発売当時はアナログのLPレコードより音が良いとして喧伝された音楽CDは、30年以上経過した今では音の悪さが知れ渡ったらしく、販売数の下落に焦ったレコード会社は高音質CDなる小手先の紛い物まで出す始末。
音が悪いのはレコード会社が音楽CD発売当初から製造不良品を素知らぬ顔で売ってきたためで、ごく当たり前な結果と云える。
これは、音楽CDの本質と云うべき根本的な問題のため、たぶん永久に解決されない。
再生側のCDプレーヤーに組み込まれたエラー訂正処理は、CDの製造不良を誤魔化す事に主眼があり、音のぼやけを助長するだけで音質的には何も解決していない。
この ”製造不良”と ”エラー訂正処理”の二つの問題の必然から音楽CDは音がぼやけてしまいオーディオ的には買うに値しない代物になった。
今の音楽CDは、メーカーが大嘘で作り上げたデジタルの虚構の上に成り立ってきただけで、音が悪いと感じる方が正しいことをエラーレート測定データが端的に示している。
CD製造に使われるスタンパーが製造不良の根本原因なのは明らかで、スタンパーを使用しない製造方法に改めない限り音楽CD本来の音が甦る事は無い。
残念ながら音楽CDを買う行為はお金をドブに捨てているのに等しいと云える。
音楽CD発売当時、ソニーは音楽再生にはこれで十分と明言している。
実際に当時の音楽制作現場に於けるデジタル・レコーディングの仕様(注1)は下記の通りで、音楽CDより周波数帯域が計算上少し広いだけである。
・標本化周波数:48KHz
・量子化ビット数:16bit
では、なぜ音楽CDの音が悪く聴こえるかは規格とは別の所にある。
(※)以降、音楽CDをCDと略して書く。
音が悪いと感じるのはそれなりの理由(原因)が有るはずだが、CDプレーヤーからの音を聴いているだけではハッキリしない。
CDの音の悪さとして感じ取れるのは、主に以下がある。
1)音像のぼやけ(音のぼやけ)
2)音のこもり
3)平面的な音場
CDの音が悪い理由を突き止めるには定量的な測定データが必要で、その鍵は ”エラーレート”と云う一般には余り馴染みのない測定データに有る。
馴染みがないのも当然で、CDのエラーレートを簡単に測定できる手段を消費者側が手に入れられたのはCD発売から20年位経った2000年代に入ってからで、CDリッピングができるパソコン用CD-RWドライブが普及した頃になる。
”エラーレート”が測定できる代表的な物に プレクスターの「PLEXWRITER Premium」シリーズのCD-RWドライブやDVDドライブに添付されていた「PlexTools Professional」と云うソフトが有る。
この中にCDの ”C1/C2エラーレート”を測定する機能があった。
ただ、残念なことに、当時このソフトの本当の機能に気付いた人は殆どいなかったようで、Web検索してもCDのエラーレートを取り上げた物は無かった。
(注1)
当時のデジタルレコーディングを謳ったLPレコードのジャケットに記載された物。
数値で見ればLPレコードの方がCDより元の周波数帯域が広いことになる。
CDのエラーレートを測定する機能は 「Q-Check C1/C2 Test」の項目。
プレクスターの説明では縦軸がC1/C2エラー訂正数で、ドライブがエラー訂正したカウント数を横軸の経過時間でグラフ化した物になる。
ここで、C1/C2エラー訂正数を ”C1/C2エラー発生数”に読み替えると、このグラフがそのままCDの製造品質を現すエラーレートの測定データになる。
(Fig.1)は、音の悪いCDのエラーレート測定データの例。
市販CDではごく普通に売られている物になる。
デジタル信号の欠落が無ければエラーレートはゼロのまま推移するが、グラフの緑色が現す山はデジタル信号の欠落が盛大に発生していることを示している。
エラー発生量が少ないと思われるかも知れないが、CDはエラーレートが”1”でも音が劣化する非常にデリケートな代物で、例に上げたCDは音がぼやけて音楽とはほど遠い物になっている。
見た目は同じでもエラーを元通りに復元できるパソコン用CD-ROMと混同してはいけない。
