ピエールロンサール…(cl)

　…今年の冬は例年通りの寒さとなりました。この季節、ばらの褐色の固い枝には、小さな赤い芽がついています。

　植物達は静かに眠っているようでも、土の中の根で、枝の中で、確実に春の花を咲かせる準備をしているという事です。植物がどのようにして生きているのかは、生物の教科書でも知ることが出来ます。

　しかし理屈ではなく、芽吹き、葉を茂らせ、美しい花を咲かせ、葉を散らし、北風に吹かれ裸の枝をさらし…また黙って芽吹きはじめる…その生命の繰り返す様は、私に静かな深い感動を与えてくれます。木は黙っているから…なおさら、なのかもしれません。　

　　　　　　……（下へつづく）……

　何も言わず日に当たり風に吹かれる姿は、私にも「そうあるべき」だ、と教えてくれているような気がするのです…。

　黙って冷たい風に裸の枝を広げる姿に、全てを受け入れ、ただ「するべきことをするべき」だという…この世に生きるもの達の内側に本来流れているであろう、「強さ」を感じ取る事が出来ます。

　灰色に包まれた冬の木々の姿は、若葉の春や紅葉の秋におとらない良い姿をしている、と思います。

　…それにしても、早く春が来ると良いですね！