レベルなので、これで満足するなら高品質CDの看板はさっさと降ろした方が良い。
高品質CDを謳うにはエラーレートをゼロにする必要がある。
従来CD(同梱の聴き比べ用)の
「Q-Check C1/C2 Test」データ
予想通りと云うか、従来CDではよくある製造品質の物で音質は悪い。
本来ならBSCD2と同品質レベルで音の比較をしないと意味は無いのだが、メーカーにとって都合が悪いらしく最初からハンデが従来CDにはある。
エラーレートが高いと音がぼやけてしまうが、データは音の悪さが製造品質に有ることを示している。
「BSCD2の音の特徴」
・常に音が(音像が)ぼやけていて楽器の所在が曖昧。
・音に伸びがなく力強さが感じられない。
・音の響きが足らない。
・音のぼやけ具合はエラーレートの高低と相関なし。
「従来CDの音の特徴」
・音像がシャープで楽器の所在が分かる。
・音が伸びやかで力強い。
・音の響きが豊か。
・エラーレートが高い部分では音がぼやける。
(※エラーレートの高低と相関あり)
ある理由があって、これ以上の音質説明は無駄なので今回はしない。
レコード会社は従来のCDプレーヤーで再生できると云っているが、音は出ても音楽は十分に再現されず互換性に乏しい。
BSCD2のぼやけた音を聴いてもちっとも楽しくないし不快ですらある。
レコード会社がBSCD2の音がマスター音源に近いと主張するなら、従来CDの音は何だったのかを含めてちゃんと説明すべきと考える。
以上でBSCD2の評価は終わり。
今回はこれ以降の項目が検証の本番。
高音質CDの謳い文句で出た”SHM-CD”と”Blu-Spec CD&CD2”が、従来CDに音で負けるのは当然ながら理由がある。
今回の検証で前は分からなかった理由(原因)がハッキリした。
これは、製造した時点で既に確定した事でありCDプレーヤーを買い換えても結果は変わらないと思われる。
このような物にしたのはレコード会社で既存のCDプレーヤーとは関係がない。
以前から、これらのCDには次の様な音の謎があり、これが音で負けるヒントでもある。
少し音程が高いというだけでなく、例えばテープレコーダのピッチコントロールでテープの再生速度を上げた時のように音質の悪化(音がぼやける症状)を伴う。
これは、どの高音質CDも同じで、CD製造時に物理的に記録された(※作られた)物なので、レコード会社がやり方を改めない限り従来CDに音質で負ける事になる。
最初からまともな音で再生できないのだから、その時点で音楽CDとは呼べず、正に禁じ手と云えるような小細工をするレコード会社は消費者を小馬鹿にしている。
又、音程を狂わせた事で、せっかくの製造品質向上の努力が水の泡となったも同然で、音質に好影響をもたらす事も無くなり、 ”さらに原音に忠実な高品質CD” は、ただのまやかしになった。
現時点では製造技術やその設備も宣伝の謳い文句にしかなっていないと思われる。
列記すると、消費者にはCDの音がぼやけていても、その原因は分からずクレームは来ないと云うレコード会社のせこさと傲慢さが透けて見える。
これらはCDに記録された物なので解消はされない。
結果、消費者にとっては音程を合わせても何もメリットは無く大元のマスター音源とは似ても似つかぬ音楽を聴かされだけである。
(注)大元のマスター音源:CD製造用マスター(音源)の基になった音源
結局は、レコード会社が金儲けのために仕掛けた簡単な”音のトリック”と”高音質CDの謳い文句”とに、消費者が騙されているという残念な構図(現実)が見えてくる。
この音のトリックは作る側では簡単だが消費者側で見破るのはそれなりの知識が入り簡単ではない。
以上の様に今の高音質CDは、名ばかりの偽物CDと云わざるを得ず、この様な商品は即刻全数回収するのが筋と考える。
一般的なCDプレーヤーでも高音質CDの音程の狂いが分かる方法がある。
今回の検証では、検証過程で分かった方法で得たデータを元に考察している。
これを可能にしたのは、本サイトに掲載している次のページの存在がある。
1)「PLEXTOR Premium 音楽CD品質検証」
2)「音が良くなる!!直流安定化電源の使い方」
今回注目したのは従来CDとBSCD2の音のぼやけの原因。
検証の結果、両者ではその原因が異なることが分かったが、それが音程の違いと云う答えを導き出した。
データと判定 | 「PLEXTOR Premium 音楽CD品質検証」ページ | |
目的 | 音のぼやけがエラーレートの高低で起きているか確認する。 | |
方法 | 「Q-Check C1/C2 Test」データを元に音を聴き比べる。 | |
結果 | 従来CD | エラーレートの高低と相関有り。 |
BSCD2 | エラーレートの高低と相関無し。(常に音がぼやけている) |
「考察」
BSCD2のエラーレートは比較的低いにもかからわず割と大きな音のぼやけが出る。
これは、BSCD2の音のぼやけ具合がエラーレートの高低とは関係ない事を示す。
又、常に音がぼやけているため、この点からも原因は他にあると考えられる。
データと判定 | 「音が良くなる!!直流安定化電源の使い方」ページ | |
目的 | 再生条件で音質の違いが出ないか確認する。 | |
方法 | ”音の良い電圧”を、音を聴いて調べる(確認する)。 |
確認にはポータブルCDプレーヤーを使うのが手軽な方法。
準備する機器は以下の通り。
ポータブルCDプレーヤー(型式) | 検証ディスク | 音の良い電圧値(V) |
D-E01 | 従来CD | 4.555~4.556 |
BSCD2 | 4.562~4.563 |
「考察」
BSCD2の音の良い電圧値は従来CDから見れば約7mV高い所にある。
このため、既存のCDプレーヤーでBSCD2を再生すると、BSCD2の音の良い電圧値から約7mV低い方にずれた電圧で再生される羽目になり、CDプレーヤーとBSCD2の音程が合わない事から音のぼやけが発生する。
これが再生音が常にぼやける原因であり、このためエラーレートの高低とは相関が無い。
そして、適正電圧で再生される従来CDに音で負ける大きな理由のひとつである。
BSCD2の音の良い電圧値は従来CDとの互換性が無いことを示す。
検証データは今のBSCD2が従来CDに音で負ける理由とその正体を明らかにしている。
「結論」
音のぼやけの主原因は、
・従来CDの場合:製造品質が悪い事によるエラーレート増大の影響。
・BSCD2の場合:音程を狂わした事による影響。
二つの検証結果から分かるのは、BSCD2の音はCD製造用マスター作成時点で決まった事で、従来CDとは違いスタンパーやプレス行程の良し悪しとは直接関係が無いことを示している。
従来CDではスタンパーやプレス行程を適切に管理すれば製造品質と音質の向上が見込めるが、製造原盤に問題(欠陥)がある今の高音質CDでは残念ながら無駄な努力の部類になってしまう。
BSCD2の製造品質が後退したのもこの辺と関係があると思われる。
検証データは、今のBSCD2の正体が音楽CDから逸脱した異質の物である事を示すと共に、BSCD2を含めた高音質CDが、CDプレーヤー側からすれば一種の規格外れのため、 絶対に従来CDに音で勝てない偽の高音質CDと云う事を教えてくれる。
以下は、直流安定化電源使用の注意書きです。
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