CDを買うとこの程度の製造品質の物ばかりで、残念ながらこれが普通の現実。
グラフは
縦軸:エラーレートの値
横軸:経過時間(数字は分)
仮にCDのデジタル信号に欠落が一つも無ければ (Fig.2)のようなC1エラーレート値がゼロの測定データになる。
市販CDの実測データと比較すればC1エラーの発生量が如何に多いかは一目瞭然。
現実にはエラーレートがゼロのCDは存在しないため、グラフは説明用に作成した物。
次の(Fig.3)~(Fig.5)に、CDのC1エラー発生パターンの例を示す。
どの場合も経過時間と共にその再生音質は変動するが音を聴いただけではその理由は分からない。
勢いオーディオ機器等に原因を求めがちになるが、それこそレコード会社の思う壺。
又、夢にも演奏が悪い所為などと邪推してはいけない。
エラーレート測定データを見れば再生音質が変動する理由は一目瞭然。
単純にCDが”製造不良品”と云うこと。
最初は音がぼやけて音質は悪いが、徐々に音が良くなる。
70分過ぎ当たりからは、音質が見違えるほど良くなる。
但し、音の悪さに耐えきれず音が良くなるまでこのクズCDを聴くことはまず無い。
3分~7分過ぎの当たりでは音のぼやけが大きく、音質が非常に悪い。
それを過ぎると音質は比較的良くなる。
CDのエラーレート測定データを見れば理由は一目瞭然だが、データが無いとサッパリ分からない。
20分当たりからの数分間のエラーがゼロ相当部分ではCD本来の音が聴ける。
これがCD本来の音と云えるのもエラーレート測定データのお陰。
市販CDではエラーレートが比較的低い方になるが、エラーが出る限り本来の音楽を再現しないため製造不良品。
エラーレート測定データの重要な点は、C1エラーの発生数のみならずCDの音質劣化の大きさを現している事にある。
値が大きいほど音質の劣化は大きくなり、
・音像のぼやけ(音のぼやけ)
・音のこもり
・平面的な音場
と云った音の悪さが顕著になる。
何故そうなるかはCDプレーヤーのエラー訂正処理と関係するため後述する。
エラーレート測定データ(グラフ)の山の高さがCDの音質劣化の大きさを現すことから、横軸の経過時間を辿るとCD再生時における音の悪さが推測できる。
(Fig.6)は聴感上を考慮して、(Fig.1)のデータに音の悪さを現すエラーレートの値をグラフにプロットした物。 グラフの時間を追いながら再生すると音の悪さの変化が聴き取れる。
グラフを見ればDの再生音質が時間経過と共に大きく変動している様子が分かる。
プロット(黒点)は聴感上の音の悪さを示すエラーレートの値。
エラーレートの値が大きいほど再生音質が悪くなる。
プロットから、時間経過で再生音質が大きく変動している様子が分かる。
C1エラーレート (値) |
音質の劣化の大きさ |
0 | 音質劣化無し(メタルマスター相当と推測) |
1 | 音質の劣化小↑ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 音質の劣化大↓ |
2 | |
3 | |
4 | |
5 | |
6 | |
7 ・ ・ |
表はC1エラーレート値とCDの音質劣化の概念を示す。
(※エラーレート測定データを元に該当市販CDの音質を確認して作成)
C1エラーレートの値が大きくなるほど音質の劣化が大きくなる事を現している。
エラーレートの測定グラフを見ればエラーの発生状況を客観的に捉えられる物の、残念ながら、これだけではCDの音の悪さと直接的に結び付かない。
何故ならプレクスターはエラーの発生状況をグラフデータとして現すソフトを提供しただけで、CDの音の判断基準までは示していない事による。
これは、当時 「Q-Check C1/C2 Test」の本当の機能に気付いた人が殆どいなかったことにも通じている。
「PLEXTOR Premium(PX-W5232TU) 音楽CD品質検証」を作成するに当たり、判断基準が無いのなら作れば良いとの考えから、CDのエラーレート測定グラフの推移を追いながら、CD毎に各C1エラーレート値に於ける再生音質の評価を行った。
(Fig.9)は音質評価の結果をまとめた物。
これによりエラーレート測定データとCDの再生音質との紐付けが可能になった。
C2エラーの発生は読み取り面に傷がある場合を除きほとんど無いため評価から除外。
尚、実際には幾らエラーレート測定データが有るとは云え、そのままでは (Fig.9)に示す結果を得るのは難しい。 何故ならアンプ部分の音の曖昧さ/音の僅かなぼやけが邪魔をして微妙な音の違いを聴き取れない問題が立ちはだかる。
その問題をクリアしたのが 「音が良くなる!!直流安定化電源の使い方」で独自に見いだした方法。
C1 エラーレート (値) |
音質 | 備考 |
0 | ・音場が立体的で広い。 ・音像は小さく音像定位明瞭。 ・音の響きが豊かで音の伸びが良い。 ・メタルマスター相当の音質と推測。 |
・音質:CDが持つ本来の音。 ・現時点ではエラーレート:0(ゼロ)が 大部分を占めるCDは皆無。 ・今のレコード会社の量産技術では 作るのが難しい品質レベル。 |
1 | ・音場が少し狭くなる。 ・奥行きをまだ感じられる。 ・音像が少しぼやけて大きくなる。 ・音の響きが減少。 |
・音質:可。 (条件:散発的な発生で連続しない事) ・本来の音質からは劣化している。 ・音像から音楽として楽しめる限界。 ・現在、再生時間内でエラーレート1以下 を満たす品質レベルのCDは無い。 |
2 | ・音像がぼやけ気味。 ・奥行き感は減少。 ・ボーカルのリアリティーが薄い。 ・音の伸びは鈍る。 |
・音質:不可。 ・本来の音質から大きく劣化。 ・似たような音が出ているだけ。 ・CDは元の音楽を再現しないゴミ。 |
3~6 | ・音像のぼやけが大きい。 ・音がこもり気味。 ・音場は平面的で奥行きが無い。 |
・音質:評価に値しない。 ・本来の音からかけ離れた音。 ・エラー補間の影響大。 ・CDの形をしたゴミ。 |
7以上 | ・音が不明瞭で音像の所在不明。 ・音のこもりが大きい。 |
・ほとんどエラー補間した音。 ・もはや音楽では無い。 ・CDの形をしたゴミ。 |
※エラーレートがゼロのクラシックCDの音質を確認できた事から本来の評価基準にした。
※補間とはCDプレーヤーが勝手に作り出した音で欠落した音を補うエラー訂正処理。
(単なる欠落の穴埋めで音切れやノイズの発生が無い代償に再生音質は極度に悪化する)
(Fig.9)の表からCDの実態と家電メーカーやレコード会社の大嘘が見えてくる。
これはCDの本質的な問題を示すと共に開発元のSONYとレコード会社が消費者を欺くために行った悪事が浮かび上がる。
悪事にはいわゆる”デジタルだから音が良い”と云った漠然とした情報操作等を含むが、CDの実態からすると ”デジタルだから音が悪い”と云う方が合っている。
実際、C1エラーレートがゼロの部分の音楽を聴けば、SONYが ”音楽再生にはこれで十分”と明言したことが実感できる。 しかし、現実には今でもC1エラーレートが0(ゼロ)のCDを量産出来ていないことから、CDは最初から品質的にかなり無謀で矛盾した代物になっている。
(2)「無謀で矛盾したCD製造」エラーレート測定データと照らし合わせて再生音を聴けばエラー訂正処理が欠落した元の音を復元しない事は明らかで、C1エラーの発生が多くなるにつれ音のぼやけ具合が増して音質の劣化が大きくなる。
この状況が音の補間処理で誤魔化していることの何よりの証拠で、音の悪さの程度は再生中に補間した音が混じる割合の結果と云うことになる。
エラー訂正処理で音が元通りに復元される事などあり得ず、メーカーの大嘘に他ならない。
それ故、エラーレート測定データグラフはCDの音の悪さを現すことになる。
以上から明らかなのは、エラー訂正処理はCDの不良品を大量生産するレコード会社のために有り、CD本来の音を取り戻すための物では無いと云うこと。
デジタル信号の欠落が多い不良品CDをそのまま再生すれば、ノイズや音切れが盛大に発生して直ぐに不良品と消費者に分かりクレームや返品が殺到する。
そこで、エラー訂正という名の音の補間、要は欠落した音を勝手に生成した音で穴埋めをしてノイズや音切れを誤魔化し、不良品の判断がし難い”音質劣化”という形にすり替えている。
レコード会社としてはCDが不良品とバレなければ良いので音質がどれだけ劣化しようがお構いなしである。
要するに、CDはレコード会社と開発元のソニーの馴れ合いから出来た代物と見られ、消費者を欺いて体良くお金を巻き上げるための巧妙な仕組みと云っても過言では無い。
エラーレート測定データを基にCDプレーヤーのエラー訂正処理の結果としての音を聴けば、音楽の再現性という点でCDは登場した端から破綻していた事が分かる。
「音質上の観点から今の音楽CDは買わないことが賢い選択と云える。
高音質CDも小細工をした偽物なので同様の扱い。
レコード会社は良さそうな事は書き並べても都合の悪いことは一切触れないので宣伝文句には注意。」
※粗製濫造の音楽CDを買うのはお金をドブに捨てるに等しい行為です。
CDのアルミ膜に穴が空いている事が発覚した時にレコード会社が取った処置は、穴が透けて見えないようレーベル全面にピクチャーレーベルの如く印刷して隠す事。
それまで廉価版等ではコスト削減のためかレーベル面は最小限の文字印刷のみでアルミ地の銀色も多かったが、発覚以降はその様なCDは無くなりレーベル全面印刷になった。
根本的には製造不良ながら、CDを調べて見ると穴が空いてる物ばかりでは無かったため、過剰とも取れるレコード会社の反応はCDがレコード会社も手に負えない代物なことを物語る実例と云える。
詳細は本HP掲載の別ページに譲るが、再生機器の僅かな音のぼやけの影響でCDのエラーレートの低い部分の音がマスキングされ判別出来ない。
具体的にはエラーレートが0~2の範囲が同じ様に聞こえてしまい、エラーレート0(ゼロ)の領域がどの様な音か聴き取れない。
このため、仮にCDのエラーレートが0でも再生機器の僅かな音のぼやけが邪魔をして、CD再生音としてはエラーレート2程度にぼやけた音質に成り下がる。
但し、誤解されては困るが、これを持ってCDのエラーレートが2程度にあれば良い事にはならない。
これは単にオーディオメーカーの設計の問題でCDとは関係が無い。
実際、エラーレートが0(ゼロ)の領域は正に別次元の音といえる程の高音質で、CDが本来持っている本当のデジタル音楽を普通に再現出来なければCDの存在意義は無い。
この様な事が云えるのは、再生機器の問題点を解決してCDのエラーレート0(ゼロ)の領域の音質(音楽)を確認できた事による。
(参考)
対策として最も簡単で確実な方法は、高性能なポータブルCDプレーヤーの使用。
(仕様的には、L/R独立1ビットDAC搭載が最低ライン)
電源にシリーズレギュレーター方式直流安定化電源を使い、アース接続と電圧の1mV単位の微調整を行う事で厄介な二つの問題点を解決可能。(電源にアースを接続する。)
このやり方はCDの音質改善を探る中で見つけた確実で効果的な方法。
音にぼやけが無い音質の最も良いポイントは、定格電圧から数ミリボルトずれた所にある。
ただ、現在は高性能なポータブルCDプレーヤーの販売が無く、該当品を所有している場合を除きこの方法を取るのは難しい。
次善案としてはACアダプタ電源の性能の良いステレオCDラジオが上げられる。
ポータブルCDプレーヤーの場合と同様な処置を行えばACアダプタでは出ない良質の音楽が聴ける。
どちらにせよ、再生するCDの製造品質が悪いと対策の効果は望めない事に注意!。
CDの製造品質の良し悪しはエラーレート測定で判別するしか無いので一般的には敷居が高くなる。
(1)
シベリウス交響曲全集 (Disc4)
30CD-439~42
(発売)1986年
(2)
ハイスクール!奇面組 オリジナル・テーマソング組
D32G0067
(発売)1987年
(3)
三田明
VICLー41054
(発売)1999年
(4)
ポップスの巨匠 宮川 秦の世界
TECHー22652
(発売)2006年
(5)
キャラヴァン
「ライブ・アット・ザ・フェアフィールド・ホールズ 1974」
UICUー3517
(発売)2002年
(6)
ショスタコーヴィチ
「交響曲第6番 & 12番」
POCL-3522
(発売)1994年
(7)
キャラヴァン
「ロッキン・コンチェルト+3」
UICY-9067
(発売)2001年